■受付ID:0001537613 Date: Tue, 26 Mar 2019 19:43:22 2019年度農薬危害防止運動などについての要望と質問 ************************************************  2019年3月26日 農林水産省消費・安全局長   池田 一樹 様      農産安全管理課   御中        農薬対策室   御中      植物防疫課     御中 林野庁長官          牧元 幸司 様      森林保護対策室   御中 環境省水・大気環境局長    田中 聡志 様      農薬環境管理室   御中 厚生労働省医薬・生活衛生局長 宮本 真司 様      審査管理課      御中  化学物質安全対策室 御中   食品安全部監視安全課 御中         基準審査課 御中 国土交通省航空局長      蝦名 邦晴 様   航空局安全部運航安全課  御中      鉄道局長    蒲生 篤実 様      道路局長    池田 豊人 様  反農薬東京グループです。いつも、農薬に関することで、お世話になっています。  今月は、無人航空機ドローンの適用拡大、2018年改定農薬取締法関連の農薬登録関連通知にむけてのパブコ募集があり、農水省は、特にお忙しいと思います。当グループも意見を述べましたが、両者に共通するのは、ヒトの農薬受動被曝についての防止策がみえないことです。また、18日設立された「ドローン普及のための官民協議会」には、農薬被害を受けたり、環境保護を訴える人の参加がないことが気になります。  ところで、2019年度の農薬危害防止運動の時期が近づいてきましたが、いままでの危被害を踏まえ、以下のお尋ねと要望をしますので、4月25日までに、下記にお返事いただければ幸いです。 なお、文字制限のため、5分割して送付しおります。それぞれ担当部署に転送くだされば幸いです。     =================================================       ★★★反農薬東京グループ★★★   URL http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/     ================================================= **** お尋ねと要望 【意見1】残留農薬について   危害防止防止運動の実施要綱には、毎年、残留基準にかかる事項が記載されていますが、残留基準違反事例の報告がありません。わたしたちは、何度か農薬危害事例として、残留基準違反や農薬取締法違反の件数もとりあげるべきだと主張してきましが、実現しません。そこで、本年度の違反事例を含め、以下の事項のお尋ね・お願いをします。 (1-1)農水省及び厚労省が報告を受けたH29〜30年度の残留基準違反と農薬取締法違反の事例をまとめて、報告してください。 (1-2)2018年12月、茨城県・JAほこた出荷のホウレンソウの収去検査により、フェニトロチオン4.4ppm(基準値:0.2 ppm)が検出され、残留基準違反で、鉾田保健所から回収命令がだされました。  その後、当該出荷者1名が特定され、スミチオン乳剤(MEP50%含有、ホウレンソウの適用登録は、アブラムシ類には希釈倍率1000〜2000倍、ホウレンソウケナガコナダニには2000倍で、いずれも収穫21日前までに2回以下の散布)を、21日前以降に使用していた不適切な使用であることが判明しています。これは、明らかに農薬取締法違反です。 同県では、2017年の11月にも、ホウレンソウでMEP1.3ppmの残留基準違反が発覚しています。  この事例について、農水省は、いつ、どこから、どのような報告を受け、どのような調査と指導をなさいましたか、月日の順に、その経緯と内容を教えてください。文書指導があれば、文書もお示しください。 その2に 【意見1】の(1-3)につづく ■受付ID:0001537621  Date: Tue, 26 Mar 2019 19:58:08 その2 受付番号0001537613の続き (1-3)2019年1月、栃木県で、イチゴにプロチオホス3ppm(基準値 0.3ppm)とフルフェノクスロン0.7ppm(基準値 0.5ppm)という残留基準違反がみつかり、回収命令がだされました。同県特産のイチゴでは、2007年と2015年にホスチアゼートの残留基準違反と不適切な使用が発覚しました。今回は、調査の結果、該当生産者は1名で、使用時期違反と希釈倍率違反が確認されています。  この事例について、農水省は、いつ、どこから、どのような報告を受け、どのような調査と指導をなさいましたか、月日の順に、その経緯と内容を教えてください。文書指導があれば、文書もお示しください。 (1-4)両県では、同類事例が何度か起こっており、指導強化対策がなされいるものの、再発を防ぐことができていません。  各事例とも、残留基準違反とともに、農薬取締法違反であるとされていますが、当該生産者の指導をするのみで、農薬取締法違反による罰則適用には到っていません。 再発防止のために、罰則適用は必須と思いますが、農水省はどうお考えですか。 (1-5)農水省が調査している「国内産農産物における農薬の使用状況及び残留状況調査の結果」は、H28年度までしか公表されていません。H29年度も早急に公表してください。 (1-6)農水省は農産物の海外輸出の増大のため、相手国の農薬残留基準に適合するよう、残留基準を高く設定してある農薬を使用しないよう生産者に注意を喚起しています。国内向けと輸出向けの農薬を使いわけるという施策には、納得できません。輸出相手国の残留基準をクリアできないような農薬の適用登録は、国内でも認めるべきではありません。農水省のお考えをお示しください。 【意見2】鉄道等での除草剤散布について  2018年8月、農薬危害防止運動のさなかに、福岡県内の鹿児島線沿線で、JR九州が鉄道除草のため、グリホサートカリウム塩/MDBAカリウム塩/イマザピルらを成分とする除草剤を、夜間、作業車から散布し、瀬高駅近郊の大豆畑や水稲に飛散して、作物被害が出ました。  同類の鉄道除草剤の飛散による作物被害は、2004年にはJR東日本磐越東線や水郡線で、2012年には近江鉄道沿線で起こっています。2004年の被害発生後、国土交通省鉄道局から、農薬危害防止運動についての通知と農水省・環境省両局長通知「住宅地等における農薬使用について」(以下、住宅通知という)を添付した国鉄施第59号が発出されてもいます。  また、鉄道だけでなく、道路での除草剤散布でも飛散による作物被害の事例がでています(たとえば、2007年6月青森県つがる市の県道、2012年7月山形県酒田市県道でグリホサート系除草剤散布)。  今回のJR九州の事例について、福岡県の農林水産部署によると、鉄道会社には、農薬危害防止運動についての通知を行っておらず、当然ながら、飛散被害防止のための指導も、これまで実施されていませんでした。以下の項目について教えてください。 (2-1)農水省や国土交通省は、鉄道業者や道路管理者に対する農薬危害防止運動や住宅地通知を、どのようなルートで、鉄道や道路関係者に連絡されていますか。直近の事例を発出年月とともに教えてください。 (2-2)本件のJR九州による危被害について、農水省は、いつ、どこから、どのような報告を受け、どのような調査と指導をなさいましたか、月日の順に、その経緯と散布状況及び被害状況の内容を教えてください。また、文書指導があれば、文書もお示しください。 (2-3)夜間に、作業車両からの除草剤散布であったと聞いていますが、散布した日時を教えてください。夜間ならば、周辺状況がみえず、危険だと思われます。農水省・国土交通省は、夜間散布をやめるよう指導してください。 (2-4)農薬危害防止運動の実施要綱には『散布時における近隣作物や住宅地等周辺への飛散防止の徹底』との指導が明記されていますが、鉄道業者がこれを遵守しなかったことが、本事例の一因であると考えます。  農水省・国土交通省は、JR九州が農薬取締法関連法令のどのような点に違反をしているとお考えになりますか。 (2-5)今後、鉄道会社や道路管理者に対して、管理する線路や道路などの除草には、農薬散布を実施しないよう求めるとともに、万一散布する場合は、農薬による危害防止対策として、散布計画を予め提出させ、飛散防止措置等の内容をチェックし、沿線農家や住民等に散布を周知するなどが、必要と思います。  農水省・国土交通省は、どのようなアクションをおとりになるお考えですか。 その3 【意見3】に続く ■受付ID:0001537643 Date: Tue, 26 Mar 2019 20:24:10 その3 0001537621からの続き 【意見3】住宅地等での農薬や無登録除草剤散布について  住宅地通知では、住宅地や公共施設等の近くでは、農耕地、非農耕地に拘わらず、農薬散布を出来るだけ行わないことが、求められています。  ところが、2018年10月、沖縄県浦添市の浦添運動公園でこれに反する事例が発覚しました。同市は、4月から「てだこサンサン共同企業体」(トラステック社、美津濃株式会社、ケイ・ライナー社からなる)を同公園の指定管理者に任命し、公園管理をおこなっていましたが、9月17-18日に、除草作業後、芝生の一部が茶色に変色しているとの通報が、市民からありました。  市は、当初、指定管理者が、植調剤を使用したとの嘘報告を確認することなく、その旨を公表しましたが。その後、管理者が、市の仕様書にある『機械刈り又は手刈りすること』に反して、非選択性の除草剤「ラウンドアップマックスロード」を散布していたことが、わかりました。市は『除草剤の使用は指定管理者の下請けである委託業者単独で決断したもので、当初、指定管理者も除草剤の使用を認識しておらず、帳簿等の記載はありません』と、述べています。同市の管理する他の公園や道路植栽に、グリホサート系のグリホエースやグリホタッチという無登録除草剤も使用されていたこともわかりました。  沖縄県豊見城市でも、指定管理者「豊見城市環境緑化振興会」が、市の仕様書に反して、しおさい公園の植栽管理に、スーパーグリホという、無登録農薬を使用していたことも判明しています。  両市で散布されたのは、いずれもグリホサート系除草剤であり、住民に散布の周知もなく、被害の通報がなければ、住宅地通知の内容をないがしろにした公園管理が続いていたと思われます。浦添市の指定管理者は、11月には、解任されたとの報道がありましたが、以下のお尋ねをします。 (3-1)浦添市の事例は、仕様書を順守せず、嘘の報告をした指定管理者に一番の責任があるととともに、市が住宅地通知等を知りながら、管理を業者まかせにしていた責任も無視できません。農水省・環境省は、本件について、いつ、どこから、どのような報告を受け、どのような調査と指導をなさいましたか、月日の順に、その経緯と内容を教えてください。また、文書指導があれば、文書もお示しください。  また、豊見城市の除草剤散布について、お調べになっていたら、その経緯を教えてください。 (3-2)農薬取締法では、芝生管理に、非選択性のグリホサート系除草剤を散布することはできないはずですが、両市の事例では、共同管理者が農薬取締法に違反していましたか。公共施設での無登録除草剤の使用について、農水省・環境省はどうお考えですか。また、行政の管理者の責任について、どうお考えですか。 (3-3)住宅地等では、周辺住民に周知することなく、安易に除草剤が撒かれることも多く、 健康被害を訴える人が絶えません。最近では、ラウンドアップ系だけでなく、長期効果を謳う複合粒剤(複数の活性成分のほか、粒剤には結合剤ほかの補助成分が配合されている)も登録されており、浮遊微粒子が長期間、周辺大気を汚染して、ヒトの健康に影響することを危惧しています。  住宅地での除草に、できる限り除草剤を使用しないこと、万一、使用する場合は、住宅地通知を守るよう、地域レベルで回覧がいくよう各自治体を指導してください。 (3-4)非農薬系除草剤については、農薬でないから、住宅地通知を守り、散布周知する必要もないという散布者もいます。当該散布者にも、登録農薬と同じように、周知を徹底するよう指導してください。 (3-5)農薬取締法では、非農薬系除草剤について、ラベルや販売棚に、農薬として使用出来ない旨の表示が必要で、農水省はメーカーや販売店の点検調査をされていますが、2016、17年度の総点検数と違反数を教えてください。 (3-6)農水省は『各都道府県で把握した情報につきましては、国の行う都道府県の担当者の出席する会議等で報告いただき、他の都道府県にも共有していく予定としています。』と、されていますが、上述の事例について共有化をお願いします。 (3-7)グリホサート含有の無登録の非農薬系除草剤の、ホームセンターやインターネットを通じての販売は、IARCが発がん性ランクを2Aに強化した2015年以後も、とどまることがありません。身の回りの生活環境(空き地、駐車場や運動場、鉄道敷地や道路)で、何の規制もなく使用できます。欧米では、生活環境での同剤の使用を禁止する地域もでています。  グリホサートを化管法指定物質とするとともに、日本でも販売・使用規制する法律の制定を求めます。 その4 【意見4】に続く ■受付ID:0001537661   Date: Tue, 26 Mar 2019 20:43:36 その4 0001537643 からの続き 【意見4】ドローン・無人航空機による 農薬空中散布ついて (4-1)農水省が把握している2018年度の無人航空機空中散布実施状況を教えてください。   都道府県別・作物別防除面積(水稲防除、麦類防除、大豆防除、その他)、機体数 (無人ヘリコプター型とドローン型別に)及びオペレーター数(無人ヘリコプター認定 者とドローン型認定者別に)で、お願いします。 (4-2)農水省及び国土交通省が把握している。2018年度の農薬空中散布無人航空機の事故例を教えてください。無人ヘリコプターとドローンの区別もお願いします。 (4-3)事故事例で、農水省と国土交通省の把握している届出数が異なるのは、なぜですか。統一した上、事故原因をきちんと調査することをお願いします。 (4-4)無人航空機の農薬散布で事故を起こした操縦者や実施団体には、ペナルティーを科することを求めます。 (4-5)3月18日に設立された「ドローン普及のための官民協議会」には、農薬散布で被害を受けている人や環境保護者はメンバーとなっていないのは、問題あると考えます。  当日配布資料や設置目的、設置要綱やメンバーなどを教えてください。 (4-6)その他、すでに提出してある農水省のパブコメ「ドローンの農業利用の拡大に向けた規制改革に係る関係通知の整備に関する意見・情報の募集について」は、長文のため、分割投稿しましたが、下記に統合したファイルをアップしていますので、参考にしてください。
   http://home.catv.ne.jp/kk/chemiweb/kiji2/pc190311.htm その5の【意見5】に続く ■受付ID:000153766   Date: Tue, 26 Mar 2019 20:46:19 その5 0001537661からの続き 【意見5】その他の事項 (5-1)農薬類の人体汚染について  環境省が、毎年報告してきた H24-28年度の「化学物質の人へのばく露量モニタリング調査結果報告書」及びパンフレット「日本人における化学物質のばく露量について」は、最近の報告がありませんが、H29年度報告書、同パンフレット2018を公表してください。いずれも、有機リン系農薬その他の農薬や代謝物の尿中検出値がしめされており、人体汚染を示す貴重な情報となっています。  また、「平成 29 年度化学物質の人へのばく露量に係る生体試料調査業務」の結果も、まだ、公表されていません。平成 23〜28 年度に取得した尿試料の一部のネオニコチノイド系農薬及びフィピロニル及びこれらの代謝物の分析をまとめているとのことなので、よろしく。 (5-2)殺虫剤メソミルを混入した毒餌によるネコの毒殺事件が、昨年11月に、神奈川県相模原市で、発覚し、2月に容疑者が逮捕されましたが、同成分を含むランネート剤は、劇物指定のまま、依然と販売されています。毒物指定の上、取締りの強化を願います。  入手経路を調べた上、厚労省の防止対策を示しください。 (5-3)農水省が公表した2017年の農薬による人の中毒事故で、最も多かったのは、土壌くん蒸剤クロルピクリンによる1件7人の中毒です。農水省は被覆を行わなかったのが原因としています。当該使用者には、使用禁止などのペナルティーを科すべきと思いますが、どのように対処されましたか。  わたしたちは、クロピク使用の禁止や免許制度の実施を求めていますが、農水省の対策内容はかわりません。住民事故が毎年起こることについて、農水省・環境省・厚労省はどのようにお考えですか。 (5-4)厚労省は毒劇法に基づき、毒劇指定のある農薬の販売・使用・廃棄に関して、立入調査を実施されておられますが、年間の立入調査は何件ありますか、そのうち違反があったのは、何件ですか。2015年以後について、調査場所種類別の総立入件数と内容別違反件数を教えてください。 (5-5)林野庁が埋設処理をしている2,4,5−Tについて  2016年5月の熊本地震発生後の埋設個所の状況をお尋ねしましたが、その後、風水害や地震が各地で起こっています。直近の埋設個所調査結果を前回同様、管理局/管理署など/埋設個所の所在地(都道府県名と市町村名)直近の定期及び臨時点検年月日の一覧でお示しください。  土砂崩れ、雑草・かん木類の繁茂、立入禁止標識や囲いの破損した個所がありましたら、埋設個所ごとに補修内容を記してください。  また、2015年以降、2,4,5−Tやダイオキシン類の環境分析を実施されていましたら、その結果を埋設個所ごとに、教えてください。 (5-6)山林では、最近ドローン型無人航空機の適用を拡大し、除草剤の空中散布が検討されていますが、目視できない山林での広範囲の空中散布では、無人航空機の事故の危険が増すだけでなく、水源汚染、自然環境の破壊、森林の生態系・生物多様性にも影響を与える懸念があります。永年の松くい虫対策でも、空中散布の効果はあがっていないだけに、安易に農薬空中散布を拡大をすべきでないと思いますが、林野庁はいかがお考えですか。 (5-7)ネオニコチノイド類について  2018年には、EUで、ネオニコチノイド類3種の開放系での使用禁止が実施されていますが、日本では、あいかわらず、使用がつづいているだけでなく、国内出荷の2.5倍の量が海外輸出されています。  蜜蜂被害については、農薬被害が止まず、日本養蜂協会では、会員から、『農薬散布されたところの蜂の被害が一向に減らない』『農薬散布時に蜜蜂を移動させても、ドリフトが原因で被害にあう人がいる』『中山間地は山の際まで田んぼがあるので、逃げるところがない 』『農薬の空中散布について、散布日が決まっていても雇われ散布者の不適切な使用により被害にあう』『農水省は、退避する場所を確保しやすいように、都道府県等に対して文書を出してほしい』などの意見もでています。  また、松枯れのマツノマダラカミキリや水稲斑点米カメムシ、ウメのppvでのアブラムシ駆除、その他、果樹・野菜にも使われるネオニコチノイド類(フィプロニル、フロニカミドを含む)は、河川水を汚染し、ヒトの尿中にも検出され、環境生物や人体への影響が懸念されています。  2018年度の蜜蜂被害状況を早急に教えてください。  また、発達神経毒性のあるネオニコチノイド類を化管法に指定するとともに、水道監視項目の目標値を設定し、蜜蜂被害や人体汚染をとめてください。 以上