水道水中における農薬類の目標値等見直し2018/12/25から19/01/25


水道水中における農薬類の目標値等見直し案に関する御意見の募集について
受付番号 201901250000511807/511816/511818
提出日時 2019年01月25日09時13分/09時30分/*** 赤字修正は1月30日
提出意見 その1
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【意見1】水道水や原水の農薬汚染状況の調査が不十分である。残留実態調査の実施をを強化し、残留基準設定に反映さすべきである。
。今後、水道事象者による農薬分析件数を増やすとともに、目標値をもっと低くして、国民の水道水からの農薬の摂取量を減らすべきである。

  [理由]1、平成30年度第1回水質基準逐次改正検討会の資料には、H28及びH27年度の対象農薬リスト掲載農薬類120の検出状況がしめされているが、検体数が少ない上、採水時期も不明である。また、検体のすべてで、対象農薬が分析されたわけではない。
 2年間の検体数は、農薬によって異なり、349~1383であり、そのうち、何らかの対象農薬が検出されたのは222検体であり、複合残留【の状況も不明である→の事例もみられる】。

  2、 水道事業者に農薬分析が義務付けられていないにも拘わらず、上記資料では、目標値の対50%を超える検体はなかったものの、残留調査結果は、下記のようであった。とくに、検出された農薬には、有機リン系が目立つことに、注意をはらうべきである

  ・対10%値超~50%の検体数:43
   アセフェート17、ジクワット22、ジチアノン/ダイアジノン/DEP/MPP各1検体
  ・対5%値超~10%の検体数:29
   MCPA/ピペロホス11、プレチラクロール2、イミノクタジン酢酸塩/ジクワット/ジチオカルバメー ト系農薬/DEP/パラコート各1
  ・対2%値超~5%の検体数:38
   イソフェンホス13、ピリダフェンチオン11、ホスチアゼート/ジチオカーバ系農薬3、カズサホス2、ジメタメトリン /テルブカルブ/DEP/BPMC/プロモブチド/メフェナセット各1
  ・対1%値超~2%の検体数:112
   ダイアジノン26、EPN16、クロルピリホス12、アニロホス11、アミトラズ/ダラポン (DPA)10、ピラクロニル/DEP5、ブタクロール4、ブロモブチド2、D-D/アセフェート/イソキサチオン/インダノファン/オキシン銅/カズサホス/カフェンストロール/ピラゾキシフェン/ピロキロン/ベンフレセート/ホスチアゼート各1


  3、環境省の平成29年度河川中農薬モニタリング調査結果を下表に示したが、対象農薬に指定されていない農薬も検出され、水道水への混入が懸念される。

  表 環境省の2017年度の河川水中の農薬分析結果 (単位:ng/L)
   <出典>第64回中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会の資料
 農薬名      最大濃度    農薬名          最大濃度
            検出範囲                  検出範囲
【殺虫剤】                【水稲用除草剤】
 BPMC     1040~1700 キノクラミン(ACN)  70~210
 PAP         <40   テニルクロール       <40
 アクリナトリン     <0.5    ブタクロール  16~370
 クロチアニジン      124 プレチラクロール    2.22~2440
 シラフルオフェン     <40   ブロモブチド 5500~15300
 チアメトキサム    21~83
 トラロメトリン <0.5

その2の【意見2】につづく

その2 受付番号 201901250000511807   からのつづき

【意見2】前回のパブコメで、下記の農薬について、対象農薬とすることを求めた。
 貴省の回答は、『今回の意見募集の対象外ですが、今後も内閣府食品安全委員会の食品健康影響評価等の最新の科学的知見を踏まえ、逐次、目標値等の見直しを行うこととしています。』とのことであったが、今回も提案されていない。特に、ネオニコチノイドの水系汚染た人体汚染の実態が明らかになっていることに留意されたい。
 
(1)クロルピクリン
(2)イミダクロプリド、(3)ジノテフラン、(4)クロチアニジン
  [追加理由]2018年5月、那覇市開催された第27回環境化学討論会では、以下のような報告があり、代謝物を含むネオニコチノイド類ほかの河川水汚染が明らかになっている。
   ・埼玉県環境科学国際センター:水処理施設からのネオニコチノイド系殺虫剤およびフィプロニルの排出実態
   ・同上:下水処理施設におけるネオニコチノイド系殺虫剤およびフィプロニルの除去効果
   ・さいたま市健康科学研究センター:さいたま市内河川におけるネオニコチノイド系農薬の残留実態調査
   ・東京都環境科学研究所:東京都内河川におけるネオニコチノイド系農薬等の実態調査
   ・関東学院大学:神奈川県内河川におけるフェニルピラゾール系殺虫剤とその分解物の存在実態
   ・川崎市環境局環境総合研究所:川崎市内水環境中におけるネオニコチノイド系殺虫剤の環境実態調査
   ・大阪府立環境農林水産総合研究所:大阪府内における河川水中ネオニコチノイド系農薬濃度の実態調査

(5)チフルザミド、
(6)テブコナゾール、
(7)ピリミノバックメチル、
(8)フラメトピル
(9)エチプロール
 <参照>反農薬東京グループの2017年度のパブコメ【意見6】;
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~ladymine/kiji/pc180109.htm


【意見3】下記農薬は、食品安全委員会が設定したADIをもとに、目標値が設定されているが、わたしたちは、EU並に単独農薬で100ng/L=0.0001mg/L、総農薬で500ng/L=0.0005mg/Lを求めている。残留実態にみあうようもっと、低値にすべきである。
  [総合的理由]EUの水道水の農薬基準は、日本のように個々の農薬で目標値が設定されていないが、上記数値は、日本の目標値よりも低いケースがほとんどである。
 東京オリンピック・パラリンピックを前に、食品については、GAPなどの認定者が少なく、国産品の多くはGAP基準をクリアできないことが、問題となっている。水道水中の農薬についても、【意見1】の [理由]2に示した222検体のほとんどは、EU基準を超える。外国から来るひとに、安心して、水道水を飲んでもらえなくなる。
 
 以下については、個別 [理由]を示す

 (1)カルバリルについて
  [理由]1.ADI0.0073mg/kg体重/日をもとに、0.05→0.02mg/L と強化されたが、残留実態調査では0.0005mg/Lを超えていない。
   2.ラットの発がん性試験で、膀胱、肝臓、甲状腺及び腎臓、マウスでは、肝臓、腎臓及び血管(主に肝臓及び脾臓)に腫瘍の増加又は増加傾向が認められたが、非遺伝毒性メカニズムとされているが、出来るだけ摂取量をさげるべきで、目標値も低くくすべきである。

 (2)プロベナゾールについて
  [理由]1、ADI0.01 mg/kg体重/日をもとに、0.05→0.03mg/Lに強化されたが。残留実態調査では0.0005mg/Lを超えていない。
    2、ラットの発生毒性試験で。胸骨核等の骨化遅延及び胸腺頸部残留が認められ、胎児の発育遅延に起因するものと考えられているが、出来るだけ摂取量をさげるべきである。また、代謝物のひとつにサッカリンがあるが、食品添加物・甘味剤としての使用による摂取との関連性が検討されていない。

 (3)メタラキシルについて
  [理由]ADI0.08mg/kg体重/日もとに、0.2mg/Lに緩和されたが、残留実態調査では0.0006 mg/Lを超えていない。


その3の【意見4】につづく

その3 受付番号 201901250000511816   からのつづき

【意見4】オリサストロビン目標値を、代謝物である(5Z)-オリサストロビンの濃度も測 定し、原体と合算することには賛成だが、現行目標値を0.1mg/Lを低値に見直すべきである。
  [理由]1、現行目標値0.1mg/Lは、ADI0.052mg/kg体重/日をもとにしているが、残留実態調査では。0.001mg/Lを超えていない。
   2、発がん性試験では、十二指腸(ラット、マウス)及び甲状腺(ラット)で腫瘍が認められたが、いずれも発生機序は非遺伝毒性メカニズムと評価されいるが、出来るだけ摂取量をさげるべきで、目標値もひくくすべきである。


【意見5】下記の農薬は、登録失効したことを理由に、対象農薬か除外されたが、回収状況が確認された時点で、削除すべきである。
 (1)エジフェンホス(EDDP)登録失効:2013/02/19、
 (2)エクロメゾール 登録失効:2012/01/01、
 (3)カルプロパミド 登録失効:2017/04/26
 (4)メチルダイムロン 登録失効:2005/07/14。

  [理由]1、農薬取締法では、登録失効したり、最終有効年月をすぎた農薬の回収義務はなく、農薬の販売の禁止を定める省令で指定されていない農薬を使用しないことは努力規定で、使用しても罰則は適用されないため、使用が継続される危険がある。
    2、特に、2018年の農薬取締法改定で、3年ごとの再登録制度がなくなっため、メーカーの都合で、登録が継続することになる。

 以上