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難しい。今年の予想は本当に難しい。

思えば昨年の予想は簡単でした。
下馬評があまりに固まりすぎていて、裏読みをして失敗。穴狙いにいった主演女優賞(◎サマンサ・モートン)と助演女優賞(パトリシア・クラークソン)で見事撃沈しました。


今年は下馬評からして割れていますので、管理人の予想もさらに迷走することでしょう。例年ならほとんど議論されることもない作品賞部門すら頭を悩ませなければいけないわけですから、アカデミー賞ファンにとっては嬉しい悲鳴です。

さて、今年も部門別に管理人の独断と偏見によるあまり当たらない予想を発表します。

いつも自分で読み返す気にもなれない駄文をだらだらと続けてしまう癖があるので、今回はたくさんの人に読んでもらうため短文を心がけました。読みやすいように箇条書き形式も取り入れてみました。

下馬評と管理人の予想を分けて載せたので、今年のアカデミー賞レースがどんな様相を見せているのか頭に入れた上で授賞式を楽しんで欲しいと思います。

さっそく前置きがだらだらと長くなりましたが、これより予想スタートです。





◎ 本命


アビエイター

○ 対抗


ミリオンダラー・ベイビー

その他の候補作品


サイドウェイ



ネバーランド



Ray/レイ

下馬評

●Case 1
最多11部門ノミネートの「アビエイター」が有利も、「ミリオンダラー・ベイビー」が急接近。逆転の目も。


●Case 2
オスカーに一番近いのは「ミリオンダラー・ベイビー」。すでに「アビエイター」を逆転。
キーワード

●前哨戦
批評家賞を圧勝したのは「サイドウェイ」「ミリオンダラー・ベイビー」がこれを追う。だが、最重要となるゴールデン・グローブ賞の製作者組合賞では「アビエイター」が勝利。


●BoxOffice
2/13時点での総興行収入は、「アビエイター」の8200万ドルに対し、「ミリオンダラー・ベイビー」は4500万ドル。後発の「ミリオン〜」はさらなる上昇が見込めるものの、「アビエイター」の数字を抜くのは難しそう。


●配給会社
「アビエイター」を配給するミラマックスは過剰キャンペーンでアカデミーの嫌われ者に。対する「ミリオンダラー・ベイビー」ワーナー・ブラザースはキャンペーンが下手ともっぱらの評判。宣伝効果は差し引きで五分五分か。
ただ、ミラマックスはこのほどトップのワインスタイン兄弟が親会社ディズニーと袂を分かつという異例事態発生。「アビエイター」が受賞すれば、ワインスタインを手放したマイケル・アイズナーに批難が集中するだろう。アカデミーはそれをお望み?


●アカデミー賞向きなのは・・・
間違いなく「アビエイター」。どちらの作品も未見だが、古きよき時代のハリウッドを再現し、さらには飛行機乗りの夢をひた走る主人公の人生をスケールも大きく描いた大作は、どこをどう切り取ってもアカデミー好み。一方で、「ミリオンダラー・ベイビー」は見終わった後立ち上がれないほどの感動作との触れ込みだが、ライバルと比較してスケール感で劣ることは否定できない。


イーストウッド贔屓
近年のアカデミーのイーストウッド贔屓は目に余る。昨年こそ大本命の前に無冠に終わったが、今年はその反動とばかりに賛辞が集中。すでに1度監督賞を授与しているにも関わらず今年2個目のオスカー像をあげようという動きもチラホラ。ただここで立ち塞がるは受賞経験なしの巨匠スコセッシ。監督賞部門で彼が受賞するようなら、作品賞部門は「ミリオンダラー・ベイビー」に票が流れる可能性もある。主演男優部門にもド本命がいることだし。

結論

下馬評も全くの五分だ。通常なら最多ノミネートの栄冠に輝いた「アビエイター」が圧倒的優位に立つところだが、ここへきて「ミリオンダラー・ベイビー」の評価がぐんぐんと急上昇。すでに「アビエイター」を逆転して本命になったとの声も多数聞かれている。
だがそういった声が聞かれるようになって、天邪鬼な管理人は逆に「アビエイター」本命を決意した。猛然と追い上げるライバル。ゴール前、首の上げ下げの勝負になった感のある熾烈な争いにあって、ともすると余力ない「アビエイター」は不利との見方も出来る。それでもやはり、最後は“アカデミー賞に適した作品”が勝利すると読む。作品賞をめぐる争いにはいろんな要素が絡み合うが、最後はこの1点で勝敗が分かれるのではないか。


また、「ミリオンダラー・ベイビー」はアカデミー賞を受賞するにはかなり問題を抱えた映画だという噂もある。「許されざる者」で自らの思想を体現したイーストウッドが、この作品でも同じことをしていると言うのだ。詳細はわからないが、かなり物議を醸す内容であることは確かなよう。となれば、今回のような接戦においては大きなマイナス要素となるかもしれない。




◎ 本命


クリント・イーストウッド
(ミリオンダラー・ベイビー)


○ 対抗


マーティン・スコセッシ
(アビエイター)

その他の候補作品


アレクサンダー・ペイン
(サイドウェイ)




マイク・リー
(ヴェラ・ドレイク)




テイラー・ハックフォード
(Ray/レイ)




下馬評

映画ファンの間ではスコセッシ5度目の正直を期待する声が大きいが、イーストウッドの勢いが止まらない。最重要の前哨戦連覇ですでにスコセッシを逆転。他候補者にはチャンスなし。
キーワード

●前哨戦
ゴールデン・グローブ賞と監督組合賞を連続受賞したイーストウッドが一歩リード。スコセッシは英アカデミー賞でも落選するなど終盤で苦戦が続いている。


●受賞経験
1度受賞経験のある巨匠と受賞経験のない巨匠なら、後者が有利なのはアカデミー賞では常識。しかもスコセッシは受賞していないのがおかしいほどの巨匠だ。ただ、イーストウッドが2つのオスカー像に値する監督であることも確か。スコセッシ初の戴冠が先か、イーストウッドの2度目が先か。アカデミーの優先順位はどっち?


●ニューヨーク派
スコセッシが4度の候補に挙がりながら受賞を逃してきたのは、彼がハリウッドに属さないニューヨーク派の監督だから。ハリウッド一筋で映画業界に貢献してきたイーストウッドに比べると、アカデミーからの支持は薄い。


●雇われ監督?
前作「ギャング・オブ・ニューヨーク」はスコセッシ入魂の企画だったが、「アビエイター」L・ディカプリオによって持ち込まれた企画。スコセッシはオスカー受賞に担ぎ出されたにすぎない?彼がオスカーを受賞すべき作品ではないとのジャッジも。


●共和党支持
ハリウッドセレブとしては珍しい共和党支持者のイーストウッド。昨年は民主党支持の急先鋒2人がオスカー受賞となったが、本来アカデミーは保守的とされる集団。イーストウッドにとって不利に働く条件にはならないだろう。

結論

ゴールデン・グローブ賞で落選しても、監督組合賞で涙を呑んでも揺るがなかったスコセッシ本命の気持ちが、最後の最後に激しく揺らいでいる。だってすでにオスカー像を持っているイーストウッドが、受賞経験のない映画界を代表する巨匠に太刀打ちできるはずがない。普通に考えればスコセッシ初の戴冠を阻む存在などあり得ない。なのにこのイーストウッド株の急上昇ぶりは何だ!?もはや、スコセッシ戴冠の盛り上げ役などと言っている場合じゃない。巨匠の晴れ舞台を阻む正真正銘のライバルとして認知すべきだ。

ここでイーストウッドを推すことに決めたのは、全体のバランスを考慮してのことだ。作品賞を「アビエイター」が受賞するなら、イーストウッドはここで受賞するしかない。主演男優賞部門には今年の顔とも言えるジェイミー・フォックスがいるからだ。

巷では監督賞をスコセッシに譲る代わりにイーストウッドに主演男優賞を、という予測が流れ始めており、確かに説得力がある。ただ、これは主演男優賞レースを引っ張ってきたフォックスの力を過小評価しすぎた説だ。フォックスが助演賞を受賞すれば丸く収まるという話ではない。レイ・チャールズを演じたフォックスが受賞しなければ意味はない。

話が逸れたが、会員が投票する際に決め手となるのは、ハリウッドにとってどちらの巨匠がより貢献度に厚かったかという点だろう。スコセッシには気の毒だが、今回の落選をバネにして、ぜひ彼のフィールドである脱ハリウッド作品での戴冠を期待したい。




◎ 本命


ジェイミー・フォックス
(Ray/レイ)


○ 対抗


クリント・イーストウッド
(ミリオンダラー・ベイビー)

その他の候補作品


レオナルド・ディカプリオ
(アビエイター)




ドン・チードル
(Hotel Rwanda)




ジョニー・デップ
(ネバーランド)
下馬評

前哨戦圧勝のジェイミー・フォックスでほぼ決まり?波乱があるとすれば、監督賞落選のシナリオで票が集まるイーストウッドか。他3人の逆転受賞はかなり厳しい状況。
キーワード

●前哨戦
批評家賞からゴールデン・グローブ賞、俳優組合賞まで全てにおいてジェイミー・フォックスが圧勝。唯一の対抗馬ポール・ジアマッティが予選で姿を消す展開とあれば、もはやフォックスに敵なしか。


●オスカー経験
5人揃って受賞経験なしというフレッシュな顔ぶれ。ノミネートに限っても、イーストウッドデップディカプリオが1度ずつと常連の姿はなし。オスカー経験の有無が選考に響くことはなさそうだ。


●偉人伝祭り
今年の候補者が演じるのは実在した偉人ばかり。バイオピックが隆盛を極めた2005年を反映する面々だが、逆にただ一人フィクションのキャラクターを演じるイーストウッドの存在が新鮮に映る。


●黒人称賛の年再び
01年のアカデミー賞では主演男優賞にデンゼル・ワシントン、主演女優賞にハル・ベリーと2人の黒人俳優がオスカー像を授与された。アカデミー史上初の快挙となったが、今年は01年の再現が期待される。ホストを務めるのが黒人のクリス・ロックと言うこともあり、例年以上にブラック・パワーが存在感を見せ付ける年になりそうだ。


イーストウッド
監督賞の欄でも書いたが、監督賞の票がこちらに回ってくるという予測あり。これぞ奇奇怪怪なアカデミー賞の一面。前哨戦実績ゼロのイーストウッドがフォックスの唯一の対抗馬となりえる摩訶不思議。

結論

実際に映画を見たのが「ネバーランド」「Ray/レイ」だけなので、どうしたってジェイミー・フォックスの素晴らしいパフォーマンスを贔屓してしまう。残る3人のパフォーマンスを確認した上で予想できれば一番いいが、前哨戦での圧倒的な歓迎ぶりから察するに、フォックスの奇跡的な演技はやはり2004年を代表するものだと言えそうだ。

演技への純粋な評価からすれば、今年フォックスに対抗できるのは「サイドウェイ」ポール・ジアマッティだけだった。そのジアマッティが予選で姿を消したとあっては、フォックスの独走を止められるものはいない。だが、単純にそうはならないのがアカデミー賞の怖いところ。可能性は決して高くないが、老優クリント・イーストウッドフォックスの背後で虎視眈々と戴冠を狙っている。

ただし、イーストウッドの戴冠は監督賞での落選が必須条件であり、監督賞部門でも本命視される現状ではこちらに票が集まる可能性は低い。いくらイーストウッドが人気のある映画人だからといって、両部門で賞をあげるほど太っ腹でもないだろう。

フォックスの圧倒的なパフォーマンスが賞を逃すようなことがあれば、アカデミー賞の選考基準が問題視されかねず、ここはアカデミーも素直にこの若い黒人にオスカー像を手渡すと考えるのが妥当だ。フォックスは主要6部門の中で最も堅実な本命と言っていいだろう。




◎ 本命


ケイト・ウィンスレット
(エターナル・サンシャイン)


○ 対抗



ヒラリー・スワンク
(ミリオンダラー・ベイビー)




アネット・ベニング
(Being Julia)


その他の候補作品


イメルダ・スタウントン
(ヴェラ・ドレイク)




カタリーナ・サンディーノ・モレノ
(そして、一粒のひかり)



下馬評

批評家賞総なめのイメルダ・スタウントンはもはやオスカーレース蚊帳の外。オスカー像を争うは、ヒラリー・スワンクアネット・ベニング。99年の対決ではスワンクに軍配があがったが、今年はベニングの番?ただし、最重要となる俳優組合賞ではスワンクが戴冠。ベニング再び苦戦の様相。
キーワード

●前哨戦
批評家賞を総なめし、ヴェネチアでも戴冠したイメルダ・スタウントンが頭2つ抜きん出た。終盤戦に猛然と追い上げたヒラリー・スワンクがそれに続き、ベニングは少し離れた3番手。ウィンスレットモレノは前哨戦でもノミネート止まりで強調材料はない。


●オスカー経験
99年に1度オスカー受賞のスワンクは今年受賞すれば、主演女優賞を2度受賞した史上12人目の女優となる。オスカー像の数で格付けが決まるハリウッドにおいては、あのジョディ・フォスタージェーン・フォンダエリザベス・テイラーに並ぶ存在となる。スワンクがそこまでの女優と認識されるにはまだ早い?


●99年の対決再び
今から5年前、ヒラリー・スワンクアネット・ベニングの2人は奇しくも今年と同じようにオスカーを争っている。そのときは、俳優組合賞を制したベニングが本命視されるも、スワンクが逆転でオスカーを受賞。今年は逆にスワンクが俳優組合賞を受賞して本命視されているが果たして・・・?


●ドラマvsコメディ
ライバル2人はともにゴールデン・グローブ賞のドラマ部門とコメディ・ミュージカル部門で主演女優賞を受賞。しかし、同じ賞でもオスカー前哨戦としての価値は雲泥の差。ドラマ部門で受賞のスワンクが圧倒的有利。

●ウォーレン・ベイティ
アネット・ベニングの夫はかの有名なウォーレン・ベイティ。急進的な民主党支持者としても知られる彼だが、その政治意識が災いしてか、決してアカデミーに受けのいい俳優ではなかった。結果、監督賞は受賞したものの、彼が俳優として評価されることはなかった。反ベイティ感情の灯火はもはやくすぶるほど小さいと思うが、今回のような接戦では意外と影響が少なくないかも・・・?

●若手に厳しい部門
子役にやすやすと賞をあげてしまう助演女優部門と違い、こちらは若手に厳しい。キャリアを積んだ女優でなければ受賞の資格なしと言わんばかりだ。コロンビアの新星モレノにとっては嫌なデータ。
結論

この部門の予想は本当に難しい。下馬評ではヒラリー・スワンクが本命視されているが、正直彼女の演技を見ていない段階では理解できない。すでに1度オスカーを受賞している彼女は、今回受賞すれば歴史に残る大女優の仲間入りを果たす。代表作が2作品しか浮かばない女優がジョディ・フォスターやジェーン・フォンダと肩を並べる?ノン。彼女がその位置にランクされるのはまだ早い。

2年前、ジャック・ニコルソンが3度目の主演賞にリーチをかけたときにも、同じ理由で彼の受賞は阻止された。3度の主演賞受賞となれば、ニコルソンは前人未到の記録を達成することになる。それをアカデミーは許さなかった。今回も同じことが起きたとして何の不思議もない。

では今年こそアネット・ベニングがオスカー像を手に入れるのか。どうもそんな気もしない。第一、対象作への評価が低すぎる。ベニングの演技は評価されているものの、彼女のベスト・パフォーマンスではないとの声が多い。それにゴールデン・グローブ賞授賞式でのスピーチが何とも寒かった。用意されたセリフを読み上げるのに記憶の紐をたどるような拙さを見せ、艶やかさに欠けた。

それなら、授賞式に華を持たせるべく、ケイト・ウィンスレットを選出すると言うのはどうだろう。彼女なら実績もあり、華やかな魅力もある。スピーチでディカプリオにどんな言葉を贈るのかも興味がある。スワンクはまだ早い、ベニングもちょっと・・・と迷った会員が、お気に入りのウィンスレットに投票する可能性は低くない。「ネバーランド」でも熱演を見せながら助演賞部門では落選しており、その分が加味されるという期待も出来そうだ。

無茶な予想は承知の上。去年のサマンサ・モートン予想と同じ失敗を繰り返す可能盛大だ。でもこの部門は何が起きても不思議じゃない。ひとつ言えることは、例えヒラリー・スワンクが受賞したとしても、それは順当な結果などではなくサプライズだと言うこと。もし彼女の名前がすんなり呼ばれたら、「あぁやっぱりね」ではなく、「本当に!?」と驚くのが正しいリアクションだ 。




◎ 本命


モーガン・フリーマン
(ミリオンダラー・ベイビー)


○ 対抗



トーマス・ヘイデン・チャーチ
(サイドウェイ)




クライヴ・オーウェン
(クローサー)


その他の候補作品


ジェイミー・フォックス
(コラテラル)




アラン・アルダ
(アビエイター)



下馬評

3つ巴。前哨戦圧勝のトーマス・ヘイデン・チャーチだが、重要賞で取りこぼして失速気味。逆にゴールデン・グローブ賞受賞のクライヴ・オーウェンと俳優組合賞受賞のモーガン・フリーマンがオスカーレースをひっぱる形に。キャリア豊富なフリーマンがやや有利か。
キーワード

●前哨戦
批評家賞を総なめする圧倒的な強さを見せたのはトーマス・ヘイデン・チャーチ。他の追随を許さない独走だったが、オスカー前哨戦として最重要となる2つの賞で落選。終盤戦でやや失速した。逆に、NY批評家賞やゴールデン・グローブ賞など、肝となるところで勝負強さを発揮したクライヴ・オーウェンも前哨戦実績では差がない。それに対してモーガン・フリーマンは実績でやや劣るも、俳優組合賞での受賞が大きくモノを言いそうな気配。


●老優に甘い部門
過去、ジャック・パランスやジェームズ・コバーンなど、地道にキャリアを積み重ねてきた老優に功労賞的意味合いで授与される機会の多かった同部門。今年、その対象となりそうなのがモーガン・フリーマンアラン・アルダだ。特にアルダは今回が初のノミネートで、先にあげた2人のときと条件がピタリと重なる。


●黒人称賛の年再び
主演賞確実と評判高いジェイミー・フォックスとあわせ、演技賞に3人の黒人がノミネート。うちフォックスフリーマンは本命視されており、01年以来2度目となる黒人俳優2人の受賞となる公算が高い。懐の深さを見せたいアカデミーはこの2人に票を集める?


ポール・ジアマッティ落選の影響
今年のオスカーノミネーション発表で最も嘆かれたのは、主演男優部門におけるポール・ジアマッティの落選だ。彼の名演を支持する票は、共演者たちに流れるだろう。その恩恵を受けるはトーマス・ヘイデン・チャーチと助演女優部門のヴァージニア・マドセンだ。

ジェイミー・フォックス受賞の可能性?
監督賞がスコセッシに流れた場合、イーストウッドは主演男優賞に回り、フォックスは助演男優賞を受賞するというシナリオが囁かれている。確かにみんなオスカー像を手にしてハッピーだが、これでいいのか!?
結論

この部門も何とも読みにくい。

キャリア称賛の流れからモーガン・フリーマンが一歩抜きん出ているようにも見えるが、ゴールデン・グローブ賞での落選が大きく影を落とす。そのゴールデン・グローブ賞で栄冠を勝ち取ったクライヴ・オーウェンは俳優組合賞にノミネートもされていないとあって、力関係はますます複雑化の様相を示している。

前哨戦で最も多くの賞を受けたのはトーマス・ヘイデン・チャーチだが、重要賞で落選し、終盤やや失速。彼が再浮上するには、ノミネート落ちとなったポール・ジアマッティの支持票が必要だ。彼の不安要素はハリウッド映画でのキャリアに乏しい点で、知名度もあまり高くない。キャリアを重視される同部門ではやや苦戦が予想される。

同じ理由でクライヴ・オーウェンも減点対象だ。次期ハリウッドスターを期待される彼は、活動の拠点をアメリカに移してからまだ日が浅い。これが若手に優しい助演女優部門なら受賞の確率もグンとアップするが、ここでは将来性よりもキャリアが重視される。俳優組合賞でのノミネート落ちは同業者からの支持の薄さを如実に証明しており、投票母体の重なるアカデミー賞において飛躍的な得票アップは期待できそうもない。

というわけで、ここはやはりモーガン・フリーマンの初受賞となる公算が高い。黒人を代表する俳優である彼には主演賞をとって欲しい気持ちが強いが、名バイプレイヤーとしての存在感も一流の彼には助演賞の勲章もふさわしい。イーストウッド人気が盛り上がりを見せる今年こそ、無冠の歴史に終止符を打つときだ。




◎ 本命


ケイト・ブランシェット
(アビエイター)


○ 対抗



ナタリー・ポートマン
(クローサー)




ヴァージニア・マドセン
(サイドウェイ)


その他の候補作品


ローラ・リニー
(Kinsey)




ソフィー・オコネド
(Hotel Rwanda)





下馬評

ケイト・ブランシェットヴァージニア・マドセンの一騎打ち?ゴールデン・グローブ賞受賞のナタリー・ポートマンも侮れず。
キーワード

●前哨戦
批評家賞で他を突き放したのはヴァージニア・マドセン。ただし重要賞では落選し、終盤やや足踏み。2番手につけるはケイト・ブランシェットで、俳優組合賞の受賞で実質マドセンを逆転か。ナタリー・ポートマンもゴールデン・グローブ賞受賞で一気に浮上。


●若手に優しい部門
古くはテイタム・オニール、記憶が新しいところでもアンナ・パキンなど子役にも惜しみなくオスカー像を贈呈してしまうのがこの部門。マリサ・トメイやアンジェリーナ・ジョリーら将来有望とされた女優への期待込みの投票が行われるのが特徴だ。ナタリー・ポートマンにとっては嬉しいデータ。


●カムバックドラマ
ヴァージニア・マドセンは80年代公開から90年代前半にかけて活躍したセクシー女優。長いブランクの後にカムバックを果たしたが、アカデミーはこうしたわかりやすいドラマに弱い。


●伝説の女優への敬愛
ケイト・ブランシェット
が演じるは伝説的名女優キャサリン・ヘップバーン。史上最多となる4度の主演女優賞を受賞した彼女は、間違いなくアカデミーが最もお気に入りだった女優。ヘップバーンへの敬愛がブランシェット支持につながる?

●「Hotel Rwanda」旋風
高い評価を得ながら作品賞候補を逃した「Hotel Rwanda」。国際情勢への関心高い今のアメリカで作品の人気は日増しに高まっている。作品の支持者はどこかでこの作品に票を投じるだろうが、その確率が高いのがこの部門のソフィー・オコネド。サプライズ受賞の下地はある。
結論

妖艶なブランシェットマドセン、そして若く瑞々しいポートマン。主演女優部門よりずっと華のある面子がそろった感のある助演女優部門だが、オスカーの行方もこの3人に絞られていると言ってよさそうだ。

ゴールデン・グローブ賞授賞式でのポートマンは実に初々しく魅力的だった。老会員たちはその姿に目を細めたに違いない。若手に優しいとされる同部門にあって、ポートマンほどその対象としてピタリと当てはまる存在はない。若手に贈られる賞のほとんどがサプライズによるものだったことを考えると、3番手評価の彼女が受賞するというシナリオは意外と想像しやすいかもしれない。

対してカムバック劇が受けそうなマドセンは重要賞で相次いで落選しやや失速。それでもスランプを経験し辛酸をなめた経験のある彼女に対する同情と、それを克服した精神力への称賛は大きな得票を生むだろう。

ブランシェットも負けてはいない。俳優組合賞受賞で一歩リードした感のある彼女はこのメンバーなら演技力に対する評価はズバ抜けている。いずれは主演賞を受賞する器だが、今この段階で助演賞を受賞するのもいいだろう。比較されるメリル・ストリープも最初の受賞は助演賞だった。

正直言ってこの部門だけを見て予想するなら、個人的にはナタリー・ポートマンを推したい。これまでの傾向が彼女の受賞を裏付ける。マドセンのカムバックよりも、若いポートマンの将来性に投票する会員のほうが多いように思える。

ただ、それでもブランシェットを本命に推したのは、「アビエイター」の受賞数を考えてのことだ。予想通りことが進むとすると、作品賞を受賞する「アビエイター」は監督賞も主演男優賞も脚本賞も逃し、主要部門での受賞はわずか1部門となってしまう。これではバランスが悪い。本命視されている部門くらいはせめて順当にとっておきたいところだ。







予想




キーア・ピアソン、テリー・ジョージ (Hotel Rwanda)
マイク・リー (ヴェラ・ドレイク)
ジョン・ローガン
(アビエイター)
チャーリー・カウフマン (エターナル・サンシャイン)
ブラッド・バード (Mr.インクレディブル)
コメント

作品賞候補から漏れた「Hotel Rwanda」「ヴェラ・ドレイク」両社会派ドラマの争いと見る。これまで監督賞含め3度ノミネートされながら受賞のないマイク・リーはそろそろ順番がきてもおかしくないが、アカデミーは世界情勢への関心をアピールするために「〜Rwanda」を選ぶのではないか。



予想




アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー (サイドウェイ) ホセ・リベラ (モーターサイクル・ダイアリーズ)
ポール・ハギス (ミリオンダラー・ベイビー)
リチャード・リンクレイター他
 (ビフォア・サンセット)
デビッド・マギー (ネバーランド)
コメント

前哨戦をほぼ総なめにしたアレクサンダー・ペインジム・テイラーの脚本に敵なし。作品・監督賞でほぼノーチャンスとなってしまった現状なら、この部門に票が集中するはず。
対抗は「ミリオン〜」よりも「モーターサイクル・ダイアリーズ」。日記という脚色の難しい素材を見事に料理した手腕が評価されそうだ。



予想




ロバート・リチャードソン (アビエイター)
ブリュノ・デルボネル (ロング・エンゲージメント)
キャレブ・デシャネル (パッション)
チャオ・シャオティン
 (LOVERS)
ジョン・マシスン (オペラ座の怪人)
コメント

主要部門ではかなりの苦戦が予想される本命「アビエイター」だけに、技術部門では作品支持派が票を集中させそう。撮影賞は技術部門の中でも重要な比重を占める部門だけに、作品の格を上げるためにも受賞を望むはずだ。
対抗は組合賞受賞のデルボネル。「アメリ」でも候補になっており、2度目の挑戦で受賞なるか。



予想




ポール・ハーシュ (Ray/レイ)
セルマ・スクーンメイカー
 (アビエイター)
ジョエル・コックス (ミリオンダラー・ベイビー)
ジム・ミラー、ポール・ルーベル
 (コラテラル)
マット・チェシー (ネバーランド)
コメント

スコセッシ映画を支える敏腕編集者、セルマ・スクーンメイカーが2度目の受賞を果たす・・・と言いたいところだが、「スター・ウォーズ」でオスカーを受賞後、桧舞台から遠ざかっていたポール・ハーシュの長いキャリアに対する支持票が集まりそうだ。これからもスコセッシ映画を担当し続けるスクーンメイカーには今後もオスカー受賞のチャンスは山ほど訪れる。



予想




ダンテ・フェレッティ他 (アビエイター)
リック・ハインリクス (レモニー・スニケット〜)
アリーヌ・ボネット (ロング・エンゲージメント)
アンソニー・プラット (オペラ座の怪人)
ジェンマ・ジャクソン他 (ネバーランド)
コメント

天才美術監督と謳われながら意外にもオスカー受賞経験のないダンテ・フェレッティ。実に6度の候補に挙がりながら受賞なしとは、アカデミーがいじわるしているとしか思えない。そんなフェレッティにとって今年は最大のチャンス。長い不遇の歴史についに終止符を打つときがきた。



予想




サンディ・パウエル (アビエイター)
コリーン・アトウッド (レモニー・スニケット〜)
ボブ・リングウッド (トロイ)
アレクサンドラ・バーン
 (ネバーランド)
シャレン・デイヴィス (Ray/レイ)
コメント

ハリウッド全盛時の華やかなドレスを再現した「アビエイター」が最有力。5度のノミネート経験を持つベテラン、サンディ・パウエルが2度目の受賞を果たすだろう。5部門以上の受賞を果たしたい「アビエイター」陣営にとっても、ここは落とせないところ。対抗はこちらも4度のノミネートで1度の受賞歴を持つ大御所コリーン・アトウッド。ティム・バートン作品で培ったセンスで独特の世界を構築する。



予想




ヤン・A・P・カチュマレク (ネバーランド)
トマス・ニューマン (レモニー・スニケット〜)
ジェームズ・ニュートン・ハワード (ヴィレッジ)
ジョン・ウィリアムス
 (ハリー・ポッター〜)
ジョン・デブニー (パッション)
コメント

例年のように大御所たちの名前がズラリと並ぶ中、新鮮なのはポーランドの作曲家ヤン・A・P・カチュマレクの存在。ゴールデン・グローブ賞候補のうち、アカデミー賞にノミネートされたのは彼一人で、当然最有力視されて然るべきだ。ただし、5度の候補経験を持ちながら受賞していないトマス・ニューマンJ・N・ハワードの大御所二人のほうに優先度が高くつけられる可能性もある。



予想




"Learn To Be Lonely" (オペラ座の怪人)
"Accidentally In Love" (シュレック2)
"Al Otro Lado Del Riacuteo"
(モーターサイクル〜)
"Believe" (ポーラー・エクスプレス)
"Look To Your Path" (コーラス)
コメント

この顔ぶれなら、アカデミーはブロードウェイの天才に恩を売るべく一票投じるだろう。J・シューマカーによる演出は不評だったが、ウェバーの作曲に文句をつける人間は皆無だ。授賞式でビヨンセがどんな風に歌い上げるか注目だ。劇中での使われ方、授賞式でのパフォーマンスともにインパクトありそうなのは「シュレック2」。一般受けしやすい曲だけに侮れない。



予想




ヴァリ・オライリー他 (レモニー・スニケット〜)
キース・ヴァンデラーン他 (パッション)
ジョー・アレン他 (海を飛ぶ夢)
コメント

コンテンポラリー部門の2作品よりもインパクトで圧倒する「レモニー〜」が一歩リードか。美術、衣装デザイン部門でも候補に挙がっているように、スニケット原作の世界の再現には高い評価が寄せられている。「パッション」に授与するようであれば、映画を教書と崇めるキリスト教保守派に対する痛烈な皮肉と受け取られかねないが・・・。



予想




スコット・ミラン他 (Ray/レイ)
トム・フライシュマン他
 (アビエイター)
ランディ・トム他 (Mr.インクレディブル)
ランディ・トム他 (ポーラー・エクスプレス)
ケビン・オコネル他 (スパイダーマン2)
コメント

アニメ2作品に、大規模な視覚効果を駆使したスケールの大きい2作品。どれも有力だが、やはりレイ・チャールズの音楽を丁寧に取り扱った「Ray/レイ」が最も票を集めやすいだろう。もっとも、ライブシーンなどでの音の収録はどういう方法をとっているのかよくわからないが(全部昔の音源を再利用してるってことはないよね?)。



予想




マイケル・シルバー他 (Mr.インクレディブル)
ポール・N・J・オットーソン (スパイダーマン2)
ランディ・トム他
 (ポーラー・エクスプレス)
コメント

「スパイダーマン2」もアクションシーンはほとんどアニメみたいなもんだから、音響効果に多くの苦労がある点では同じ。だが最有力は、映画として最も評価の高い「Mr.インクレディブル」。脚本賞にノミネートされるなどアニメを超えた評価を受けるこの作品が順当に受賞するだろう。



予想




ジョン・ダイクストラ他 (スパイダーマン2)
ジョン・ネルソン他 (アイ,ロボット)
ロジャー・ガイエット他
 (ハリー・ポッター〜)
コメント

高い評価を得ながら、エンターテイメント色が強すぎてアカデミー賞戦線では蚊帳の外だった「スパイダーマン2」。この部門くらいは受賞する資格がある。摩天楼を飛び回るスパイダーマンの映像に真新しさはないが、ドック・オックの不気味な"足"は見所十分だった。



予想




Mr.インクレディブル
シュレック2
シャーク・テイル
コメント

おそらく全部門の中で一番確実なのがここ。興行成績では「シュレック2」が制したが、映画の出来なら「Mr.インクレディブル」がズバ抜けている。(興行的にも「シュレック2」より下なのが不思議なくらいだ) もし宮崎監督の「ハウルの動く城」が今年のノミネート資格を持っていたとしても、ちょっと太刀打ちできなかったのではないか。そのくらい強力な大本命だ。



予想




海を飛ぶ夢 (スペイン)
コーラス (フランス)
Yesterday (南アフリカ)
As It Is Heaven (スウェーデン)
Downfall (ドイツ)
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ふたを開けてみれば、フランスで大ヒットした「コーラス」や、ヒトラーの半生を描いた問題作「Downfall」など話題作が集中した外国語映画賞部門。ライバルと見なされていた「LOVERS」の落選で、「海を飛ぶ夢」の受賞に敵はいなくなった。今年は他にも「ロング・エンゲージメント」、「バッド・エデュケーション」、「そして、一粒のひかり」、「モーターサイクル・ダイアリーズ」など話題の外国語映画が多くあったが、いずれもノミネート資格を有せず、「海〜」にはラッキーな結果となった。ここは取りこぼせないところ。



予想




スーパーサイズ・ミー
Born Into Brothels
らくだの涙
Tupac:Resurrection
Twist of Faith
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BoxOfficeでもベスト10入りを果たすなど大ヒットを記録した「スーパーサイズ・ミー」が最有力。テーマもわかりやすく、その取り組み方も独特。とにかく"面白い"ドキュメンタリーは一般の支持も厚い。下馬評では「Born Into Brothels」との一騎打ちと見られており、決して安泰とは言えないが、スパーロックのファンとしては是非とも受賞を果たして欲しいと期待している。



予想




Sister Rose's Passion
The ChilDren of Leningradsky
Hardwood
Autism Is A World
MightyTimes: The Children's March
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ユダヤ人に関するカトリック教会の公式教義の変更を求めるシスター・ローズの戦いを追った「Sister Rose's Passion」がタイムリーな話題で票を集めそう。ギブソンの「パッション」で再燃した宗教論争に再び火をつける問題作として敬遠される怖れもあるが、逆にアカデミーが宗教問題を軽視していないことの証明として賞を贈る可能性もある。



予想




Little Terrorist
Two Cars, One Night
Wasp
Everything in This Country Must
7:35 in the Morning
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誤って国境線を渡ってしまう少年に降りかかる出来事を通してインドとパキスタンの争いに迫る「Little Terrorist」は、戦時下のアメリカを反映する作品と言っていい。印パの争いはアメリカの関心事ではないが、すぐ隣に「悪の枢軸」が位置するのだから無視を決め込むわけにもいかないだろう。



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Birthday Boy
Gopher Broke
Guard Dog
Lorenzo
Ryan
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オーストラリア製の「Birthday Boy」は軍隊に所属する父のもとに届けられた小包を、誕生日プレゼントと勘違いした子供が開けてしまったことにより人生が一変する・・・というなかなか恐ろしいプロット。他の作品はプロットすらわからないので、とりあえずタイトルも覚えやすいこの作品に一票。