残留基準パブコメ20/05/13〜06/11 募集


1,3−ジクロロプロペン
受付番号 202006110000993520
提出日時 2020年06月11日18時49分
提出意見 ■1,3−ジクロロプロペン(以下、E体とZ体を含めD-Dという)の残留基準についての【意見】である。

【意見1】D-Dは、土中の病害菌や線虫などの繁殖を防止するため、耕起整地後の圃場処理、は種又は植付前の溝処理、土壌くん蒸などに使われ、大気や地下水汚染が懸念されるため、食品残留による摂取を重視した食品安全委員会のADI設定値0.02 mg/kg 体重/dayには、わたしたちは反対し、もっと低値にすべきとしてきたが、提案されたままの評価がつづいている。
 私たちが、述べた、反対理由を以下に記載しておく、
 (1)D-Dを用いたラットの混餌投与発がん性試験では肝細胞腺腫及び前胃の扁平上皮乳頭腫が認められている。また、マウスの混餌投与発がん性試験で肺気管支腺腫、前胃の扁平上皮乳頭腫及び膀胱移行上皮癌の発生頻度増加が認められている。
 腫瘍発生機序検討試験の結果、非遺伝毒性メカニズムとされたが、遺伝毒性試験で陽性と陰性の結果が混在していること、放射性物質や他の発がんイニシエーターとの相乗作用を考えれば、D−Dのような高揮発性農薬の使用者や散布地域周辺住民の吸入摂取、水系汚染による地下水や飲料水からの一般人の摂取により、人の健康(とくに、現在、がんを発症している人)に影響を及ぼす恐れがあることは否定できない。

 (2)D-Dを用いたマウスの2 年間慢性毒性/発がん性併合試験(吸入曝露)で、肺気管支腺腫や膀胱上皮過形成が認められる。腫瘍発生機序検討試験の結果、非遺伝毒性メカニズムとされたが、上記と同様、人の健康に影響を及ぼす恐れがあることは否定できない。
 (3)D−Dに含まれる1,2-ジクロロプロパンには発がん性があり、それぞれの毒性試験結果も評価の対象とすべきである。
 毒性試験事例の中には、使用したD-Dにこれらがどの程度含有されているか不明なものがある。
 (4)D-Dは、シス体とトランス体(評価書では、Z体とE体)の混合物であり、それぞれの生体内での挙動や毒性も異なると考えられるため、これら幾何異性体の作用の相違を明確にすべきである。


【意見2】残留基準を0.01ppmと設定したすべての食品の基準を、残留調査を実施して、低値にすべきである。
  [理由]1、別紙1に、多くの残留試験成績が記載されているが、すべて、作付け前の圃場処理であり、作物中のD−Dの最大残留値は、すべて0.01ppmを超えない事例であり、<0.002ppmとする事例が一番多い。
  2、D−Dの土壌処理により、作物に残留するその代謝物や生成物も不明であり、作物固有の成分がどのように変化するかもわからない。
  3、2018年のパブコメ意見の [理由]も再掲しておく。
  ・播種や作付け前に土壌処理するため、50作物66品目の残留試験264事例で、D−Dがすべて定量限界未満であり、E体とZ体の合計残留最大値は、<0.001ppm〜<0.07ppmである、全ての作物について、<0.001ppmとするよう分析方法を決めればよい。
  ちなみに、<0.07ppmの残留となっているのは、ダイコンの葉、ダイコンの根、ニンジンの根、キュウリである。
  ・D−Dの残留はないとされたが、同剤の組成の63.9%は塩素であり、農薬評価書には、処理土壌で栽培した作物に塩素成分が、どのような化合物として、どの程度残留しているか示されていない。
   土壌くん蒸剤である臭化メチルやEDBを使用した場合は、無機臭素の残留基準が設定された。


【意見3】ミネラルウォーターの残留基準を0.02ppmとすることに反対である。残留調査を行い、もっと低値にすべきである。
  [理由]残留データが不明な国際基準を、そのまま採用しており、私たちが反対しているADI0.02mg/kg体重/日に基づいた値である。


【意見4】食品からの摂取の推定だけでは意味がない。残留実態調査を行い、大気や水からの摂取を考慮して、現実にみあった基準を設定すべきである。
 [理由]1、推定摂取量TMDIにおいて、残留基準0.01ppmより低い暴露量0.002ppmを仮定している食品が、55中46種ある。ほかにも暴露量は、ねぎ/わけぎ/その他の野菜;0.01ppm。その他のハーブ:0.005。セロリ/その他のせり科野菜/いちご :0.004。みつば:0.0035。その他のうり科野菜 :0.003ppmと仮定されている。
    
  2、短期摂取推定量ESTIにおいて、残留基準より低い暴露量を仮定したのは、国民全体区分で51食品中、大豆、らっかせい、にんじんジュース、乾燥パセリで、暴露量0.002ppm。幼小児で34食品中、大豆とらっかせいが暴露量0.002ppmである。

以上