2019年2月8日 栃木県農政課食育・地産地消担当者  様    経営技術課環境保全型農業担当者様  反農薬東京グループです。農薬問題については、いつもお世話になっています。  ところで、貴県は1月24日に公表された「県産いちご(とちおとめ)の残留農薬検査結 果について」で、1月15日の収去検査の結果、JAしもつけが出荷したイチゴから、残留基 準を超えるプロチオホスとフルフェノクスロンが見つかり、回収命令を発出したとして、 その経緯を明らかにされました。2月3日には、当該事例についてのQ&Aを、2月5日に は、「いちご生産者の農薬使用状況の点検結果について」を発出され、再発防止の対策 もあげておられます。  貴県では、2007年に、JAかみつが出荷のイチゴにホスチアゼートが残留基準を超えて みつかり、調査した結果、粒剤を水に溶かして潅水施用するなど、ホスチアゼート剤の 適用違反がみられました。この時、当グループは、農協ぐるみと思われる違反の是正を 求めたことがあります。  また、2015年には、「道の駅にのみや」で収去されたイチゴのホスチアゼート残留基 準違反が明らかになり、出荷先のJAはが野に回収命令を出されています。  イチゴは、貴県の特産ですが、度重なる農薬取締法違反や食品衛生法違反は、いまま での、貴県の対応策が十分でなかったためと思われます。  そこで、今回の事例を踏まえ、以下のお尋ねをいたしますので、2月21日までに、下記 へご回答くだされば幸いです。。 **** 質問と回答(2/21) 【1】違反判明のイチゴについて 1-1、当該違反の生産者は1名ということですが、イチゴはどのような栽培方法(露地・   ハウス、慣行・減農薬、栽培面積など)で行われていましたか。また、プロチオホス  剤とフルフェノクスロン剤の2農薬が検出されていますが、それぞれ、何を目的に  いつごろ、散布されましたか。また、2成分のほかに、たとえば、ホスチアぜート   などが栽培使用され、検出された農薬があれば、その残留量とともに教えてください。  [回答]ハウスにおいて慣行栽培で行われていました。プロチオホスは収穫2日前に、   フルフェノクスロンは収穫前に、ともに害虫防除の目的のために使用したことを確   認しています。 1-2、当該生産者が、使用したプロチオホス剤とフルフェノクスロン剤の登録番号を教え   てください。これら2農薬は、同時に散布されましたか、それぞれ別の日ですか。  [回答]プロチオホスは農林水産省登録第13426号*、フルフェノクスロンは第18500号**   です。これら2農薬は、別の日に散布されたことを確認しています。    *  トクチオン乳剤(アリスタライフサイエンス製、1000倍希釈、収穫75日前まで)    ** カスケード乳剤(BASFアグロ製、4000倍希釈、収穫前日まで) 1-3、当該生産者は、農薬散布についての使用履歴をただしく記載していましたか。  [回答]正しく記載していました。 1-4、両農薬製剤のイチゴ栽培への適用方法(希釈濃度、散布量、散布期日、散布回数、   その他)はどのようなもので、当該生産者にどのような適用違反がありましたか。  [回答]プロチオホスは収穫開始75日前までに1,000倍に希釈して使用すべきところ、   収穫2日前に800倍に希釈して使用していることを確認しました。フルフェノクスロ   ンは適期に使用していることは確認できましたが、当該生産者からの聞き取りでは、   希釈倍率の誤りがあったとのことでした。 1-5、当該生産者は、いままで、農薬管理指導士の認定を受けていますか。また、イチゴ   の栽培に関する研修会や講習会に参加していましたか。  [回答]認定は受けていません。いちご部会の講習会へ参加していました。  1-6、今回の事例は、農薬取締法違反でもあると思いますが、貴県は、いかがお考えです   か。当該生産者は、なぜ、違反したと思われますか。また、違反すれば、罰則を科   せられるとの認識がありましたか。  [回答]改めて、農薬の適正使用に対する指導の徹底が必要と考えています。違反の理   由は、当該生産者から、ハダニ被害拡大の焦りから、ラベル等をよく確認せず使用   したためと聞き取りました。 1-7、当該生産者のいちごの出荷先はどこで、その回収量、消費量はどの程度でしたか。  [回答]当該生産者がJAしもつけに出荷した量は、1,063kg、回収量は、125kg、消費量   は不明です。 1-8、当該イチゴを購入した消費者から、健康被害の訴えやクレームがあれば、教えてください。  [回答]健康被害の訴え等はありません。 1-9、ほかに、今期出荷されたイチゴの残留農薬調査がありますか。あれば、調査内容と   結果はどうであったかを教えてください。残留分析に供した検体数。残留農薬が検   出された検体数を。残留していた農薬成分ごとの検出範囲とともに、一覧表でお示   しください。  [回答]食品衛生法に基づく収去検査は14点実施しています。今回の事案を除く13点は、   残留農薬基準値を超えていません。 【2】イチゴ生産者の調査結果について、 2-1、どのような方法で、どのような内容の調査を実施され、その結果をどのようなもの   であったかを教えてください。調査文書があればお示しください。  [回答]県、市町、JAグループが連携し県内全いちご生産者(1864戸)の農薬の使用状   況を点検しました。その結果、5戸に対して指導を行いました。 2-2、調査月日、調査対象の地域別、生産者団体別にその数を教えてください。  [回答]1月24日〜1月31日に、JAグループ1661戸、個別出荷者203戸を調査しました。 2-3、栽培者の農薬使用履歴について調査されましたか。栽培履歴の記載あり、正しく   記載していない 記載なしにわけて、その数を教えてください。不適正な農薬使用   があった場合、その内容別生産者数もお願いします。貴県の調査では、使用時期の   指導2戸、使用回数の指導3戸とありますが、具体的にどのような農薬を、どのよ   うに不適切使用したかを教えてください。  [回答]県内いちご生産者(1864戸)中、5戸に改善すべき事項を確認しました。2戸に収   穫開始前の日数及び散布時期の指導を行い、3戸に農薬は決められた使用回数で使用   するように指導しました。 2-4、貴県の調査では、上記、5生産者のイチゴの残留分析をされ。残留基準違反はなか   ったとされていますが、残留分析に供した検体数。残留農薬が検出された検体数を、   残留していた農薬成分ごとの検出範囲とともに、一覧表でお示しください。また、   イチゴ生産者等や団体が自主的に実施した残留農薬調査結果がありましたら、その   結果、どのような農薬がどの程度検出されたかを教えてください。  [回答]県では5生産者のいちごを1検体ずつ残留農薬検査を実施し、残留農薬基準値の   超過はありませんでした。 【3】残留基準違反の再発防止について 3-1、2015年以後、イチゴに限らず、貴県における農薬の不適切な使用事例、残留基準違   反事例があれば、その発生年月と内容を教えてください。  [回答]ありません。 3-2、貴県は、再発防止のため、いままでも、「農薬適正使用の指導の徹底」をあげてお   られますが、2015年以後、具体的にどのような指導を行われましたか。それにも拘   わらす、イチゴの不適切な使用や残留基準違反がおこる原因はどこにあるとお考えですか。  [回答]県では農薬適正使用に係る研修会の開催、農薬使用履歴記帳の現地指導、メデ   ィアや資料配付による広報等を行ってきましたが、継続的に農薬の適正使用に対す   る指導の徹底が必要と考えています。 (参考までに、配付資料の一例を添付します。    http://www.pref.tochigi.lg.jp/g04/work/nougyou/keiei-gijyutsu/documents/tekiseishiyou_feb2019.pdf 3-3、イチゴ栽培者や団体についての研修会や講習会での指導は、いつ、どこで実施され、   その参加者はどの程度でしたか。2015年以後、開催事例ごとに、呼びかけ数、参加   者数、不参加者数は、どのようであったか、教えてください。  [回答]出荷組織ごとに研修会や講習会を開催しており、具体的な参加者数などは把握   していません。 3-4、講習会や研修会の内容はどのようなものですか。文書があれば、お示しください。  [回答]栽培技術指導とともに農薬適正使用に係る情報の周知を行っています。 3-5、講習会や研修会は、毎年実施し、栽培者は、全員参加すべきだと思いますが、いか   がお考えですか。その際、参加者がどの程度理解しているかを、後刻、チェックす   る必要がありませんか。  [回答]講習会、研修会は栽培時期に合わせて実施しており、全員参加するよう呼びか   けています。 3-6、貴県では、農薬管理指導士を認定されていますが、指導士は何名いますか。また、   イチゴ栽培の適正使用について指導士は現場の生産者にどのような指導をされてい   ますか。対象生産者数や指導回数は、どの程度ですか。  [回答]2019年1月末現在、998名です。JA営農指導員等の農薬管理指導士はいちご生産   者に対して農薬の適正使用を指導しています。指導回数は把握していません。 3-7、貴県は、生産農家に再発防止策に GAP推進 をあげておられますが、イチゴ栽培   に関する貴県のGAPで、農薬に関する事項はどのようになっていますか。文書又   はURLをお示しください。  [回答]栃木県GAP規範に記載があります。次のURLを参照ください。   http://www.pref.tochigi.lg.jp/g04/work/nougyou/keiei-gijyutsu/documents/gapkihannsyokuhinnannzenn.pdf   及び http://www.pref.tochigi.lg.jp/g04/work/nougyou/keiei-gijyutsu/documents/gapkihannkannkyouhozenn.pdf 3-8、現在、いちご栽培のGAP認証団体及び個人の数を教えてください。貴県における、   GAP認証団体及び非認証団体のイチゴ生産量は、それぞれ、どの程度ありますか。  [回答]GAP認証団体は1経営体です。GAP認証団体及び非認証団体の生産量については   把握していません。 3-9、農薬取締法違反を減らすには、農薬使用を減らすことが、いちばんと考えますが、   貴県はイチゴ栽培に、どのような手法で、農薬使用を減らそうとしておられますか。   また、貴県のイチゴ栽培者で、慣行栽培、減農薬栽培、有機栽培者はそれぞれ、何   名くらいおられ、その生産量はどの程度ですか。  [回答]天敵農薬の使用、炭酸ガスによる防除など化学農薬に頼らないIPMの取組を   推進しています。減農薬栽培、有機栽培の生産者及び生産量については把握していません。 3-10、農薬の不適切な使用は、農薬取締法における罰則の対象となりますが、貴県で、   いままでに、農薬取締法違反で罰則を受けた農薬使用事例は何件ありますか。その   うちイチゴ事例は何件ですか。また、違反はあったものの、指導したのみで、罰則   を適用しなかった事例は、何件ありますか。その理由とともに教えてください。  [回答]農薬取締法の違反事例は今回を含めて3件ありましたが、健康被害の訴えがな   いこと、また、いずれの事案も県の指導に従って、迅速に対応したことから指導に   とどめました。