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その1

● 授賞式開幕
● オープニング・ムービー
● クリス・ロック登場



美しいセット 期待に胸が膨らむ
● いよいよ授賞式開幕!美しいセットに目を見張る

さあいよいよ第77回アカデミー賞のはじまりだ。プロデューサーは90年の第62回から通算12回目となるギルバート・ケイツ。ホストに人気黒人コメディアン、クリス・ロックを抜擢するなど、視聴率低下の嘆かれる授賞式のマンネリ化にメスを入れるべく改革に乗り出したが、その成果は表れたのか。

今年も舞台はコダック・シアター。

巨大なオペラ劇場のような作りはやはりスケール感満点で年に1度の祭典を催すにふさわしい会場だ。

オレンジを基調とした舞台の中央にはらせん状に配置された複数の巨大オスカー像がゆっくりと回転し、その隣には大型のスクリーンが設定されている。候補者たちが陣取る観客席からは白と黒、そして白とオレンジのストライプによる幅広の階段が舞台に伸びている。

天井にはガンダムのソーラレイ・システムのように複数の巨大パネルがゆるやかに弧を描きながら整列している。白とオレンジにライトアップされたコンビネーションは見事。
引きで撮られた会場全体の画は美しく、これから始まる授賞式に弥が上にも期待が高まる。




● 恒例のオープニング・ムービー 今年はやや地味

まずはオープニングムービー。
「映画には不思議な力がある」という静かなナレーションで幕を開けるそれは、ナレーションの内容に沿った映画が細かくカットバックされる構成になっている。例えば・・・


ナレーション:心に触れたり、考えさせられたり・・・愛と追憶の日々、ドライビング・Miss・デイジー
ナレーション:映画は私たちをあらゆる世界へ連れて行ってくれる・・・未知との遭遇、トゥルー・ライズ
ナレーション:登場するヒーローも最近はちょっと風変わりな場合も・・・スパイク・リー、マイケル・ムーア
ナレーション:観客は弱者や反逆者を応援する・・・狼たちの午後、スミス都へ行く、ジェイク・ラモッタ
ナレーション:道化を笑い・・・ジョン・ベルーシ、ベン・スティラー
ナレーション:時代を超えて愛される映画には不思議な魅力がある・・・ミスティック・リバー(これ以上ないイーストウッド賛美!)

そしてラスト、「過去と未来が映画を通して見事に融合するのです」とのナレーションとともに「サーカス」のラストシーンにシュレックが乱入。チャップリンが蹴り捨てた紙くずをシュレックが投げ返すと、再びチャップリンが後ろ足にそれを蹴り返す。チャップリンとCGキャラクター、確かに過去と未来を表現するには適当な素材なのかも。

この実に地味なオープニングムービーに会場しんみり。昨年、のっけから大爆笑の渦に誘ってくれたビリー・クリスタル本人が出演するオープニング・ムービーが恋しい。


● 毒舌ホスト クリス・ロックがセレブたちを斬りまくる!

そしていよいよホスト、クリス・ロックの登場。拍手喝采で迎える客席だが、立ち上がって迎えるべきなのかどうかは迷っている様子。モーガン・フリーマンやジェイミー・フォックスら黒人俳優は真っ先に立ち上がるものの、座ったままのセレブもちらほら。それでも次第に歓迎の熱狂が会場に波状し、拍手の渦は次第に大きくなる。

ロック、サンキューを連発するも鳴り止まない拍手に堪り兼ね、「わかったからそのしりを下ろせ!」

ロックのマシンガントークが冴え渡る
そして開口一番「授賞式へようこそ、今回が最終回だってさ」
授賞式前からアカデミー賞批判ともとれる問題発言を繰り返してきたロックならではのキツイ一発に場内爆笑。
つかみはOKてなわけで、ロックのマシンガントークが次から次へと飛び出す。
いくつかを紹介すると・・・


「受賞者が何のパフォーマンスも見せない授賞式ってオスカーだけ。グラミー賞では歌うし、トニー賞では歌って踊る。サルサ賞では歌って踊って銃撃戦もある」
「ちょっとは演技してほしいよな。シェークスピアの名せりふ言ったりとか、モーガン・フリーマンがシャンプーのCMしたりとか」
「授賞式で演技するのは落選したときだけ。ハリー・ベリーが受賞したときのニコール・キッドマンの満面の笑み、エミー賞もんだよ」


ロックにしてはおとなしめのジョークだが、まずは肩慣らしといったところ。


「あまりにひどい映画見て、主演俳優の経済状況を心配したことない?こないだキューバ・グッディング・Jrの「バナナ★トリップ」を見て、心配になってすぐに80ドル小切手を送ったよ
場内爆笑。まずは同じ黒人であるオスカー俳優を斬ってみせた。このキューバ・グッディング・Jr、新作はビヨンセと共演の「ファイティング・テンプテーションズ」。オスカー俳優が安いコメディで遊んでる場合じゃないぞ!ロックからの80ドル小切手がわんさか届いているんじゃない?


「映画がなぜコケるのか。配給会社が製作を急ぎすぎ。スターを起用できなかったら、とにかく待つこと。真のスターは4人だけ。あとはただのちょっとした有名人さ。」
「クリント・イーストウッドはスターだよ。正真正銘のね。でもトビー・マグワイアはタイツを履いた坊やだ」


今年の主役イーストウッドまでは茶化せなかったロック。彼にも遠慮があるなんて意外。スクリプトの段階でストップがかかったか?代わりにやり玉に挙げられたマグワイア、かわいそうに。でも確かに見た目からして坊やの彼が3億ドル以上を稼ぐ映画に主演している事実には、ロックでなくてもツッコミを入れずにはいられないところ。

「トム・クルーズを使いたくてもジュード・ロウしかいなかったら、待て!」
「ジュード・ロウって何モンだ?この4年間に見た映画全部に出てるぜ?ゲイ、ストレート、アメリカ人、イギリス人・・・来年はカリーム・アブドゥル・ジャバーを演じるそうだ」

ロックが皮肉ってみせる通り、彼の最近のワーカホリックぶりには目を見張るものがある。昨年公開された出演作が何と7本。思わぬところでやり玉にあげられたロウだが、あとで意外な人物が彼を援護することになる


「ラッセル・クロウが欲しくてもコリン・ファレルしかいなかったら・・・待て!」
「アレキサンダー」がコケてなきゃこんな風に笑われずに済んだのに・・・。

「デンゼル・ワシントンを使いたいのに僕しかいなかったら、待て!」
「デンゼルはすごい俳優だ。僕が出た”Pootie Tang”なんかにゃ出ない。あの映画を見たキューバ・グッディング・Jrから80ドル送られてきたもんな

一連のジョークに自虐ネタでオチ。



● まだまだ続くロックの一人舞台 今度はブッシュ政権を斬る!

会場のボルテージは上がる一方だが、ロックの真骨頂はここからだ。話題の「華氏911」をネタにブッシュ政権をめった斬りにしてみせる。

「今年のお気に入りの一本は”華氏911”だ」
歓声。スパイク・リー、ジョニー・デップ拍手。

「ブッシュ・バッシングのつもりはないよ。映画を見て彼を天才だと思ったね。仕事のマズさが全米中の映画館で上映されてる最中に再選を目指すなんて!」
「ブッシュが就任したとき、アメリカの経済は黒字だった。なのに今じゃ70兆ドルの赤字だ。これがGapのバイトならどうだ?1日終わってレジの金が70兆ドル足りなかったら絶対クビだろ?でもブッシュは大丈夫なんだ」
「それから戦争おっぱじめた。これがGapなら?レジの金が70兆ドル足りないのにバナ・リパと戦争始めるなんてありえない。毒性タンクトップ売ってるって理由でさ。Gapの従業員がバタバタと死んで、でも結局バナ・リパではタンクトップを売ってなかったと判明だ。」

大歓声。バッシングのつもりはないなんて良く言えたもんだ。
Gapのバイトを引き合いに出して面白おかしく話を作っているが、こんなにストレートな政権批判もない

これだけのセレブたちを前にジョークをかますってどんな気分?
続いてもう一本の話題作「パッション」も斬る。

「”パッション”も見たよ。あんまり笑えなかったな。
「あんなにヒットしたのに続編はだめなの?”ポリス・アカデミー”は第6弾まであるんだぜ?」

続編なんか作って金をかけずに、これから毎年リバイバル上映するらしいよ。これぞ究極のローリスクハイリターン!来年の授賞式でもネタにされるのか。


さてここでひとまずロックのオープニングトークは終了。最後に世界中で自由のために戦う米軍兵士の皆さんに愛を送りますとコメントしてプレゼンターの紹介に入る。
長いようで短くアッサリとしたオープニング。昨年のクリスタルが歌って踊ってサービス満点だったのに比べると、どうしても寂しく感じてしまう。


その2に続く