c) Tangerine Dream / Melrose
(1990) [2078-2-P ,Private]
[E.Froese, P.Haslinger, J.Froese]
最近のTangerine Dreamは大量にCDを発売するので、どれがどうやらすぐわからなくなってしまいます。
私も最近のリズミカルなTangerine Dreamもやっと聴けるようになりました。(全然感想になっていない)
最近、Konrad Schnitzler(現在はConrad
Schnitzler)のLP3枚とカセットテープ1本のセットに18万円使ってしまった。
SchnitzlerはTangerine Dreamの最初のアルバム"Electronic
Meditation (1970)"に参加後、脱退してKlusterで活動するとともに、ソロ活動を始めた人です。
ソロ活動の最初のアルバム"Schwarz (1971)"、2枚目の"Rot
(1972)"、3枚目の"Blau (1973)"(その名前通り黒、赤、青のジャケットに入っている)、および実験的なテープが(ちょっと緑がかった黒い箱の)ボックスセットになったものです。
図形譜のような音楽のスコア風のものも入っています。
Schnitzlerの初期の作品は非常に数が少ないらしく、このセットも100セットのみ作られたようです。
私が知っている限りCDになっているものは、BADLANDから出ている"Constellations
(1987)"のみです。
(Schnitzlerの音楽を好きになったのは、このCDを聴いてからですが)
Schnitzlerの音楽はエレクトロニクスを多用しているものの、ドイツの当時の音楽を含めても、かなり異質で独在した音響世界を作り出しているものだと思います。
"Schwarz"の"Eruption
I"では、発信音の中に断続的にギターらしき音が響いてくるものから始まり、次第にギターの弦を弾くのではなく引っ掻いたようなバイオリン風の音やチェロ風の音が混じりあった音へと変化していきます。
この辺りは多少Tangerine Dreamの最初のアルバムを引きずっている様なところもあります。
"Eruption II"では、鐘のなるような音にギターやベースの音が絡まってきて、次第にノイズっぽい混沌とした音響世界に笛のような音が響いているものへと変化します。
(なんでこううまく説明できないんだろう、読んでいる人はわからないだろうな)
"Rot"の"Krautrock"では、その名前の通り前編を通じて音色は様々に変化しますが、延々とロック風のリズムが続いていく作品です。
"Meditation"は、持続音と上昇・下降していく電子音が交錯していくような不思議な音響から始まり、後半では離散的に存在する電子音の響きを聴かせるという、初期のミュージックコンクレートのような音色を持ったものになってきます。
"Blau"の"Die
Rebellen haben sich hinter den Bergen versteckt"では、低音の持続音の上に、高音の電子音の何本かの音の束が重ね合わされています。
そして、そこに鐘のような打楽器風のリズムが加わってきて、次第にこのリズムが支配的になってきます。
"Jupiter"は、細かい打音風の電子音の連続に、羽音のような唸る音とかが絡んでくるものです。
テープの作品"Detail
aus Work in Progress"はオルガン風の持続音の上に金属の打音、人の話し声などか重なり合わされたものです。
ただ、録音レベルが低いのが難点。
c) Conrad Schnitzler / Constellations (1987) [BAD005, BADLAND]
ジャーマン・プログレのSchnitzlerの比較的新しい作品です。
明確なリズム、メロディ、ハーモニーを持たず、電子音響の響きの中に様々な音がちりばめられているという、いわゆるスペースミュージックです。
どこかの星の表面にぼんやりと人の顔のようなものが浮き出ているような印象的なジャケットにも惹かれるものがあります。
内ジャケットはサイケデリック(今でもこの言葉はある?)なメイクをしたSchnitzlerの写真が載っています。(この人はいったいどういう性格の人なのだろう?)
SchnitzlerはTangerine Dreamのファーストアルバム"Electronic
Meditation(1970)"のときのメンバーでもあります。(このファーストアルバムの内容はともかくとして、メンバーはEdgar
Froese、Klause Schultze、Conrad Schnitzlerとすごいものがあります)
また、Kluster(Schnitzlerが抜けてClusterに改名)の"Klopfzeichen(1969)"、"Kluster
Zwei Osterei(1970)"のときのメンバーでもあります。
相変わらずのKlaus Schultze節というのでしょうか、緩やかなメロディから始まり、最後にパーカッション風のリズムパターンが導入されて終わるというものです。
このアルバムはサックス風の音とか古典楽器風の音が比較的用いられているのが特徴のような気がします。
ジャケットはチェッカーパターンの中に現実には存在しえない立方体風のオブジェクトが存在しているというものです。(私はジャケットの雰囲気が好きで買ってしまった)
c) Klaus Schulze / The Dresden Performance (1990) [CDVED903, Virgin] 2CDs Live
これは旧東ドイツのDresdenの屋外でのライヴで、あらかじめ5曲用意されていたのですが、時間の制約(警察の制止)で2曲のみがライヴにより録音され、他の3曲はスタジオで録音されたようです。
内容はいわゆるSchulze節というのでしょうか。
Blossという人は実在の人物か、例によってコンピュータか詳しくは知らないのですが、"Drive
Inn Vol.II"がBlossひとりで作られているので恐らく実在の人物だと思います。
このアルバムはドライブのための音楽だそうです。
Schultzeが関連している割には、Schultzeの曲というよりも最近のTangerineなどと同様な雰囲気の軽快であっさりした曲です。
スピード狂の人のための音楽ではないけれども、そんなにゆっくり走る人の曲とも思えない
:-)
c) Software / Digital Dance (1988)
[IC710.071, Digit Music]
[Peter Mergener, Michael Weisser]
SoftwareはPeter MergenerとMichael
Weisserにより1984年に結成され、Klaus Schultzeの作ったICレーベルから10枚弱のアルバムを出しているグループです。
その名前の通りソフトウェアのプログラムにより作曲を行なっています。
彼らの目指している音楽は、"picture-music of
melody, creating open spaces shaped by a unique atmosphere"だそうです。
でも、悪く言えば単に「コンピュータ・ミュージック+シンセサイザ」と言うだけです。
Ashraの初期の曲がVirginから出ているようです。
Ashraの曲は本当に初期のAsh Ra Tempelの頃しか知らないのですが、この"New
Age of Earth"はテンポの良いミニマルミュージック風の曲から始まります。
そして、最後の曲Nightdustでは、初期のSchultzeの曲などを彷彿させるようなスペイシィでゆったりした電子音響の広がりの有る世界が展開されます。
私はこのCDを聴いて後期のAshraの作品も集める気になりました。
これらのアルバムの曲は"New
Age of Earth"と比べるとGoettschingのギターが全面に出てきており、ポップな仕上がりとなっています。
"Blackouts"の"Code Blue"は電子オルガンっぽい静かな曲で私の好みです。
この時期のミニマルミュージック風の曲は流行でもありますが、Goettschingの好みでもあるらしくソロアルバム"E2-E4
(1984)"の時期まで続いているものと思われます。
ジャケットも"Correlations"では女性が水のような透明な不思議な物体を飲み込んでいるもの、"Belle
Alliance"では水中にある透明でカラフルなスプーンが屈折して見えている鮮やかなものと印象的です。
c) Manuel Goettsching / E2-E4 (1984) [CD715037, Racket]
Ash Ra TempelというかAshraのGoetts>chingのソロアルバムです。
ギターによるミニマルミュージックというところです。
"Affenstunde"はPopol
Vuhのファーストアルバムで、蒼い建物の窓がオレンジ色に光っている神秘的なジャケットデザインで、シンセサイザを使ったプログレとしては初期の何枚かに入るものです。
題名から想像するとインプロヴィゼーションから録音したもののいくつかをアルバムとしてまとめたように思えますが、非常に完成度の高いものだと思います。
"Aguirre"は1975年に発売されていますが、実際には1972年の映画の公開前に作曲されていますから、初期のエレクトロニクスを多用した作品の中に入ります。非常に宗教的な雰囲気の強い作品だと思います。
Popol VuhはHerzogの映画音楽の多くを手掛けていることは有名ですが、これは"Fitzgarraldo"、"Cobra Verde"、"Nosferatu"、"Gasherbrum"、"Aguirre"からのサウンドトラックです。
"Florian Fricke"は1975年から1982年の未収録曲を集めたものです。
Cluster / Cluster & Eno, Eno
Moebius Roedelius / After the Heat
Clusterは初期は実験的な色彩の強いグループでしたが、Enoと共演するようになった時期以降は、非常に静的、環境音楽的、ミニマル的な色彩が強くなっています。
そして、その音楽はClusterの解散後はメンバーの一人であるRoedeliusへと受け継がれていきます
しかし、Roedeliusの音楽はこの頃から変化していないというか、進歩していないような気がします。
c) Cluster & Brian Eno / Old Land (1985) [EMCD8057, Relativity]
EnoとジャーマンプログレのClusterによる環境音楽です。
c) Hans Joachim Roedelius / Bastionen Der Liebe (1989) [CDVE42, Venture]
Roedeliusといえば、元Clusterのメンバーですが、もう一人のメンバーのMoebiusがビートの効いた動的な曲を作るのに対して、彼は静的で環境音楽的な曲に特徴があります。本作もエレクトロニクスだけでなくフルートやサックスなども加えた相変わらずの音作りとなっています。
r) Chaitanya Hari Deuter / Haleakala (1977) [042, Kuckuck]
"Haleakala Mystery"はシンセサイザ中心にメロディがほとんどない、Ligetiの"Lontano (1967)"のような響きを持った曲です。
c) Chaitanya Hari Deuter / Nirvana Road (1984) [11068-2, Kuckuck]
Deuterの8枚目に当たるアルバムで、相変わらずフルート、ギターなどのアコースティックな楽器とシンセサイザを融合させたメロディアスな作品です。
また、中近東やインドなどの非西洋的な音楽の影響が強いのも特徴です。
Deuter自身は、「ダンサブルで楽しく、遊び心もあり、しかしどこか沈黙もあるようなもの」を目指しているようです。
c) Chaitanya Hari Deuter / San (1987) [NGH-CD-331, Nightingale]
Neuroniumなどとも共通した柔らかでメロディアスな曲ですが、Deuterの場合はより環境音楽風で、インド音楽風の味付けをしたという感じです。
このCDは「静寂」をテーマにしており、池袋のArt
Vivantの音楽療法のコーナーにおいてありました。
(ジャケットにもメディテーションとリラクゼーションのための曲であることが明記されています。)
c)
Can / Tago Mago (1971) [CD006/7, Spoon]
[Holger Czukay, Michael Karoli, Jaki Liebezeit, Irmin Schmidt,
Damo Suzuki]
最近、Spoonレーベルから大量にCanのCDが出回っているようです。
Can独特のリズムとけだるい感じのボーカルが面白いと思います。
私はこういうタイプの音楽はあまり得意ではないですね。
(でも懐かしさのあまり買ってしまった)
c) Neuronium / Chromium Echoes
(1981) [CDTB057, Thunder Bolt]
[Michel Huygen]
Neuroniumは私がスペインのプログレにはうといため、全く知らなかったグループです。
マーキー本によると、Neuroniumはスペイン初の本格的シンセサイザーグループ(実際にはMichel
Huygenのソロと考えたほうが良い)で、安らかなCosmic
Musicとして位置付けられています。2枚目のアルバムが1978年に発表されているので、恐らく1977年にデビューしたものと思われます。
"Chromium Echoes (1981)"と"Supranatural
(1986/87)"はそれぞれ彼らの5枚目と9枚目のアルバムです。いずれも喜多郎かと思わせるようなメロディアスな曲と、同時期のTangerine
Dreamなどに影響されたような曲とから構成されています。
う〜ん、何か物足りないという感じです。でも、スペインにもこのようなグループがいて、しかも10年以上も活動を続けているということには驚きでした。
c) Neuronium / From Madrid to
Heaven (1987) [CDTB2.064, Thunder Bolt]
[Michel Huygen]
1987年にマドリードのプラネタリウムで行なわれたコンサートのライブです。まさに、Cosmic Musicという感じの広がりのある空間を作り出しています。
c)
Neuronium / Numerica (1989) [CDTB082, Magnum]
[Michel Huygen]
全裸の女性を宇宙人のような異生物が抱きかかえているという奇妙なジャケットですが、全編を通じて柔らかでメロディアスな曲が続きます。
この雰囲気はNeuroniumというかMichel Huygenの特徴と言えそうです。
ただ、流しておくのにはちょうど良いけれども、聴き込むには少し物足りないという感じです。
c) Michel Huygen / Intimo (1990) [CDTB092, Magnum]
スペインのHuygenは通常はNeuroniumという名称でアルバムを発表していますが、今回のIntimoはNeuroniumの"Numerica
(1989)"を情動的に補完(emotional complement)するものとして、Huygenの名称で発表したようです。
でも、Numericaもかなり情動的だと思うんだけどなあ。
c) Aphrodite's Child / 666 [PPD-3039-40, Vertigo]
"666"は1974年に発売された2枚組のCDです。(日本板は日本フォノグラムから発売されたところです)
この中の「エーゲ海」はかなり前にFMで聴いたことがあり、その広がりのある音楽から面白そうなグループだと思っていました。
しかし、全体を通して聴いてみると、私の好みではないというのが率直な感想です。
オーストラリアには"Aboriginal
Art"というオーストラリアの原住民によるアートがあるようです。
この"Aboriginal Art"を扱っている店でかかっていた音楽が非常に面白く、CDを買ってきましたのでその感想を以下に述べたいと思います。
この音楽を演奏していたのはGondwanalandというグループでオーストラリア原住民の民族楽器とロックなどを融合した音楽を演奏します。(日本で既に紹介されているかどうかは不明)
Gondwanalandは3名のメンバーから成り、McMahonが主にDidgeridoo(Didgeridu、Didjeriduとも記される)、Carolanがキーボード、Duqueminがパーカッションを担当しています。
Didgeridooはユーカリの木の幹や枝が白蟻などにより中空になったものを利用した楽器で、ほとんど自然の摂理に依存しているので特に規格となる大きさはないのですが、通常直径3〜5センチ、長さが1メートル前後のものが多いようです。
この中空の部分に息を吹き込むことにより、ビョ〜ンもしくはブョ〜ンという音がなり、規則的に息を吹き込むことによりドローン的な音を演奏することができます。
この音は声明風に聞こえたりもします。
このアルバムではヴォーカル(というかヴォイス)が多用され、比較的リズミカルでファンキーな曲が続きます。
しかし、私が最も気に入っているのは"Rainforest"という曲で、Didgeridooによるドローンとシンセサイザーが絡み合い、プログレ風の雰囲気を醸し出しています。
このアルバムではパーカッションのDuqueminに代わって、"Gondwanaland"でギターを担当していたTeligaが加わっています。
後の"Wildlife"では元のメンバーに戻っていることを見ると、これは一時的な参加のようです。
Didgeridooが多用され、Eno&Clusterのような環境音楽的な部分、"In
den Garten Pharaos"の頃のPopol Vuhを彷彿させる部分もあります。
1985年のSydneyおよびAlice
Springsでのライブと1987年のスタジオでの録音によるものです。
最初はリズミカルでファンキーな曲から始まり、後半はDidgeriduとシンセサイザーによる独特な曲が続きます。
"Let the Dog Out"とほぼ同様な曲が収められています。
このアルバムではMcMahonはDidjeriduの他にDidjeriboneという楽器を使っています。
これは字から想像すると何かの動物の骨を使ったDidjeriduと同様な構造の楽器だと思われます。