第二部
美術賞〜助演女優賞発表

CMあけてサー・イアン・マッケランが登場。『〜王の帰還』を紹介する。短く刈り込まれた頭髪は白く、ガンダルフよりもマグニートーに近い印象。一昨年、若い美青年をエスコートして会場入りした際に感じた色気は衰えを見せず。
スクリーンに紹介VTRが上映される。ラスト近くのアラゴルン戴冠の場面だ。まだ作品を見ていない人にはちょっと気の毒。

アンジェリーナ・ジョリーが真っ白なドレスで登場。黒髪がよく映えて美しいが、左腕のタトゥーが目立つ。出演作は『トゥームレイダー2』『すべては愛のために』と続けて大コケ、プライベートでもビリー・ボブとの離婚など散々なジョリーだが、曲がりなりにもオスカー女優だ。ピンで美術賞を発表する。
受賞はグラント・メイジャー『〜王の帰還』。これより始まるROTKフィーバーの幕開けとなる瞬間だった。

受賞者たちがはけると、クリスタルが突然威勢のいいマシンガントークを展開する。「誰が一番稼いでいるかって?メルだ!いや、ベニチオ・デル・トロだ!」何だ?このテンションは。クリスタルの芸風じゃない。それに、どこかで聞いたことのある声。「メルだ!デル・トロだ!」。止まりそうもないハイ・テンションの最中、クリスタルが後ろを振り返ると、そこには背中に隠れるようにして身を潜めていたロビン・ウィリアムズが。声の主の登場に場内大爆笑。
クリスタルウィリアムズを紹介。「彼が授賞式が5秒遅れで放送されることになった原因です。」 再び爆笑。ジョークに応えるようにタキシードから胸をはだけさせるウィリアムズ。映画界でもジャネットは格好のジョークのネタだ。それにしても2人の掛け合いは楽しい。きっと半分はアドリブなのだろうと思うと、彼らのウィットに驚嘆せずにいられない。

クリスタルに促され、仕方なくアニメーション映画賞の発表に移るウィリアムズ。しかしまだ彼の見せ場は終わらなかった。候補作紹介の前にディズニーの内紛をチクリとやるのを忘れない。「候補作3本のうち、1本はディズニー、1本はピクサー、これ元ディズニー。」さらに「(ディズニー会長の)アイズナーさん!ミラマックスを手放したら、ぬいぐるみと滑り台しか残らないよ!」。ここまで言って気が済んだか、ようやく受賞者の名前を発表。このときだけはウィリアムズも真面目に名前を読み上げる。そんな受賞者への配慮が嬉しい。

受賞者のアンドリュー・スタントン『ファインディング・ニモ』)は「8回生(中学2年)の頃から変わらず愛しているよ」と会場にいる奥さんにメッセージを贈る。スピーチの最中、一瞬謙さんがアップになる。

ウィリアムズスタントンが壇上を去り、会場はようやく落ち着いたムードに。そこへ白いドレスに髪をアップしたレニー・ゼルヴィガーが登場。次は助演女優賞の発表だっていうのに!『BJ日記2』の撮影で体重を増やしている最中の彼女、細く見えるドレスを選んだのだろうが、やはり立派な二の腕は隠せない。でもゴールデン・グローブ賞の時に比べればずいぶん痩せた。撮影は終わったのかな?
毎年そうだが、厚過ぎる化粧が彼女の美貌を完璧に破壊している。まつげは長すぎて青い瞳が見えず、頬紅も極端なほど塗りたくられている。すっぴんのほうが全然マシなのでは?
そんな彼女が衣装デザイン賞の発表でナイラ・ディクソンリチャード・テイラーの名前を読み上げる。『〜王の帰還』の二冠目だ。ディクソンテイラーはさすがデザイナーだけあって衣装が決まっている。たまに、個性を意識しすぎて暴走してしまっているデザイナーがいるが、この2人は自然に格好いい。
テイラースタントンに負けじと、13歳の頃から付き合っているパートナーに愛の言葉を贈る。

ここでクリスタルによる余興が入る。「著名人たちにお気に入りの映画を聞いてみました。」スクリーンに大写しにされる有名人たちの顔。それに合わせ、クリスタルが彼らお気に入りの作品名を挙げていく。
例えば・・・

ヒラリー・クリントン・・・『キル・ビルVol.1』
ラッシュ・リンボー(超保守派のコメンテーター)・・・『21グラム』
ラムズフェルド国防長官・・・『コンフェッション』
ディーン元大統領候補・・・『NY式ハッピー・セラピー』
サダム・フセイン・・・『穴/HOLES』
などなど。

再び会場の空気が温まったところで、ニコラス・ケイジの登場。黒のタキシードでバッチリ決めているが、襟のあたりが少し緩くてたるんでいる。でもダークブラウンの髪がよく映えてカッコいい。従妹ソフィア『ロスト・イン・トランスレーション』の紹介と思いきや、一見何の縁もなさそうな『マスター・アンド・コマンダー』を紹介。ピーター・ウィアーとの仕事経験もないし、ラッセルと共演したわけでもない。一体どんな接点が?
作品紹介が終わるとウィアーのアップ。ウィアーは大写しになる度、少し緊張したような面持ちだった。アカデミーは早くこのインテリの才人にオスカー像を授与するべきだ。

クリス・クーパー登場。ボタンの大きなシャツに蝶ネクタイ。やや眉間にしわを寄せるいつものポーカーフェイス。だが洗練されていて、映画で演じるような粗野な一面は垣間見られない。ニコリともせずに真面目くさったコメントを発した後、さっそく助演女優賞の候補者を紹介し始める。
交代でアップが写し出される候補者たち。 ショーレイ・アグダシュルーはハデなアイラインに濃すぎる口紅が人形のようでコワイ。映画とは別人のよう。パトリシア・クラークソンは金髪にゴールドのドレスがよく似合っていて、年相応の美しさを見せる。マルシア・ゲイ・ハーデンは妊娠中のご様子。大きなお腹を重そうにしながら椅子に深く腰掛けている。ブルーのドレスは派手で目を引く。ホリー・ハンターは肩のあいたピンクのドレスで可愛らしさを演出。さすがに年を感じるものの、さわやかな笑顔でカバー。レニー、終始はにかんだように下を向いている。というより、まつげが長すぎて目が開いているのかどうかもわからない。

クーパーが相変わらず表情ひとつ変えずに受賞者の名前を呼ぶ。レニー・ゼルヴィガー。信じられない、といった軽い芝居を入れた後、隣に座っていた巨漢のマネージャーと抱き合い、壇上へ。階段を上るレニーの背中がアップになると、ドレスの背の部分が大きなリボンになっていることがわかる。前から見ると何の変哲もないドレスだが、なるほど、後ろから見るとインパクトがある。

「I'm overwhelmed. I'm overwhelmed.(圧倒されています)」と2回繰り返すと、手にしていたメモを見ながら必死に感謝すべき人たちの名前を読み上げ始める。
最近特に思うが、この風習は無くしたほうがいい。たったの45秒くらいの与えられた時間の中、感謝する人の名前を全て挙げなければいけないのだとしたら、他に何もスピーチするヒマはない。映画ファンが望む感動的なスピーチも気の利いたジョークも、年々聞かれなくなっているような気がする。
レニーは出世のきっかけを作ってくれたトム・クルーズにも感謝。「優しさと成功は両立することを教えてくれた」。 感謝の対象は共演者、父母と続き、ついには初期に所属した事務所のみなさんにまで及ぶ。そして最後に最大級の感謝の言葉を贈ったのは、意外にも巨漢のマネージャー、J・キャリビーナに対してだった。最前列のレニーニコールの間の席に座って、しかもこんな感謝の言葉までもらっちゃうなんて、彼はその夜最も幸福な男の一人だったかも。