受付番号 | 201904250000520856/520857/520858 |
提出日時 | 2019年04月25日14時26分/14時29分/14時31分 |
提出意見 | 文字数制限のため、3分割して投稿します。 その1 【意見1】農薬取締法施行規則 について 再登録の実施期間を「概ね15年」から「15年」とすることに反対である。 [理由1]農薬取締法第八条 は 第一項で『再評価を受けるべき旨を公示したときは、当該指定に係る農薬について、農林水産大臣の再評価を受けなければならない。』 とされているが、わたしたちは、2018年10月に実施された「農薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う農林水産省関係省令の整備及び・・・意見・情報の募集について」*(以下、「2018年パブコメ」という)で、以下の意見を述べた。 『再評価を行う期間は、概ね 15 年ごととすることに反対である。新登録については、期限を短く限って(再登録制度下では、3年以内を求めた)、メーカーに使用者等の健康調査、流通食品での残留や一般環境汚染の実態の報告を義務付け、短い期間で再評価すればよい。 なお、わたしたちは『]新たな農薬については、地域を限って、実験ではみられない広範な植栽地で仮使用し、環境汚染実態、生態系への影響、残留実態などの試験データとって、評価し直す、再評価制度をとることがより科学的である。』としている。 [理由2]農薬取締法第十四条(情報の公表等)及び 第十五条(科学的知見の収集等)は、農林水産大臣がなすべき責務のひとつであり、毎年、行政が調べたり、メーカーが入手した毒性等の新たな知見や報告を国民の前に明らかにし、その都度、評価についての意見を聞くべきである。 あえて、15年と期限を区切る必要はなく、対象となる農薬ごとに、対応すればよい。 *当該パブコメへの意見は http://home.catv.ne.jp/kk/chemiweb/kiji2/nou181113.htm 【意見2】特定試験成績及びその信頼性の確保ための基準省令について 第二条二号にある『有効成分』を削ること、同条八号にある『水産動植物』を『生活環境動植物及び家畜(蜜蜂に限る。)』 とすることは、改定農薬取締法に即したものであるが、「蜜蜂に限る」とする必要はない。さらに、農薬製剤に添加されている補助成分についての試験を強化し、また、試験成績が不足している、現行登録農薬については、基準にあった試験の早急な実施が肝要である。 [理由]1、たとえば、液剤中の溶剤や界面活性剤ほかの添加剤、粒剤中の結着剤ほかの添加成分、マイクロカプセル剤のカプセル素材などの環境中での挙動、ヒトの健康や生態系への影響が不明である。 2、蜜蜂試験について、2020年4月1日からでなく、現行登録農薬で、蜜蜂被害をあたえている農薬について、すみやかに、実施すべきである。【意見4】の(4-2)も参照。 3、わたしたちは、貴省の「2018年パブコメ」で、特定試験成績について、農薬のドリフト・大気汚染によるヒトの健康への影響を防止するための試験を導入すべきであることに加え、下記事項を求めた。 (1)生態系全体への影響評価が必要である。 (2)発達神経毒性試験、発達免疫毒性試験、環境ホルモン作用による人や生物への影響試験を実施すべきである。 (3)上記について、動物実験にかわって評価できるインビトロな試験方法を開発・実施すべきである さらに、以下の主張もしている。 『特定試験成績の信頼性を確保するための基準として、OECDのGLP、試験施設の 基準への準拠、被験物質の管理、記録ほかの標準操作手順書の作成が求められ ているが、研究論文の中には、該当しないものもある。このような論文の収集と 評価もきちんと行うべきであり、その主張を無視してはならない。』 その2 【意見3】につづく その2 受付番号 201904250000520856 からのつづき 【意見3】農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令について (3-1)省令第一条二号『人畜に危険を及ぼさないようにすること』を『人畜に被害が生じないようにすること』と、同条五号『水産動植物』を『生活環境動植物』と改定されたが、同条の責務が果たされていないことに対して、使用者は農薬取締法違反で、罰則が科せられていないのは、問題である。 (3-2)非食用作物栽培に適用される省令第二条第二項は、農薬取締法第十六条第六号にある人畜に有毒な農薬については、その旨、使用に際して、講ずべき被害防止方法が追加されることになっているが、この項は、第一項と異なり、努力規定にすぎず、違反しても、罰則が科せられないので、第一項にくりあげ、同項第六号とすべきである。 (3-3) 第四条(航空機を用いた農薬の使用)第一項は、航空機だけでなく、無人航空機も対象とすべきである。また、第二項は努力規定でなく、遵守すべき義務規定とすべきある。さらに、両項目とも違反の場合は、農薬取締法の罰則を科するべきである。 [理由]貴省は、「2018年パブコメ」で、『ドローンを含む無人航空機を用いて農薬を使用しようとする場合には、農薬使用計画書を提出しなければならないこととする。』としていたが、この案は実現しなかった。 なお、わたしたちは、無人航空機による農薬飛散や飛行事故防止のためには、無人航空機による機体認定や操縦者認定は、国が実施すべきであるとしている。 (3-4)第五条(ゴルフ場における農薬の使用)の第二項、第六条(住宅地等における農薬の使用)、第七条(水田における農薬の使用)、第八条(被覆を要する農薬の使用)、第九条(帳簿の記載)にある努力規定は、遵守すべき、義務規定として、違反すれば、農薬取締法の罰則を科するべきである。 [理由] 有効期限を超えて農薬を使用しないことを含め、上記については、貴省の「2018年パブコメ」でも、農薬取締法違反による農薬使用者の罰則強化を求めている。 なかでも、第六条にもとづく、通知「住宅地等における農薬使用について」が遵守されず、周辺への周知義務も満足になされていない。第七条のクロピク使用については、一般住民の農薬受動被曝による健康被害があとを絶たず、わたしたちは、使用免許制度も求めている。第九条の農薬使用履歴の記載は、食用作物の残留農薬違反の防止につながるにも拘わらず、義務化されていない。 【意見4】農薬取締法第四条第一項第五号に掲げる場合に該当するかどうかの基準告示について この告示は、使用に際して、被害防止方法を講じても、なお人畜に被害を生ずるおそれがあるときに、農水大臣が登録拒否する根拠となる基準に関する重要なものである。 農薬使用者と家畜についての2つの条項について、以下に意見を述べる。 (4-1)第一項は、農薬使用者の被害防止に関する事項だが、基準となる農薬使用者暴露許容量と使用者の暴露量が十分検討されているといえない。 まず、経過措置では、「健康に著しい影響」を「健康に影響」とするべきであり、さらに下記の意見を述べる。 (4-1-1)農薬使用者は、日常的に食品や水から農薬を摂取しており、これに散布作業による経気や経皮による暴露量を加算すると、ADIを超えるおそれもある。反復的に農薬を暴露する使用者について、ARfDの考え方のみで、暴露許容量を設定すべきでない。 繰り返しのARfDなみの暴露が、使用者の健康に与える影響が不明なままであることが、、一層、懸念を強くする。 (4-1-2)使用者の暴露許容量は、ARfDをもとに設定されるが、食品安全委員会が決めたARfDには、妊娠中又は妊娠可能の女性について、一般区分より低い値が設定されている農薬もある。使用者の性差は考慮されていない。個体差の安全係数10だけで、十分といえる根拠を示し、妊娠中の女性が農薬を散布しても、影響がない暴露許容量を設定すべきである。たとえば、IARCが発がん性ランクを2Aとしているグリホサート系除草剤は、女性が散布しているケースもある。 (4-1-3)使用者の年齢差についても、同様のことがいえる。成長途上の若年者や解毒機能や免疫機能が低下する高齢者への影響がないといえる暴露許容量を設定すべきである。 その3の 【意見4】(4-1)の(4-1-4)につづく その3 受付番号 201904250000520857 からのつづき 【意見4】の(4-1) (4-1-4)わたしたちは、農薬散布地周辺の一般人の受動被曝による健康被害防止のため、さまさまな使用規制を求めている。貴省は農薬使用者への安全性が強化されれば、住民にも反映されるとしているが、農薬に過敏な人も安心して暮らせる暴露許容量を設定すべきである。また、クロルピクリンのように、使用者よりも周辺住民が受動被曝による健康被害を多く受けている実態を看過してはならない。 (4-1-5)農薬使用者は、複数の農薬を反復的に使用し、その都度、被曝することになるが、暴露許容量は、単一農薬でしか評価されていない。この理由を明らかにしてほしい。 また、同一作用機構で影響を与える農薬類は、単独でなく、同一種類の農薬群としても暴露許容量を設定すべきである(たとえば、有機リン系、ネオニコチノイド系など)。 さらに、複数農薬の暴露についても、科学的に評価すべきである。たとえば、水道水の農薬についての水質管理目標設定項目は、総農薬方式が採用されている。 (4-1-6)農薬使用者の暴露量について、散布状況の実態調査を充実させ、使用者が体内に取り入れている農薬やその代謝物の数量を尿、血液、毛髪、母乳などから調査し、 暴露量算出に反映させるべきである。 (4-1-7)農薬取締法第二十七条 (農薬の使用に関する理解等)で、『農薬使用者は、農薬の使用に当たっては、農薬の安全かつ適正な使用に関する知識と理解を深めるように努める』とある。 使用者が使用する農薬の暴露許容量や暴露量の情報、自らの農薬汚染度を知ることは、自身の安全意識を向上のためにも重要である。 (4-2)第二項は、家畜に対する被害防止に関する事項だが、家畜は「蜜蜂に限る」とされている。農薬については、蚕も家畜とされるが、この号が蚕に適用されない理由を明確にすべきである。 また、経過措置では、『当分の間』とされ、人の暴露許容量に対応する暴露量を「蜜蜂の群の維持に支障を及ぼすおそれがある程度の量である」と表記にするのは、科学的とはいえない。「当分の間」と『程度のの量である』を削除するよう、すみやかに、試験方法等や暴露基準と暴露量の関連等を明確にすべきである。 ここでは、家畜をミツバチとして、以下の意見を述べる。 (4-2-1)成虫接触及び経口毒性。幼虫経口毒性が指標とされるが、巣内に持ち込まれた農薬の女王蜂、女王蜂体内に蓄えられた精子、産卵された卵への毒性も暴露基準に反映させるべきである。。 (4-2-2)外勤蜂が巣に持ち込む花粉、花蜜、水分や溢液などに含まれる農薬量と毒性指標との関連を明確にすべきである。 (4-2-3)巣内の蜂数の減少を農薬の致死毒性を指標とするだけでなく、蜂群の行動異常や病害虫に対する抵抗力も指標にすべきである。 (4-2-4)自然界での農薬の暴露は単一ではなく、蜂は、複数の農薬に暴露し、巣にもちこむ。農薬使用者と同様、ミツバチでも複合毒性も考慮すべきである。 (4-2-5)ミツバチに被害を与えることが明らかで、使用上の注意事項に暴露を避けるよう記載がある農薬(たとえば、欧米で使用禁止がすすみ、日本では、斑点米カメムシや果樹等で使用されているネオニコチノイドや有機リンほか)の評価を促進すべきある。 (4-3)告示の実施は、平成三十二年四月一日となっているが、既存登録農薬への適用をを含め、早急に実施すべきである。 以上 |