10月31日



それでさ、カボチャパンツ一枚の女の子がやってきて私にこう言うわけさ

「TRICK OR TREAT」・・・ってね


「なるほど、それでお前はこう答えるわけだな

「お菓子をやるからイタズラさせてくれ」と」


・・・・・・そう言う言い方すると、やたら犯罪臭がするなぁ


「最初の一行から共謀罪でしょっ引かれても文句言えない会話だったと思いますが」


さておき! いよいよクロミの誕生日って言うかハロウィンがやってきたわけですよ

楽しみだなぁ・・・幼女が我が家に押しかけてきてお菓子をねだる・・・この日を楽しみに日々生きてきたよ・・・


「・・・まぁ、ハロウィンっつーのは西洋のお盆なワケだからな」


「・・・あの人には見えちゃってるんですね・・・彼岸が・・・


もっと光を! 光を与えておくれ!!

先輩が女性ばかりだけど、欠片も萌えとか感じられない職場に光を!!!

2×歳のくせに、王子様との出会いがどうのとかぬかして香港へ旅行に行く先輩にもついでに光を!!!


「・・・ジャックは、悪魔に嘘をついたせいで天国にも地獄にも行けず
この世を永遠に彷徨うはめになって、「光が欲しい」とか言い出したわけだが・・・」


「・・・この人達、自分に全力で嘘ついてますからねぇ
いっそ嘘をつき通してその夢見がちな先輩に萌えてみてはいかがです?」


先輩は、最近微妙に現実と向かい合ってるから駄目

やはり私に残された道は、お菓子を求めてやってくる幼女達だけだよ


「いや、絶対まだ残された道があるはずだって
なんで崖の上にある一本道を進むか飛び降りるかの選択肢しか選ばないんだお前」


と、言うワケでお菓子の貯蔵は充分だろうな英雄王?

英雄には、この世全ての幼女を背負うぐらいの気概が必要なのだ


「・・・いきなり人にハロウィン用の料理作れって言ったのはそのせいですか
なんで私が未成年者略取の片棒を担がなきゃならないんですか」


ちゃんとミルク味の棒アイスとかも用意してるだろうな?
大きくて口に入らないようなものをペロペロ舐めさせるために・・・!


「欲望のために季節感を捻じ曲げようとするな
普通にクッキーとかチョコとかでいいだろうがよ」


まぁ、確かにビターなチョコで「苦い・・・けど、美味しい・・・かも・・・」と言わせるのも一興か・・・


よし、準備が整ったら後は待つだけだな
画面の端っこでしゃがんで待つガイルのように待つのだ

ああ、あれこそは伊良子様必勝の構え 無明待ちガイルのお姿・・・

つーワケで、ただ待つだけってのもなんなのでこっちも少し食ってるか。ちょうど腹も減ったしね


「ああ、そりゃいいな。どんどん食え
ちょっと脳と下半身に血が溜まりすぎてるようだからちょっと胃袋に血を送れ
よし、桜邪。さっさとハロウィン用メニューとやらを持って来い。さっさとしろやこのグズめ」


「・・・そう思うなら配膳ぐらい手伝ってもらってもバチは当たらないと思いますよ?
具体的にどんなバチかと言うと、顔の線にそって中身くりぬかれて内側から火ぃつけられるような


「・・・はっはっは、全身全霊を以って手伝ってやるのでそのラジオペンチしまえ

・・・つーかお前、それでくりぬく気か。どうやるつもりだよ?」


「えぇとですね、まず大まかにガツガツ削りまして聞きたくねぇので黙れ


いいからさっさと料理を用意せんか。幼女が来てしまってからでは遅いんだぞ!!?


「クリスマスまで待っても決して来ないと思うが、まぁいいや。ほれ
(テーブルの上に丸のままのカボチャを三つほど置く)」


・・・・・・はて? この、オレンジ色ですら無いカボチャはなんなのかな?


「何言ってるんですか。料理に使うなら西洋カボチャに決まってるじゃないですか
飾りに使うのはペポカボチャって言う品種です。そもそも種類が違うんですよ」


「そうだ。貴様は甚だしい勘違いをしている

西洋は日本語でカボチャも日本語だ!! だから日本産のカボチャを食え」


・・・いや、だから生のままでどうやって食えと・・・あっ、そうか
なんかヘタの部分に紐がついてるし、蓋を取ると中に特大パンプキンプリンが入ってたりするんだな?

なるほど、カボチャ自体を器に使うアイディア料理か。それは確かにハロウィン的にもアリかも知れん


「フフフ、流石大吉さん。よく分かっていらっしゃる・・・そう、これが・・・










スーパー食いしん坊特製カボチャうどんです!!!


カボチャうどん!!?


こ、こりゃあうめぇ! クルミとミックスされたミソの味がなんともいえない・・・」


・・・・・・いや、確かに美味そうだけどさ。スイーツですらねぇのかよ

しかもスーパー食いしん坊なんて誰も覚えてねぇよ


「フッ、その台詞は器であるカボチャを食べてから言ってもらいましょうか」


「むぅ、カボチャ自体のホクホクした甘みがこたえられんな・・・!」


だからそう言う事言ってるんじゃねぇよ


もっとちゃんとしたスイーツ作れよ! パンプキンパイとかよ!!
いつもは頼んでもいねぇのにクライベイビーサクラのカロリー摂取かと思わせるような激甘スイーツ作るくせに!!


「え〜、カボチャうどんは駄目なんですか〜?

まったく大吉さんワガママですよ・・・」


「そうだぞ。好き嫌いすると大きくなれないぞ
カボチャは緑黄色野菜で、人体に必要な栄養素を数多く含んでいるんだ
冬至の日にカボチャを食べると風邪を引きにくくなるって言われてるんだ
幼女にお菓子をやるのもいいがな、まずお前が好き嫌いの無い大人になって手本を見せろ」


あんたは何をにこぷん時代の顔になって語ってやがるんだ


くっ・・・ムカつく・・・何がムカつくって、今は「うん、今樫の木ちんいい事言った。にはは」的ないい笑顔をしてる事だ・・・!


「・・・俺がいい笑顔をしてるとムカつくのかお前は」


「・・・・・・ノーコメント」


いいから次だよ次! スピードワゴンのコントぐらい甘々なものを出せ!!


「仕方ありませんねぇ、なら今度はこっちの



スーパー食いしん坊特製カボチャピザで・・・



カボチャのピザ包み焼き!?



だからスーパー食いしん坊から離れろお前ら



どうせだったら森の果物屋さんとか作れよ!
大体カボチャうどんにカボチャピザってどんだけ重いメニューだよ!!


「ん? 食わんのか? ならよこせ。俺が食っちゃる」


いや、どっちも食う事は食うけどさ。うどんは食事、ピザはおやつだし。えぇい、料理はもういい!

次は飾りつけだ! ハロウィンらしい飾りつけで幼女の興味をひくんだ!!
まぁ、さっきも話題に出てきたが基本はジャック・オー・ランタンだな

「ヒーホー!」とか可愛く叫ばせてプリクラでも撮れば幼女のハートもたちまちキャッチだ!!


「・・・・・・今の時代にプリクラでハートをキャッチ・・・ですか・・・」


・・・その、女子高生がおっさん見るような目で見るのはヤメロよ

とにかく飾りつけはどうした! お前のセンスを見せてみろ!!


「まったく・・・苦労したんだぞこれをつれてくるのは・・・」


ほう、どれどれ・・・?

ふむ、中々よくできてるジャック・オー・ランタンだな


また緑色をしてるのはこの際置いとくとして、この目といい鼻といい、まるで生きてるみた・・・い・・・?



カボチャ「ひぃぃぃぃぃ・・・・・ほぉぉぉぉぉ・・・・・・ひぃぃぃぃぃ・・・・・・ほぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・」



・・・すいません。このカボチャ、なんで悲鳴あげてるんですか?


「そりゃ悲鳴もあげますよ。怨霊ですから」


怨霊? ジャック・オー・ランタンじゃないの?


「何言ってんだお前。日本人なら、カボチャの妖怪と言えば



砂村の怨霊以外にはありえねぇだろ!!?



知るかそんな絵草子にしか出てこないマイナー妖怪


「・・・・・・詳しいじゃないですか」


つーかさっきから噛み付いてくるんだけどさこのカボチャ妖怪!?


「そりゃ、怨霊だからな」


「怨霊じゃ仕方ありませんね♪」


どこのデビルマンだ


えぇい、この役立たずどもを頼った私が愚かだったわ!

このドテカボチャ! おたんこなす!
そんなだから、ジャック・オー・ランタンみたいにくりぬいたみたいな胸になるんだよ!

体型だけはかぼちゃパンツが似合いそうなくせに!!



「・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・アレは「Bはある」と言うちっぽけなプライドを傷つけられ、
貴族だったら左手の手袋を投げつけて肛門から口までレイピアで貫いてやるところだと言う誇り高き獣の目だ」


む、やる気か。しかし私も幼女とのハッピーハロウィンのため、ここは譲るわけにはいかんのだ!


「いえいえ、私こそせっかくのハロウィンに少々不調法でしたね」


・・・なんかいやにあっさりしてて逆に恐怖感が募るが・・・分かればいいんだよ分かれば


「と、言うワケで私も少々ハロウィンの風習に習うとしましょう」


・・・・・・お菓子なら、手持ちがたんまりありますが?


「いえいえ、そんなものは要りませんよ

ただ・・・盆小屋が作りたいので、材料をいただけませんか?」


・・・いや、流石にそんなものは持ってないけど


「そうですか・・・それは残念です。それでは(どこかへと去っていく)」


・・・・・・なんだったの、あれ?

そしてなんでじりじり離れていくのおじさん



「・・・お前、牛打坊って妖怪知ってるか?」


・・・・・・牛や馬を殺す妖怪でしょ? 疫病鬼の一種


「あぁ、それでその牛打坊だがな
それを退けるため、7月14日に子供達が盆小屋を作るんだ
作った後で焼き払う事で、中に入った牛打坊も焼き払うと言う意味がある
そしてその材料は家々を周り歩いて集めるんだが、
もしその材料を寄付してくれない家があった場合、
子供達は「牛打坊を追いかけ、お蚕べったり味噌べったり」と唱える
そして、小屋を焼く時に茄子も焼き、その焼き茄子を寄付をしなかった家に放り込む
すると、その家の牛馬は三日以内に死んでしまう・・・と言う風習があるんだ」


・・・それはおっかない話だけど、別に茄子ぐらいなら・・・うちは牛馬とか飼ってないし


「・・・お盆の時の茄子って、牛や馬を象ったものだよな」


・・・なんですかその意味深な台詞。そしてさらに遠ざかる態度


「牛打坊を追いかけ、お蚕べったり味噌べったり。むーざんむざん♪


・・・・・・声がどんどん近づいてきますね。あと、なんかドドドとかって凄い足音がするんですけど


「うむ、なんか馬を担いで走ってきているな










念彼観音力 或被悪人逐!! どうりゃあああああ!!!



なんで女犯坊!!?


ぎゃああああああああああああああああああ・・・・・・・・・



「・・・大吉が割れたカボチャみたいになった」


「これが私の世直しです」


「・・・まぁ、確かに世のため人のためにはなった気がするし。別にいいか」


「ですね。それでは、ハロウィンの二次会と参りますか
カボチャ羊羹にはカボチャの種で作ったお茶が合いますよ〜♪」


「・・・ちなみにお前が今くりぬこうとしてるそれ、カボチャじゃなくて砂村の怨霊な」


砂村の怨霊「ひぃぃぃぃぃぃ・・・」






光が・・・光が欲しいよジャック・・・・・・