続いて登場はジョン・トラボルタとサンドラ・ブロック。 ステージの立ち位置に向かう途中で急にサンドラの手をとり、ダンスのマネゴトを演じる余裕を見せるトラボルタ。こんな一瞬でも見せない限り、昔彼がダンス・ホールのスターだったことは容易に想像できない。体型はすっかりごつくなったが、その代わり貫禄は十分。プレゼンター役を楽しんでいるように見える。一方のサンドラは、白のドレスがまぶしいが、胸元の貧弱さが淋しく映る。シャープな顔つきはカッコいいが、ちょっと痩せすぎ。トラボルタに比べると少し緊張気味で余裕がないような感じ。 サンドラがトラボルタに聞く。「世界初のトーキー映画って?」「1927年製作のアル・ジョンソン主演の『ジャズ・シンガー』だよ。」と得意そうな顔で答えるトラボルタ。知らなかったわ、と答えるサンドラに、「リハーサルに来ないからだよ。」 大して面白いやりとりにも思えないが、場内からは歓声が上がる。これがホスト・クリスタルの作る空気だ。 録音賞の発表。またしても『〜王の帰還』。視覚効果賞のときと同じように、4人が交代でスピーチを行う。ラストは「ニュージーランドのみなさんに感謝します。」 続いて音響効果賞。トラボルタとサンドラが引き続きプレゼンターを務める。音響効果も専門分野だぞ、という顔つきのトラボルタに、「あぁ、『ミッドナイト・クロス』で専門家を演じてたのよね。」 受賞は『マスター・アンド・コマンダー』のリチャード・キング。『〜王の帰還』がノミネートされていない部門でようやく一冠。 クリスタルが登場すると、即興で「ニュージーランドにはもう感謝すべき人が残っていません。」 場内大爆笑。 ジュリア・ロバーツがビートルズの名曲『ジュリア』に乗って登場。肌の色に近いゴールドのドレスはウェストが締まっていてシルエットが美しい。胸元は大きくVに開いているが、至極上品だ。ほどよくカールした長い髪が子顔にマッチしていて、その髪に大きなイヤリングが見え隠れしている。薄い口紅と目元ぱっちりのアイラインが彼女の美貌を際立たせる。ジュリアってこんなにキレイな女優さんだったっけ?
彼女が仰せつかった大役は、20世紀を代表する名女優キャサリン・ヘップバーンの追悼だ。晩年、ヘップバーンは著書の中でジュリアを褒めちぎっていたという。同業者に対しては一様に辛口な大女優にしては珍しいことだったらしい。ジュリアがこの大役に抜擢されたのは、そういう事情からかもしれない。 ジュリアが生前の彼女についてのエピソードを紹介する。「彼女は自分の才能について、役者なんて一流の仕事じゃないわ、と常々言っていました。シャーリー・テンプルは4歳で出来たのよ、って。」 「あるインタビューでバーバラ・ウォルターズが、『いつもパンツを穿いてるけど、スカートは持ってないの?』と尋ねると、『一枚持ってるから、あなたのお葬式に着て行くわ。』。」 場内歓声。演者として頂点を極めた彼女であったが、彼女が愛された理由はむしろ、その人となりにあったと言っていい。そんなことを窺わせるエピソード紹介の後、追悼VTRが始まる。 若き日の美貌を写し出す数枚のスティル・イメージの後、彼女の代表作が尽きることなく紹介される。『勝利の朝』 『フィラデルフィア物語』 『赤ちゃん教育』 『女性No.1』 『アダム氏とマダム』 『パットとマイク』 『アフリカの女王』 『旅情』 『夜への長い旅路』 『去年の夏突然に』 『雨を降らす男』 『招かれざる客』 『冬のライオン』 『オレゴン魂』 『黄昏』 錚々たる作品群。VTRでは紹介されなかったが、『乙女よ嘆くな』でもオスカー候補に上っている。その数、実に12回。うち4度の主演賞受賞は、まさに空前絶後の大記録と呼ぶに相応しい。そんな彼女が逝ってしまったことは映画界にとって大きな損失だが、会場に暗さはない。彼女が人生を全うしたことをみな知っているからだ。 オプラ・ウィンフリー登場。先程クリスタルに富豪ぶりを茶化されていたが、彼女、そんなに金持ちなのか??トークショーのホストとして有名な彼女は、日本ではあまり馴染みがない。ともあれ、女優として最高級のギャラをもらっているジュリアより金持ちだとすれば、トークショーのホストというのは相当儲かるものなのだろう。 そんなことはさておき、彼女が紹介するのは『ミスティック・リバー』。「I love great movies.」という第一声で始まった紹介文は、作品のテーマを端的に語っているが、ユーモアは一切なし。口調も控えめで、作品の雰囲気を損なわないように配慮しているようにも見える。オプラってもともとこういう人? ダイアン・レインとジョン・キューザックが登場し、短編ドキュメンタリー賞を発表する。レインは大胆に胸元の開いた白のドレスで露出度は高いが、下品な感じは全くしない。撫で付けたダークブラウンの髪が小顔を際立たせ、実年齢よりかなり若く見せる。個人的には先ほどのジュリア・ロバーツと共にベスト・ドレッサー候補。 レインが短いコメントを入れた後、キューザックはさっそく候補者の名前を読み上げ始める。ショウとしては時間を切り詰めたい部門なのはわかるが、彼も一言くらい何か喋ってもいいのに・・・と思う。 候補者の名前が読み上げられる間、レインはウィナーの書かれた封筒をあごに挟んだり、キューザックの背中をつまんだりしている。ちょっとぶりっ子入っているが、ドレスのせいで可愛く見せる。間違いなく確信犯。さすが女優だ。ただ、10年後に同じことをやるとゴールディ・ホーンになってしまうので要注意。 受賞は『Chernobyl Heart』のマーヤン・デリオ。スピーチの声が震えていたが、本人も「立っているだけで精一杯だわ。」と告白。これが当然の反応だろうな、と素直に思う。こんな舞台で歌ったりジョークを飛ばしたりできる人間は普通ではない。 |