突然の、ガス爆発。
私達の目の前のビル、窓ガラスは弾け飛び、とっさに顔を覆った腕にガラスが刺さった。
前にいた、同級生よく喋る人たちだけど、別に友達でもなかったような気がする、あの時の私は淋しさに心が枯葉みたいにしおれていた。

一番前にいた女の子、可愛い面倒見のいい(ふりした内申目当て)月丘さん、ごうごうと燃える炎を見ながら目が死んでいた、その後ろの月丘さんの彼氏も死んだ目をしていた。

何かおかしい、この二人、そう思った私の頭には、映画「自殺サークル」の女子高生達の顔ばかりが浮かんでいた。
確信的なのは、二人は自殺する気だということ。
二人の行動が、今の私の属する種類と深く関係していることはまだ、知らない。
月丘さんは言った、少しも震えない声で
「私はここで死ぬ、きっとそうする運命、決まりごと、ね?」
そう言う月丘さんに、炎はどんどん迫っていく、そこはなぜか静寂の空気が流れていた、月丘さんの彼氏は少し震えた声で言った
「ああ、俺はお前と一緒の運命、きまりごとだ。」
本物の映画みたいだ、転校してきて間もない私に、色々教えてくれたけど、「全てが偽りだ」と思っていた事が吹き飛び、私は震えていたけど、言葉を発した
「あたしも仲間に入れてよ・・・・・」
二人は、微笑んでくれた。
そして、火に吸い込まれていく私達。
痛かったり、暑かったりしない、ただ身体じゅうが痺れて、感覚がなくなっていった。
気が付くと、爆発前の、その場所だったが少し違った、3人ともその場にいる、死んでも大して変らないんだ、ただ3人とも着ていただぼだぼのセーターがちじんでか、私好みの大きさになっている。
月丘さんが、最初の一言を発した
「苦しくなかったね、それに大して変んないね、ちょっとその辺歩こうよ。」
私と、月丘さんの彼氏は相槌を打って、歩き始めた
少し歩いて、私は気がついた
「ねえ、さっき入ったチーズケーキ屋が無いよ?しかも地面工事中?」
月丘さんと、その彼氏は懐かしそうな顔だった
「そうだね、君が転校してくる前の光景だ・・・・・」
言葉が、重かった。
月丘さんが、立ち止まって頭を抱えた。
そのうち、月丘さんの彼氏が、月丘さんの肩をたたいて、目と目の会話、私の存在はすでに二人の仲に無かった。
突然二人は走り出した、私は二人に叫びかけながら、後を追ったが聞こえていないようだった、いつもは人ごみなのに、なぜかあまり人がいない大通りを駆け抜けていく、途中誰かに追われていたが、何の害もなく、コンクリートだけでできたようなかざりっけの無いビルの階段を駆け下りていった、ライブハウスの廃墟のように見えたが、こういう作りのビルらしかった。
中に入るなり、月丘は壁に寄りかかり明らかにおびえ始めた。
月丘の彼氏は奥にすすんでいって見えなくなった、その辺りを見回すと、全裸の少女が倒れている、よく見ると月丘だが、顔つきが少し幼い、昔の記憶、月丘とその彼氏の、昔の。
私は、戸惑い必死に首を振った。
おくから、どすどすと人のもみ合う音が聞こえたから、そっちに行ってみると、月丘の彼氏が誰かともみ合っている、彼もまた幼い顔つきだった。
突然甲高い、叫び声と別の場所からの、どすどすと言う音、そしてコンクリに反響して大きめの音になる、ぶつぶつと何か言葉。
小走りに外に出ると、耐え切れなくなったような、成長後の月丘がうずくまり、叫んでいた、そして部屋の奥の見えない場所、かすれかけた怯えた囁き。
月丘の彼氏は、体中が青白く、額を裂けるほど壁に打ち付けて、涙を流していた、私は気が狂った二人を見て、月丘以上に甲高く大きな叫び声をあげていた。

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