・仙
JG4所属の「乗り人知らず」黒11番機です。1945年夏に撮影された、クラッシュした写真が一葉残っているだけです。尾翼は写真に写っていないので、ヴェルケ・ヌムマー(W.Nr.=ワーク・ナンバー、製造番号)も不明。ただし最近は、特徴的な機首パワーエッグの塗装も似ている、同じJG4本部中隊のゲルハルト・ミヒャルスキ少佐の機体との類似性が指摘されております。比較的新しい書籍であるCLASSIC
PUBLICATIONSの「JAGDWAFFE Vol.5 Section3 DEFFENDING THE REICH」のP285には二機の写真が並べて掲載されていますので、ぜひご覧下さい。機体自体の解題は主として中野原子力氏の私家本Fw190DとTa152の本Vol.4(増補改訂版)によりました。それによりますと、フィーゼラー社カッセル工場の初期生産型と思われ、ガンカバーは前後とも小バルジ無し、3ピースタイプか5ピースタイプか不明。キャノピーはミヒャルスキ機がそうなので、A型同様の直線的タイプの可能性有り。写真ではキャノピーは投棄されていてタイプは確定できません。大きめのスワスチカと小さめの胴体バルケンクロイツです。これがフィーゼラー社カッセル工場製の塗装の特徴だそう。
エアフィックスの1/72、2代目ドーラのキット、初版は1976年だそうです。上記のパッケージは1981年版です。それを24年経過して2005年に制作。なんというか、そのあの、プラモって何なの?って感じですね。エアのキットは時代を差し引かなくても良いプロポーションをしていますが、もちろん年代物なので各初に欠点が無い訳ではないです。キャノピーは凸レンズ、脚カバーも形は悪くは無いですが、いかんせんぶ厚かったり眠かったり。スピナーはだんご鼻過ぎでNG。機首の環状ラジエーター・カウリングも角張過ぎて形状がいまいちです。カウルフラップは溶けていて使えない。胴体右側の過給器エアインテークは、チャップリン戦闘機博物館にあったD-13を参考にしたのか、大きすぎ。主翼の胴体側の20ミリMG151/20機関砲のカバーはデカ過ぎ。もっと小振りでカメムシ型です。しかし反面、胴体の延長プラグの平面形でのでこぼこ感や主翼、機首パワーエッグの感じなどはいい雰囲気です。
エアフィックスの持つ美点を保ちつつ、2005年/21世紀らしいアップデートするために、タミヤの1/72キットからいくつかのパーツをコンバートし、凸モールドを彫り直します。コンバート・パーツはハセガワ1/72でももちろん構いませんが、手元にタミヤのジャンク市で購入した箱無しフルパーツがあったため、タミヤを使用したまでです。それから最近はハセガワの1/72キット、第二次大戦の単発戦闘機クラスはほとんど生産中止で模型屋の店頭にないので、値段も安いタミヤの方がリーズナブルかもしれません。下図の黄色い部分がタミヤからコンバートした部分です。当初はキャノピーだけ綺麗なタミヤにすれば、と思っていたのですが、結局それにともないガンカバー、環状カウリングも流用、けっこう大工事になってしまいました。詳しくは制作記をご覧下さい。
胴体はRLM75/83または75/82。機首のパワーエッグと称される部分はエンジン・メーカーであるユンカースの工場でパッケージ化されて、アッセンブリー工場へ送られてくるため、ガンカバー部から先は塗装が異なります。斑点は、さらにその上にアッセンブリー工場で上掛け塗装したもの。ミヒャルスキー機と並び、ドーラの中でもチャーム・ポイントになる部分。いろいろ皆様に取材しましたが、イーグルカルのトーマス・タリスの手になるプロファイルにも引きずられ、下地はRLM70、インクスポット斑点はRLM0とRLM76を混ぜた明るい緑色(かつて英軍スカイ風下面色といわれた、ブラウグリュン)にしました。ただし、各色とも自己調色で明中暗三段階明度を塗るし、1/72用スケール効果のためかなり明度を高くしているため、カラーチップがどうのこうの、という話はもはやあまり意味が有りません。大事なのはモノクロ写真での実機の明度差が模型でも保たれているか、です。機首左側のJG4部隊エンブレムは確証が有りません。チェコの出版社JaPoから出た「Focke-Wulf
Fw190D camouflage 6 markings Part1」のP.72に「JG4本部小隊の<1+-機はJG4のエンブレムを描いていた」とあったので、部下であった黒11にも描いちゃえ、という暴走考証です(^。^) デカールはイーグルカル#60を使用。JG4エンブレムは同じエアフィックスの1/72Fw190F-8キットから流用。
・仙
|