アメリカでは既に定着し、弁護士や政治家の多くが、 大学などで正式なディベートの講義を経験しているといいます。 (議員や州知事、連邦裁判所の裁判官や閣僚の約7割は、 高校や大学で正式なディベートを経験していて、 その全員が、その経験が仕事に役立っていると述べた。 またディベートをしなかった残り3割の約半数は、 学生時代にディベートを経験しなかったことを後悔している) 日本でも近年、企業による研修でデイベートを取り入れる動きがあり、 国語教育の場面でもその裾野を広げつつあります。 なぜディベートは、社会的に有用なものと見なされ、活用されているのでしょうか。 「道具」としての観点、「学問」としての観点、この2つから見ていきます。 [道具としての観点] ■プレゼン能力の向上 たとえば運動をする時は、何らかの負荷をかけることで筋力のアップを図ります。 ディベートにも同じことが言えます。 ディベートでは、意味を持ったルールと限られた時間の中で、 論理的な主張を組み立て、口頭で発表していく必要があります。 つまりディベートでは、自分の主張を最低限の時間で、 効率よく正確にまとめながら発言していく必要があるのです。 これにより、何を強調して何を削れば議論がスムーズに進み、 そして自分の主張をクリアーかつ正確に伝えられるのかが分かるようになります。 何より、ディベートでは口頭以外でのプレゼンテーションは認められません。 つまり実際にスピーチする場面で、話を分かりやすく噛み砕き、 適切な速度や抑揚で話す努力が必要になります。 これが、目に見えて分かるディベートの効果です。 ■情報整理力と理解力の向上 試合に臨む過程で、どうしても資料というものが必要になってきます。 しかしその資料の数は半端ではありません。 自分の目当ての資料を探し出し、数百冊・数千点は下らない資料を実際に収集し、 整理し、使いこなしていくという経験を経ることで、力が身につきます。 特典としてかかりつけの図書館の司書の人と知り合いになれます。 また、試合中は反論を考えるために、相手のスピーチをしっかり聞き取って理解しつつ、 要点を整理して頭の中と手元のメモに残していく必要があります。 音声情報の整理力とも言えます。 そして、膨大な情報をしっかり理解することが求められる環境の中で、 情報に対する理解力を深めることができます。 ■論題選択上の理由 これは必ずしもディベート固有のメリットではありませんが、 競技ディベートではほとんどの論題が、深刻な時事問題を扱います。 そしてディベートのための調査を続けていくうちに、 自分達をはじめとして世間一般の人々が、いかに無知であるか、 より深いところにある知識や事情、考え方を知らないかが明らかになります。 これにより、外交・政治・企業戦略、様々な場面において知識を活用できるほか、 「正しい」「深い」事情を把握することで、誤った観念を取り除き、 社会的インテリジェンスの向上に結びつけることができます。 ■ディベート・コミュニティー ディベーターには、上記のことに精通した人が多くいます。 彼らと知り合いになることで、ディベートの効果をより強いものにできます。 社会に出てから、Think Tankとしての役割も果たすことになるでしょう。 |