ディベートには様々な種類がありますが、
単に「ディベート」と言えば競技ディベートを指すことが多いです。
ここではそれについてお話していきたいと思います。

■ディベートとは、
1、あらかじめ決められた一つの論題に関して
2、肯定側・否定側に無作為に分けられた上で、
3、規定されたルールに従って
4、証明させた議論を戦わせ、
5、第三者であるジャッジを「説得」するというゲームです。
・ディベートやってる人は屁理屈ばっか言う?
→ディベートが下手な証拠です。
誰にでも分かる身近な例や当然な(常識的な)思考をつなぎあわせて、
わかりやすく説明するのがディベートの技術です。
ついでに屁理屈(詭弁)を打ち破るのもディベートの技術です。
・受験に有利って本当?
→そのようですね。AO入試とかはかなり有利になります。
(結果を出せていることが条件ですが)
・理屈じゃないよ、心だよ
→とんでもない。人情溢れる発言に説得力を伴わせるのが、
ディベートの醍醐味なんです。色々議論を重ねて、最後に
「弱者を見捨ててはいけない」と言ったりする。かっこいいでしょ?
□ディベートは、「証明」が基本です。
全ての物事に理由をつける必要があります。
AとBどちらが良いのかを論じるときに、
まずAが良いということと、Bが良いということ、
つまり比較以前にそれらが本当に「良い」ことを証明します。
次に、「AorB」は「〜という観点でBorAより良い」と主張し、
「なぜなら〜だから」と証明します。
しかしその裏には「その観点は〜〜だからこの比較をするのに適している」
という証明が必要となります。
その裏にはさらにAとBは比較すべきなのかどうかの証明(議論)も必要になります。
という感じでどんどん掘り下げて議論していくのがディベートです。
その掘り下げの訓練のために、肯否に分かれるなどといった形式や、
最低限のルール、そして色々な用語(決り文句)やテクニックが存在します。

★ディベートをすることのメリットは?

※ディベートの詳しいメリットに関しては、
第一回説明会の資料中で述べられています。
興味があればご覧ください。(→こちら)
ここでは主に道具としてのディベートのメリットを述べています。

・論理的思考力が身につく
  論理的に争って勝敗を決めるのだから、当然です。
  でも、こじつけとかには役に立ちませんよ。
  本質から離れて行くほど証明がめんどくさくなって、
  結局は「不可能」だということが自ら分かってしまいますから。
  論理的っぽく相手を説得するのは本当にすぐ身についてしまいますけど。

・物事を多面的に見ることができる
  議論を作る上で、あらゆる可能性・視点から物事を見ることが要求されるからです。
  自分が見逃している可能性はないか、ある物事の意味は本当にそれだけにのか、
  自問していく能力が身につきます。

・手がけた論題に対する固定観念が消える
  ディベートでは政策的に賛否の大きい論題を扱いますが、
  賛否両論どちらの側も観念的な思考にとらわれていることが多いです。
  ディベートではあらゆる議論を行い、その中で何が本当に問題で、
  何が大して重要ではない問題なのかが分かり、かつ、正しい考え方を身につけられます。

・情報整理力が身につく
  1、膨大な資料を管理・活用することで、文字情報の整理力が身につきます。
   目的の資料を探す力も身につきます。
  2、反論を考えるためには相手の言うことを的確にまとめた上で、
   メモに残していかなくてはなりません。音声情報の整理力が身につきます。
  3、短い時間の中で主張を効率的に、的確に表現しなければいけないので、
   思考・表現の整理力が身につきます。

・交流
  全国各地のディベーターと仲良くなれます。
  北海道から沖縄まで友達ができます。名古屋にはとまりがけで遊びに行ったし。
  またそういう出会いだけではなく、同じチームのメンバーとも友好が深まります。

*デメリット?
そんなに深くは学ばなくても、「論理的っぽく」相手を説得する能力は身につきます。
つまり、ディベートの「技術」としての側面は両刃の剣なわけで、
自分の都合のいいように使ってしまえば、様々な議論の場で優位に立ててしまいます。
相手を言い負かしたいからという理由でディベートを学びたいと思っているのなら、
その考えを改めるか、ディベートの世界には入ってこないほうがいいでしょう。

1…論題
広義の「議論」では、「〜について」というテーマが設定されているものです。
しかしこれでは議論が拡散してしまう上、議論自体に有益性が確保できないので、
ディベートでは「○○は××を☆☆すべし。是か否か」というテーマ設定がなされます。
この場合「すべき」「すべきでない」のどちらかが確実に有利になるようなテーマ設定はできません。
そして、多くの正式なディベートでは「政策論題」で争われます。
つまり「○○は」の部分に「日本は(政府は)」などの公的機関名が入り、
「××を」にはその機関が扱う範囲内にある問題が入ります。
ex1.日本は首都機能を東京から移転すべき
ex2.日本は羽田空港を国際化すべき

2…肯定側・否定側に無作為に分けられる
自分の意見など関係なく、ディベートでは肯定・否定に分けられます。
大抵試合の5分前にじゃんけんをして、勝ったほうが肯定、負けたら否定と決めます。
ディスカッションとは違い、中立派は存在しません。
これによって、物事を賛否両方の側面から、多角的に追究していくことができます。
最終的な正解や結論など存在しないというディベートのスタンスを如実に表しています。

3…規定されたルール
ディベートは雄弁会ではありません。
立論・質問・反駁という3つのステージが主に存在し、
それぞれ分単位に決められた時間の中でスピーチを行います。
つまり、短い時間で主張・反論をまとめあげ、効率的に表現していく能力が求められます。
その他タイムスケジュール以外にも、純粋に「論理」で議論を戦わせるために、
必然的に生まれたルールがいくつかあります。

4…証明された議論
ディベートのキーワードの一つに「立証」というものがあります。
つまり、全ての主張には根拠が存在する必要があるのです。
反論の時には根拠がなくても良い場合がありますが(単純な矛盾の指摘など)、
それでも「反証」として、「違います。なぜならこういう証拠があります」と言った方が効果的です。

5…ジャッジを「説得」
ディベートは、相手を打ち負かすのが目的ではありません。
「第三者を」、「理論的に」「説得する」のが目的なのです。
このジャッジは、ディベートに関するルールを理解した上で、
より議論で説得された方に「勝」の判定の投票をします。
その際、ジャッジ自身の意見や特別な知識は除外され、
ディベート内で提示された論点・知識と一般常識に基づいて判断がなされます。
当然説得することが目的なので、明瞭な発声や聞き取りやすいスピーチが要求されます。
大声でそれらしいことを早口でまくしたてても、
逆に「コミュニケーション点」という判定基準においてどんどん不利になってしまいます。
そして第三者を説得しなければならないわけですから、どんなに専門的でややこしいことでも、
ディベーターには分かりやすく説明する責任が存在します。