第三部
ボブ・ホープ追悼〜視覚効果賞

ビリー・クリスタルが神妙な面持ちで、世界中にいる米軍兵士たちに挨拶しましょうと会場に促す。
その後、トム・ハンクスが米軍のマーチに乗って登場。「粋な音楽(snappy tune)だね。」と言って笑わす。ハンクスは昨年亡くなったボブ・ホープを紹介。『フォレスト・ガンプ』のメインテーマに乗せて、追悼フィルムが上映される。俳優としてはオスカーに縁がなかったホープの恨み節ジョークが延々と繰り返される。さすがは名司会者。ウィットに富んだ発言が楽しい。彼がホストを務めた授賞式を見たことはないが、なぜ彼が愛されたのか、その理由が短いフィルムの中に凝縮されている。授賞式のホストを最多18回務めた名コメディアンは、過去にアカデミーから名誉賞を受賞している。

CMが明けると、少々湿っぽくなった空気を温めるべく、ベン・スティラーオーウェン・ウィルソンのコンビが登場。舞台の両サイドから別々に登場してきた両者が、中央で顔を合わせる。スティラーは怪訝そうな顔でウィルソンを見つめている。それもそのはず、スティラーはサングラスにカツラ、衣装はジーンズに胸のはだけたグレーのシャツ、ニットのジャンパーという変てこな格好。対するウィルソンはタキシードでばっちり決めている。
「ハッチの衣装はどうしたんだよ?」 「やめたんだよ。だって映画の宣伝なんて恥知らずだろ?」 「ビリー・クリスタルは馬に乗って映画の宣伝をしたじゃないか!」。(クリスタルが1990年の授賞式オープニングで馬に乗って登場したシーンは有名。自身の主演作『シティ・スリッカーズ』の宣伝目的もあったが、本当はその年の作品賞本命作品『ダンス・ウィズ・ウルヴズ』のパロディだった。)
ちなみに2人が宣伝しようとしたのは、2人の主演による新作『Starsky & Hutch』で、授賞式直後の3/5から公開予定。宣伝効果のほどはいかに?

オトボケの後、2人が発表するのは短編実写賞。『Two Soldiers』の受賞を告げると、受賞者のアーロン・シュナイダーアンドリュー・J・サックスが壇上へ。まずはサックスがスピーチを始めるが、例によってメモを片手に名前を連ね始める。隣ではシュナイダーもメモを片手に残り時間を心配そうにしている。しかしサックスのスピーチは終わらない。「まだCMに行かないで!」と必死に訴えて会場の笑いを誘うが、それを心配する前に同僚の持ち時間を心配してあげようよ。
結局、この日初めて退場を促す音楽が流れ始め、シュナイダーのスピーチはなし。かわいそう。でもシュナイダーはにこやかに退場する。いい人なんだろうなぁ。後でケンカして自分たちが製作した映画のタイトルさながらにならなければいいけど。

ベンオーウェンはもう一つ、短編アニメ賞も発表。『Harvey Krumpet』アダム・エリオットは赤いインナーシャツにノーネクタイとなかなか派手な衣装。この22分間のクレイ・アニメーションを「構想10年」と言っていたが、そんなに構想することがたくさんある作品なのだろうか?見る機会に恵まれれば、ぜひ見てみたい。

『〜王の帰還』の音楽に乗ってリヴ・タイラー登場。踊り場のマイクの前に立つと、おもむろに眼鏡をかける。カンペを読むため?少々ふっくらした顔つきだが、ご自慢の唇が肉感的で美しい。眼鏡は微妙。

主題歌賞候補の"You'll be my ain true love"を紹介すると、アリソン・クラウススティングによる楽曲の披露が始まる。シンプルなメロディが淡々と繰り返されるので、メロディライン嫌でも耳に残る。ところでスティングが演奏している楽器(*1)は一体・・・?
*1・・・ハーディ・ガーディ。バイオリンなどと同じ擦弦楽器で、底にあるハンドルを回すことで音を奏でる仕組み。音はバグパイプに似た感じなのだとか。(ponさん、情報提供感謝です)

続いてアリソン・クラウスエルビス・コステロ他による"Scarlet Tide"の演奏。とてもキレイなメロディをクラウスが控えめに歌う。歌が佳境を迎えると舞台袖から30人ほどの合唱隊が現れる。歌もパフォーマンスもこちらのほうがよかった。映画ではどんな使われ方をしているんだろう。

合唱隊が壇上からはけると、今度はアニー・レノックスによる"Into the West"の披露。何度か聴いたが、まだこの歌のメロディは頭に入ってこない。そのうちスタンダードになるんだろうか? 3曲続けて聴くとさすがにちょっと疲れる。TV中継もいったんCMへ。

CMがあけると、再びクリスタルによる余興。「司会8回目の僕ともなると、会場にいるセレブの顔を見ただけで、その人が何を考えているかわかります。」
スクリーンに俳優たちの顔がアップになると、クリスタルが彼らの心の声を代弁する。

ショーン・ペン「僕が追い出されないなんて、何ていいところなんだ!」
ダイアン・キートン「会場まで来て車で待ってるウッディ(・アレン)の気が知れないわ」
スカーレット・ヨハンソン「(映画の中でビル・マーレイに耳元で囁いた言葉は)ライトが当たらないから左に寄って。右(ライト)じゃなくて左だってば。」
ジュリー・アンドリュース「ジャネットとお揃いの二プレスが痛いわ」
レニー・ゼルヴィガー「ビリー・クリスタル夫人になりたい」
ショーン・コネリー「プッシー・ガロア(*1)。今頃気づいた。何て下品な言葉なんだ。」
シャリーズ・セロン「ビリー・クリスタル夫人になりたい」
ベン・キングズレー「サー・ビリー・クリスタル夫人になりたい」
ジュリア・ロバーツ
「美人だからって嫌わないで。金持ちだから嫌うのはわかるけど。」
オプラ・ウィンフリー「あんたが金持ちを名乗るんじゃないわよ、小娘」
ロビン・ウィリアムズ「みんな下がって!おれ様の小さなオスカー像を出しちゃうぞ!旧式フォード車(*2)が電気つけっぱなしだって!プチ整形すると例え受賞できなくても顔が硬直して作り笑顔を維持できる!凄腕のウィリアム・モリス
(*3)がエージェントを雇ったってさ!ジャック・ヴァレンティ(*4)さん、あなたのDVDが出ました! M・ブランドの代役だった彼女(*5)は今でもカジノ中毒なんだって!故ストロム・サーモンド議員(*6)のお子様は白か黒の電話に出てください!」

*1・・・コネリー主演の『007 ゴールド・フィンガー』オナー・ブラックマンが演じたボンド・ガールの名前。
*1・・・ソフィア・コッポラの実父フランシス・「フォード」・コッポラとかけたジョーク
*2・・・19世紀に活躍したデザイナー。彼デザインの食器や生地がブームとなっている。
*3・・・MPAA[米映画協会]会長。昨年、アカデミー候補作品のDVD配布禁止令を出して物議を醸した
*4・・・オスカー受賞拒否したブランドが代理人として送り込んだサチーン・リトルフェザーのこと。でもカジノ中毒って?
*5・・・人種隔離論者として有名な元大統領候補。

クリスタルはノリノリでウィリアムズのモノマネを楽しんでいる。この2人、プライベートでも相当仲がいいんじゃないだろうか?
ようやく余興が終わり、続いてクリスタルがプレゼンターのウィルジェイダ・ピンケット・スミス夫婦を紹介する。「魅力的で知的で正直で優しくて愛情深くて立派に子育てしているという、ハリウッドでは恥ずべき夫婦です。」
爆笑の中、2人は仲睦まじそうに手をつないで登場する。視覚効果賞の発表。終始ニヤニヤのウィル「妻と一緒で嬉しくて・・・」 妻のジェイダは細すぎて頬がこけ、ちょっと不健康にすら見える。でも2人揃って笑顔で幸せそうだ。クリスタルの紹介も強ち嘘ではないのかも。
『〜王の帰還』をコールすると、受賞者の4人が壇上へ。予め打ち合わせ済みだったのか、4人均等に時間配分して感謝の言葉を述べていく。3年連続での受賞ともなると、慣れたものだ。


代わってジェニファー・ガーナーが壇上へ。朱色のドレスに耳元の大きなイヤリングが印象的。
2/14に行われた科学技術賞授賞式の司会を務めたので、その報告を行う。「バレンタイン・デーに仕事なんて、幸せな女でしょ?」 ヤヤ受け。デイブ・ラボルトビル・トンドリューピーター・D・パークスの受賞挨拶の模様が放送される。受賞者のみなさんには悪いが、全世界が少し退屈を強いられる時間。でもこの後、その穴埋めと言わんばかりに、今年の授賞式最大の見せ場が待っている。