2019年6月13日 環境省大臣官房環境保健部環境安全課 化管法見直し合同会合取りまとめパブリックコメント担当 御中  化管法の目的には『事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進』があるもの の、環境保全にマイナスとなるさまざまな合成化学物質が。わたしたちの身の回りに、 あふれており、使用規制をもっと強化すべきであるのに、安易な生産・使用・廃棄がと どまることはない。プラスチックゴミの海洋汚染にみられるように、ヒトの健康や 環境・生態系への影響防止を重視して、生産規制を第一とする対策をとる必要がある。 わたしたちは、主に農薬について、いままで、下記のような意見をのべてきた。  (1)2008年4月の化管法対象物質見直し合同会合報告(案)への意見 → 添付     ・http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/jimu/pub080528.txt  「農薬等」の製剤を総量で年間1トン以上取り扱う販売業者に指定物質を含む製剤の 販売量の届出を義務づけることを提案する とした上、指定物質とすべき農薬等の成分 のリストをあげた。しかし、2008年11月21日に関連省令見直しでは、要望内容の殆どが 実現しなかった。 (2)2011年の 農薬・殺虫剤に関する要望  →添付    ・http://www5e.biglobe.ne.jp/~ladymine/kiji/kan111108a.txt  【3】項で、化管法における指定化学物質の見直しについて、再度要望をおこなった。  化学物質の中には、農薬と同じ化学物質であっても、法規制のないシロアリ防除剤、 木材保存剤、不快害虫用殺虫剤、衣料用防虫剤、非植栽用除草剤などとして、身の回り で多用されている化学物質は、化管法指定がない限り、の出荷量は不明のままとなって いる。  その後、化管法指定化学物質の見直しはなく、ピレスロイド系殺虫剤、ネオニコチノ イド系殺虫剤、グリホサート系除草剤の中には、ヒトや環境・生態系に有害であるにも 拘わらず、化管法の適用はない。 (3)2012年7月 SAICM国内実施計画(案)に対する意見 → 添付    ・http://www5e.biglobe.ne.jp/~ladymine/kiji/saicm.txt   意見2-9で 身の回りでは、ピレスロイド系殺虫剤、ネオニコチノイド系殺虫剤、 グリホサート系除草剤はじめ、多くの神経毒性や環境ホルモン作用のある化学物質が使 用されており、生活環境や一般環境での汚染調査を実施するとともに、これらの出荷量 を把握するため、早急に指定化学物質を見直すべきである、とした。 (4)2015年4月 発がん性農薬とネオニコチノイドに関する要望 → 添付    ・http://www5e.biglobe.ne.jp/~ladymine/kiji/prtr150407.txt   要望2で、グリホサートや殺虫剤やネオニコチノイド系殺虫剤などの化学物質につ いて、化管法の指定物質とし、原体や製品の製造・輸入数量、用途分類別出荷量の報告 を義務付け、これらの使用目的別数量等を公表、ヒトや環境への影響を配慮して、使用 制限すべきである、としたが、実現していない。  ここでは、農薬を中心に化管法に関して、以下の意見を述べる。  以下にある <回答>は6月28日に。下記で公表されたものである。   https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=195190012&Mode=2 【意見1】下記の化学物質については、早急に化管法指定物質として、排出量を把握す るとともに、生産・使用量の削減につなげるべきである。  (1-1)グリホサート系除草剤   [理由]1、農薬登録のある製剤の出荷量は農薬要覧の統計判明するが、非植栽用と して出荷されているものは不明である。    2、グリホサートは、IRACが。2015年3月、発がん性を2A(ヒトに対して恐 らく発がん性がある )にランク付けした。    3.フランスなどでは、使用規制がすすんでいる。    4、非植栽系除草剤については、農薬取締法の「農薬を使用する者が遵守すべき 基準を定める省令」登録農薬を対象とした農水省・環境省両局長通知「住宅地等におけ る農薬使用について」を適用すべきなのに、現状では、化審法と毒劇法以外、法規制が がない。  <回答>指定化学物質の具体的な選定に当たっては、今回の取りまとめの考え方に基づき、   有害性、環境での検出状況、届出排出・移動量、製造量等に鑑みて別途検討されるものと考えています。  (1-2)ネオニコチノイド系、ピレスロイド系、フェニルピラゾール系殺虫剤   [理由]1、水域の生物、陸域の生物、家畜であるミツバチ、ポリネーターへの影響 が大きく、ヒトの尿などに検出されいるが、ほとんど指定物質となっていない。    2、ネオニコチノイド系殺虫剤は、欧米他で、ミツバチやポリネーターの減少に つながる農薬として、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、フィプロ ニル使用規制が実施されている。これらのほか、アセタミプリド、チアクロプリド、ニ テンピラムらが、日本の河川水中や、ヒトの尿中に検出されている。   <参考文献> 2017-2018年環境化学討論会発表    ・下水処理施設からのネオニコチノイド系殺虫剤およびフィプロニルの排出実態         ○大塚宜寿1,蓑毛康太郎1,川羽田圭介2,山崎宏史2,茂木守1,堀井 勇一1,竹峰 秀祐11埼玉県環境科学国際セ,2東洋大・理工)    ・下水処理施設におけるネオニコチノイド系殺虫剤およびフィプロニルの除去効果          ○大塚宜寿,蓑毛康太郎(埼玉県環境科学国際センター)    ・さいたま市内河川におけるネオニコチノイド系農薬の残留実態調査          ○川合裕子 1 (1 さいたま市健康科学研究センター)    ・東京都内河川におけるネオニコチノイド系農薬等の実態調査       ○西野 貴裕,加藤 みか,下間 志正((公財)東京都環境公社東京都環境科学研究所)    ・神奈川県内河川におけるフェニルピラゾール系殺虫剤とその分解物の存在実態      ○鎌田素之1,久保明日香2,川嵜悦子2,中田俊芳2,須戸 幹3             (1 関東学院大学,2 株式会社日吉,3 滋賀県立大学)    ・川崎市内水環境中におけるネオニコチノイド系殺虫剤の環境実態調査      ○鈴木義浩1,藤田一樹2,財原宏一1,千室麻由子2,井上雄一           (1 川崎市環境局環境総合研究所, 2 川崎市環境局環境対策部)    ・大阪府内における河川水中ネオニコチノイド系農薬濃度の実態調査       ○大山浩司,矢吹芳教,伊藤耕二,大福高史、伴野有彩       (地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所)    3、ピレスロイド系、その他については、身の回りで下記の成分が使用されているが、  *は化管法の対象外となっている。   アミドフルメト*  家庭用殺虫剤   イミプロトリン*         ピレスロイド系家庭用殺虫剤   オクタクロロジプロピルエーテル(S-421)*                   家庭用殺虫剤、シロアリ防除剤、                   ピレスロイド系殺虫剤の共力剤としての用途                   母乳汚染がみられる   シフェノトリン*         家庭用殺虫剤、シロアリ防除剤   ディート(ジエチルトルアミド)* 虫よけ剤、山ビル   ヒドラメチルノン*        家庭用殺虫剤   フェノトリン*          ピレスロイド系家庭用殺虫剤   フタルスリン*          ピレスロイド系家庭用殺虫剤   フラメトリン*          ピレスロイド系家庭用殺虫剤   プラレトリン*          ピレスロイド系家庭用殺虫剤   フルトリン*、メタフルトリン*、トランスフルトリン*、プロフルトリン*                   ピレスロイド系家庭用殺虫剤   メトキサジアゾン*        家庭用殺虫剤   メトプレン*           ハエ・カ殺虫剤や動物用医薬品としての用途あり                   カエルの過剰肢の原因のひとつである。    4、水田等で多用されるフェニルピラゾレート系のエチプロールも水系汚染が報 告されている。  <回答>指定化学物質の具体的な選定に当たっては、今回の取りまとめの考え方に基づき、   有害性、環境での検出状況、届出排出・移動量、製造量等に鑑みて別途検討されるものと考えています。  (1-3)同じ成分又は同じ系列の成分が農薬以外の用途に使用されている場合だけでなく、 使用用途が農薬のみの化学物質についても化管法指定物質とすべきである。とくに、現 在、一般環境中に検出されている農薬成分を優先的に指定すべきである。   [理由]1、昨年の農薬取締法改定にともない、農薬のヒトや環境・生態系への影響 防止については、一層、規制がが厳しくなった。    2、環境・生態系・生物多様性の観点から、水域生物のみならず、陸域生物への 影響が懸念される。また、住宅地で使用されることもあるため、化管法により、使用場 所ごとの排出量がわるようにすべきである。    3.環境省の調査では、以下のような農薬が河川に検出されているが、*は化管法 指定されていない。、  農薬残留対策総合調査(河川モニタリング)における農薬成分名と最大検出値(μg/L) ・2017年度調査 http://www.env.go.jp/water/dojo/noyaku/zanryutaisaku/2017-1.pdf   キノクラミン*(ACN) 0.21 μg/L)   クロチアニジン*     0.221   チアメトキサム*     0.083   フェノブカルブ(BPMC 1.7   フェントエート(PAP)0.026   ブタクロール      0.96   プレチラクロール    6.27   ブロモブチド*      15.30  ・2017年度調査  http://www.env.go.jp/water/dojo/noyaku/report2/h28/01.pdf   キノクラミン*(ACN) 0.18   シメトリン        0.36   フェントエート(PAP)0.058   ブタクロール     0.70   プレチラクロール   4.12   ブロモブチド*     10.17   メフェナセット    0.50  ・2015年度調査  http://www.env.go.jp/water/dojo/noyaku/report2/h27/01.pdf   イミダクロプリド*    0.222   エトフェンプロックス  0.0267   クミルロン       2.94   シメトリン       2.58   ブタクロール       2.82   プレチラクロール    6.49   ブロモブチド*      24.3   メフェナセット     0.85  <回答>今回の指定化学物質見直しにおいては、農薬につきましては、使用用途が農薬のみ   の物質も含め引き続き対象物質とすることとしております。指定化学物質の具体的な選定に   当たっては、今回の取りまとめの考え方に基づき、有害性、環境での検出状況、届出排出・移動量、   製造量等に鑑みて別途検討されるものと考えています。   【意見2】香料について   香料は、微量でもヒトが検知し、体調を崩す原因となる化学物質のひとつであるが、 生産量が少ないということで、有害物とはみなされず、化管法の対象になっていない。  しかし、洗濯用柔軟剤や消臭剤として、生活環境で使用されるようになった近年、香 害として問題(化視→視)されるようになっている。香料は、医薬品・パーソナルケア製品(い わゆるPPCPs)であり、化管法指定物質とし、出荷量を明らかにした上、使用規制につな げるべきである。   [理由]1、全国の自治体の中には、香害被害者の主張を受け入れ、施設内での香料 使用に対する注意喚起をもとめるところもある。    2、日本消費者連盟発行ブックレット:香害110番〜香りの洪水が体を蝕む   <回答>化管法の物質選定に係る有害性の判断項目としては、評価方法が確立して、一定の   データ蓄積のある項目としており、具体的には発がん性、変異原性、経口慢性毒性、吸入慢性毒性、   作業環境許容濃度から得られる吸入慢性毒性、生殖発生毒性、感作性、生態毒性、オゾン層破壊物質を   対象項目としています。   有害性の項目については、基本的には、この考え方に基づき設定の上、具体的な物質選定が   行われるものと考えています。 【意見3】合成高分子物質について   プラスチック製品が廃棄され、自然界で分解・破壊されると、生成した水に溶けに くい高分子物質そのものが、マイクロプラスツチックとして、一般環境を汚染すること になるが(なるが→なり)、安易な廃棄をやめることば求められているが、これは、あくまで、二次的な マイクロ粒子をターゲットしている。  一方、さまざまな製品に、目に見えない形の、ビーズ状マイクロプラスチックや他の 化学物質をいれたマイクロカプセルが配合されているが、この製品が環境中に放出さた 場合、一次マイクロプラスチックとして、環境汚染につながることは明白である。  一次マイクロプラスチックは、被覆又はマイクロカプセル化肥料、マイクロカプセル 化農薬、マイクロカプセル化シロアリ防除・木材防腐剤だけでなく、化粧品ほかのPPCs 中のマイクロビーズや柔軟剤など家庭用品にもマイクロカプセル化香料として配合され ている。  また、合成高分子製繊維から綿ぼこりだなどして、放出されるマイクロ繊維もマイク ロプスチックと同様と考えると、生活環境や一般環境中の一次及び二次マイクロプラス チック粒子は無数に存在することになる。にも拘わらず、それらを吸入した場合、ヒト や環境生物の体内でどのような作用するか未知なまま、使い続けられている。  マイクロプラスチックは、素材となる高分子物質自体、その原料である未反応のモノ マーや製造段階の触媒や界面活性剤、酸化防止剤その他の添加物、高分子の分解物、高 分子に吸収・吸着した他の有害物質。カプセルのばあい含有されている化学物質が、体 内組織のどこに存在し、それらがどのような生理作用をするかを評価する必要がある。  化管法でも今後、検討されるべきである。   [理由]マイクロカプセル化製品においては、中に含まれる化学物質の毒性は、一般 に非マイクロカプセル化製品に比べ、急性毒性が弱いとされているが、カプセル化され た医薬品が局所的あるいは長期的に生理的作用をおよぼし治療効果があるとされている ことから、さまざまな化学物質を含むカプセルを暴露した場合とその単分子体を経気又 は経皮的に暴露した場合とでは、人体組織内で、同等な生理作用を示すか否かは、不明 である、この点を留意すべきである。  <回答>マイクロカプセルを含むマイクロプラスチックの健康影響については、現時点では   未解明な部分が大きく、今後一層の知見の集積が必要と考えています。なお、指定化学物質の   見直しについては、マイクロカプセルに含有されているかどうかにかかわらず、今回の   取りまとめの考え方に基づき、有害性、環境での検出状況、届出排出・移動量、製造量等に   鑑みて別途検討されるものと考えています。