2021/01/10 提出 495200339000000005 ■■本意見はカルタップ、チオシクラム及びベンスルタップ についての意見である。 【1】総合的意見 【意見1】上記3成分の残留基準を『カルタップ、チオシクラム及びベンスルタップとは、カルタップ、ベンスルタップをカルタップ含量に換算したもの及びチオシクラムをカルタップ含量に換算したものの総和をいう』とすることに、反対である。それぞれの成分ごとに、残留基準を設定すべきである。。   [理由]1、三成分の化学構造が異なり、作物中の代謝物はネライストキシンだけではないと考えられるが、各種試験結果から、農産物中の暴露評価対象物質をベンスルタップ及び代謝物 ネライストキシンと設定した理由がわからない。     2、各成分の食品安全委員会の毒性評価は下記のようで、        カルタップ  ADIは0.03 mg/kg体重/日、ARfDは0.1 mg/kg体重。        チオシクラム ADIは0.021 mmg/kg体重/日、ARfDは0.1 mg/kg体重。        ベンスルタップADIは0.025mg/kg体重/日、ARfDは0.3 mg/kg体重。       同一化学構造ではないのに、総合評価として、           ADIは0.016mg/kg体重/日、ARfDは0.1mg/kg体重となっている。     3、カルタップへの換算係数も不明である。     4、ベンスルタップは、ラットを用いた慢性毒性/発がん性併合試験において、雄で精巣間細胞腫の発生頻度増加が認められたが、腫瘍の発生機序は遺伝毒性によるものとは考え難く、評価に当たり閾値を設定することは可能であると考えられているが、このような発がん性のある成分を、そうでない成分と同一レベルで考えてはならない。      【2】個別作物の残留基準について意見 【意見2-1】小麦など90種の食品の残留基準を削除したことに、賛成する。0.01ppmの一律基準の遵守ることを求める。   [理由]国内外で、適用のない作物に残留基準を設定する必要はない。 【意見2-2】下記の食品で、カルタップとチオシクラムの残留基準を2ppm以上にすることに反対である。  なお、ベンスルタップの国内での適用はコメのみであり、6事例の残留試験で、代謝物を含めたカルタップ換算の最大残留値は、<0.013〜0.019ppmであることを踏まえ、以下に、カルタップとチオシクラムの残留基準についての意見を述べる。  [理由car] カルタップについての理由である。  [理由thio*] チオシクラムについての理由であり、*は、本成分だけでなく、代謝物も加算し、カルタップに換算した残留量を示す。  [共通理由]は上記2成分についての共通理由である。 (1)ダイコン類の葉 3ppm   [理由car]1、残留試験10事例で、最大残留値0.66ppmである。     2、ツマミ菜の残留試験2事例で、最大残留値0.40ppmである。     3、間引き菜の残留試験2事例で、最大残留値3.23ppmであるが、0.06ppmの事例もある。事例を増やして、再試験すべきである。     4、ハツカダイコン残留試験2事例で、葉の最大残留値1.08ppmである。   [理由thio*]残留試験2事例で、最大残留値0.37ppmである。   [共通理由]高すぎるとした現行基準3ppmが据え置かれている。 (2)ハクサイ 2ppm   [理由car]残留試験10事例で、最大残留値0.975ppmである。   [理由thio*]残留試験2事例で、最大残留値0.33ppmである。   [共通理由]現行基準3ppmを強化したが、まだ、高かすぎる。 (3)チンゲンサイ 2ppm   [理由car]残留試験2事例で、最大残留値0.63ppmである。   [理由thio*]残留試験4事例で、最大残留値0.14ppmである。   [共通理由]現行基準3ppmを強化したが、まだ、高かすぎる。 (4)ブロッコリー 2ppm   [理由car]1、残留試験4事例で、最大残留値0.52ppmである。   [理由thio*]残留試験2事例で、最大残留値0.55ppmである。   [共通理由]現行基準3ppmを強化したが、まだ、高かすぎる。 (5)レタス 2ppm   [理由car]レタスの残留試験2事例で最大残留値0.82ppm、サラダ菜2事例での最大残留値0.12ppm、リーフレタス2事例で最大残留値0.06ppmである。   [理由thio*]結球レタス残留試験2事例で、最大残留値0.51ppm、サラダ菜2事例で最大残留値0.68ppm、リーフレタス2事例で最大残留値0.52ppmである。   [共通理由]現行基準3ppmを強化したが、まだ、高かすぎる。 (6)ネギ 5ppm   [理由car]残留試験6事例で、最大残留値2.22ppmである。   [理由thio*]根深ねぎの残留試験1事例で、最大残留値0.16ppm、        葉ねぎ残留試験1事例で最大残留値0.10ppmである。   [共通理由]現行基準3ppmでも、高いのに、さらに5ppmに緩和している。 (7)セロリ 15ppm   [理由thio*]1、セロリへのカルタップの適用はなく、残留データはチオシクラムのみの3事例で、最大残留値4.29ppmである。     2、現行基準3ppmとした根拠が不明な上、さらにその5倍に緩和している。 (8)ホウレンソウ 3ppm   [理由car]残留試験8事例で、最大残留値0.65ppmである。   [理由thio*]残留試験6事例で、最大残留値1.09ppmである。 (9)未成熟エンドウ 3ppm   [理由car]1、未成熟エンドウの残留データは明らかでなく、サヤエンドウ(4事例で、最大残留値1.14ppm)が参照されている。      2、現行基準3ppmは高すぎるとしたが、そのまま据え置かれている。 (10)未成熟インゲン 2ppm   [理由car]1:未成熟インゲンの残留データは明らかでなく、サヤインゲン(2事例で、最大残留値0.76ppm)が参照されている。     2、現行基準3ppmは高かすぎるとしたが、2ppmに強化されても、まだ、高い。 (11)キウィー 6ppm   [理由car]1、残留試験は、果実5事例で最大残留値3.18ppm、果肉7事例で0.40ppm、果皮2事例で17.8ppmである。      2、現行基準3ppmを高すぎるとしたが、2倍も緩和している。 (12)茶 30ppm   [理由car]1.残留試験6事例で、荒茶での最大残留値14ppmであるが、0.81ppmの事例もあり、バラツキが大きすぎる。浸出液の4事例では、最大残留値8.3ppmである。 事例を増やして、再試験すべきである。   [理由thio*]残留試験6事例で、荒茶の最大残留値11.07ppm、浸出液で最大残留値7.73ppmである   [共通理由]現行基準30ppmが高すぎるとしたが、そのまま据え置かれている。 (13)ホップ 10ppm   [理由car]1、残留試験4事例で、最大残留値3.38ppmである。         2、現行基準10ppmが高すぎるとしたが、そのまま据え置かれている。 【意見2-3】全体的に残留基準が高すぎるため、もっと低値にすべきである。   [理由]1、下表のように、推定摂取量TMDIが算出されているが、対ADI比は、高齢者区分で、安全目安の80%に近い76.6.幼小児区分で74.7%もある。茶の寄与率が特にたかい。そのためか、すべての食品の暴露量を残留基準より低値にし、EDIを算出、対ADI比を低くみせかけている。残留基準を暴露量にみあうよう、低値にすればよい。  たとえば、ハクサイ残留基準2ppm→暴露量0.548ppm、レタス2ppm→0.65ppm    セロリ15ppm→3.627ppm、キウィー 6ppm→1.858ppm、茶30ppm→2.995ppm  国民全体    幼小児    妊婦     高齢者 推定摂取量 計 TMDI EDI TMDI EDI TMDI EDI TMDI EDI            544.3 109.7 197.3 46.4 422.5 93.4 687.3 132.3    ADI比(%)   61.7 12.4 74.7 17.6 45.1 10.0 76.6 14.7   2、短期摂取量ESTIの対ARfD比が20%以上と高い食品は、下記である。 これらは、暴露量=残留基準であるが、たとえば、暴露量を残留基準より低値に仮定し、 同比を低くみせているケースもある。  たとえば、緑茶類は残留基準30ppm→暴露量1.593ppm で、比率は1%と見積もられている。 作物名      ESTI/ARfD (%)        国民全体区分 幼小児区分 ダイコンの葉  20% ハクサイ    30%     30% ブロッコリー         30% レタス            20% セロリ     70% ブドウ     30%     60% キウィー    20% 3、意見1の 理由4に示したように、ベンスルタップは、ラットを用いた慢性毒性/発がん性併合試験において、雄に精巣間細胞しゅの発生ひん度増加が認められている。 このような成分は出来るだけ、その摂取を減らすよう、基準を低値にすべきである。 以上