農薬使用に関する要望とお尋ね *****************************                2020年4月23日 尾道市市長 平谷 祐宏 様  秘書広報課広報広聴係  御中 新型コロナウイルスの感染防止対策ご苦労様です。  私たちは、農薬をはじめとする化学物質による環境汚染・健康被害を出来るだけ減ら  そうと運動している市民団体「反農薬東京グループ」です(下記ホームページ参照)。  貴市における農薬使用について、住宅地近くでのクロルピクリン、その他除草剤をは じめとする農薬使用により、健康被害を受けているとの情報があり、広島県の担当部署 あてに、何度が要望と質問のメールを送って、回答をいただいています。  その中で、貴市に問い合わせるようご指示をいただいた部分もあり、以下の件で要望 とお尋ねをしますのが、5月20日までに、下記へご回答願います。 **** 要望とお尋ね 【1】尾道市の農薬使用及び農薬使用者への指導について   広島県に尋ねたところ、『農薬取締法に基づく立入検査の権限は,17市町に移譲さ れている』とし、「広島県の事務を市町が処理する特例を定める条例」に、尾道市が入 っています。この条例の第二条の表の四の二には、貴市が処理する農薬取締法関連の事 務として8項目があがっています。そこでお尋ねします。 (1-1)貴市はどのような項目について、どのような事務を行っていますか、いままでの事 例を教えてください。なお、農薬は農薬取締法登録があり、植栽管理に用いる製剤で、 殺虫剤、殺菌剤、除草剤、クロルピクリンのような土壌処理剤も含みます。    [回答]   @ 農薬販売・変更・廃止届出の受理業務   A 農薬販売者・使用者に対する店舗等への立入検査の実施並びに県知事への実施     報告   B 違反販売業者への改善指示並びに販売禁止命令    以上の事務を行っております。 (1-2)8事項のうち、農薬使用者及び農薬販売者への立入検査をされましたか。されてい ましたら、その件数と内容、指導方法、その後のフォロー結果について教えてください。  [回答]   【農薬販売者】  ・立入検査の件数:農薬販売者は5件です。  ・検査内容:@農薬の取扱責任   A届出事項   B店舗及び倉庫の状況   C帳簿の整備   D農薬の取扱い   【農薬使用者】    ・立入検査の件数:令和元年度は実施しておりません。    ・検査内容:@農薬の取扱責任          A帳簿の整備          B農薬の使用          C倉庫等の状況   【指導方法】   現地での改善指導を行い、後日、指摘事項と指導事項を改善していただくよう、     文書により通知しております  (1-3)使用者への立入検査については、農薬が適正に使用されているかどうかの調査はど のようにしておこなわれていますか。年間の立入件数やチェック項目をあげてください。  その際、使用者に義務付けられている、適用方法の遵守及び使用履歴の記載の帳簿の 確認は実施されましたか。また、保管方法の点検についてはいかがですか。具体的な内 容ごとに、違反事例の件数を教えてください。  [回答]   ・調査方法:農薬使用者へ立入検査を行い、帳簿や保管状況を目視により確認。   ・立入検査の件数:農薬使用者については、昨年度は実施しておりません。 ・チェック項目:(1-2)の回答をご参考ください。 ・違反事例:帳簿の不備が1件、有効期限切れの農薬の在庫が1件です。 (1-4)貴市では、市内の農薬販売者に届出るよう求められていますが、販売者及び店舗の 数を教えてください、そのうち、毒劇物指定農薬を取り扱っている販売者及び店舗の数、 クロルピクリン製剤を取り扱っているものの数も教えてください。  [回答]   ・販売者及び店舗数は、120店舗です。  ・毒劇物取扱店舗数は、18店舗です。  ・クロルピクリン取扱店舗数については、市への届出の義務が無いため、把握して    おりません (1-5)販売者の立入検査について、適正な販売が実施されているかどうかの調査は、どの ようにして行われましたか。年間立入件数やチェック項目をあげてください。  毒劇指定農薬の購入者の名簿等は保存されていましたか。販売者から購入者への注意 事項はどのようになされていましたか。具体的な事例ごとに、違反の件数を教えてくだ さい。  [回答]    毒劇物監視業務は、県が実施することになっております。   一般農薬の立入検査については、(1-2)でお答えしたとおりです。 【2】クロルピクリンについて (以下「クロピク」という)   2019年4月の広報おのみちで『農薬を散布するときは 近隣住宅地などへ配慮を』と の指導がされています。これは、クロピク等の農薬被害者からの訴えがあったためと聞 いています、しかし、市内農地では、依然としてクロピクが使用されています。  クロピクの施用により、たとえ、処理土壌を被覆しても、土壌からクロピクが大気や 水系に放散することは避けられません。そこでお尋ねとお願いをします。 なお、クロルピクリンの健康被害について、反農薬東京グループ作成の資料やHPの 記事一覧が、下記URLにアップしてありますので、参考にしてください。   (1) 反農薬東京グループ作成資料(2018/2/14)     <毒ガス兵器そのものが農薬として使用されている。被害は周辺住民に多い>       http://www5e.biglobe.ne.jp/~ladymine/kiji/chlo180214.doc   (2)クロピク関連記事一覧(クロルピクリンをクロピクと表記しました)       http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/indpes9c.htm (2-1)貴市では、クロピク使用者及び使用団体はいくつありますか、また、土壌処理が実 施されている地域はどこで、何月ごろ、どのような作物栽培で、なにを目的に実施され ていますか。  [回答]    市として全体的には把握しておりません。 (2-2)クロピク処理地域の使用者、住民、通勤通学者などの健康調査を実施されたことが ありますか。あれば、調査結果を教えてください。なければ、調査をしてください。  また、現在、クロピク処理で健康被害や苦情の訴えがある事例の内容とその数を教えてください。  [回答]   ・健康調査は実施しておりません。 ・苦情の件数は1件です。内容は、お答えできません。 (2-3)クロピク処理について、貴市は使用者やその圃場に立入検査をされたことがありま すか。その際、不適切な使用事例がありましたか。検査時期ごとに、検査内容と結果、 使用者への指導及びそのフォローについて教えてください。  [回答]    立入検査はしておりません。 (2-4)クロピク使用者から、貴市に土壌処理計画(散布から被覆除去によるガス抜き時期 までを含む)の通報がありますか。なければ、届出るよう指導し、その内容を住民や公共 施設等に周知するとともに、当該処理圃場に、立て看板などで、通行者にもわかるよう 周知させてください。  届出が遅れたり、周知されない場合は、使用をやめさせてください。  [回答]   通報はありません。特に強い刺激臭のあるクロピクの使用については、風向き・強   さに注意し、学校や通学路付近で使用する場合には、子供たちに影響が出ないよう、   天候や時間帯に配慮し、周囲に十分注意を払うよう広報等で周知を行っております。 (2-5)どうしても処理する場合は、処理地域の住民に健康被害をあたえないため、住宅地 や通行道路と処理地との間に、一定距離の汚染防止区域をきめる必要があると思います が、いかがお考えですか。  [回答]   周辺住民に健康被害を与えないための配慮は必要と考えております。 (2-6)クロピク処理中、被覆放置中 被覆をはがしたあとのガス抜き、あるいは、廃容器 や器具の放置などにより、周辺の環境が汚染されますが、処理地域周辺の大気や地下水 汚染状況の調査をされたことがありますか。あれば、調査結果を教えてください。なけ れば、環境汚染調査をしてください。  [回答]    調査はしておりません。 (2-7)クロピク使用者には、健康被害を受けている住民居住地だけでなく、一般の住宅地 や学校その他の公共施設近くでのクロピク使用をやめ、クロピク不使用の栽培方法を検 討すべきと考えますが、貴市はいかがお考えですか。  [回答]    農薬使用の有無については、農家の判断によることから、市としては、農家自身が   判断すべきものと考えております。 【3】通知「住宅地等における農薬使用について」の遵守について  「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」   ( https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_kaisei/attach/pdf/index-17.pdf ) には、下記の条文があり、   第一条(農薬使用者の責務)   第二条(表示事項の遵守)   第六条(住宅地等における農薬の使用)   第八条(被覆を要する農薬の使用)   第九条(帳簿の記載)  農薬使用者が、遵守すべきことが規定されています。また、第六条に基づき、農水省 と環境省の局長連名通知「住宅地等における農薬使用について」(以下、住宅地通知という。  https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tekisei/jutakuti/20130426tuchi.html )が 発出され、都道府県及び市町村に、   ・飛散防止に最大限の配慮を(特に揮発性が高く、強い刺激臭があるクロピクリ ン等を使用する場合は、特に周囲に十分注意を払う。)   ・事前周知を十分に(化学物質に敏感な人が居住していないか確認し、十分に配慮する。)   ・できるだけ使用しない(住宅地周辺ではできるだけ農薬を使用しない管理に取り組む)   などを指導するよう求められています。  さらに。これらを踏まえ、毎年、農水省、環境省、厚労省により「農薬危害防止運動」が実施され、 2019年度の実施要綱( https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tekisei/attach/pdf/index-25.pdf )では、  「土壌くん蒸剤を使用した後の適切な管理の徹底」や「住宅地等で農薬を使用する際 の周辺への配慮の徹底」が重点項目となっています。そこで、お尋ねします。 (3-1)貴市が管理する学校などの公共施設、街路樹、公園の芝や花卉・樹木などの植栽 管理はどのようになっていますか。場所ごとの農薬使用実態調査をしたことがあります か。なければ、調査を実施してください。  また、該当場所ごとに使用された農薬リストがあれば、お示しください。なければ、 場所ごとの使用状況の一覧を作成してください  市の職員が実施する場合と外部業者に委託する場合にわけて、お答えください。  また、当該個所で、病害虫の発生調査の有無、定期的な農薬散布がなされている場合 や除草剤をもちいている場合は、その旨追記してください。  事例として、名古屋市の例を示します。  ( http://www5e.biglobe.ne.jp/~ladymine/kiji/nago_h29soto.pdf )。  [回答]   場所ごとの実態調査はしておりません。 (3-2)貴市が管理している場所で、外部の防除業者に、植栽管理を委託している場合、そ の仕様書には、住宅地通知や、関連する環境省の「公園・街路 樹等病害虫・雑草管理マ ニュアル」の記載事項の遵守が求められていますか。植栽管理業務委託仕様書があれば、 お示しください  [回答]    各施設で個別に対応しております。。 (3-4)住宅地通知では、外部業者の入札の資格要件として「当該業務の実施上の責任者が、 当該地方公共団体が指定する研修を受けていること又は当該地方公共団体が指定する資 格(農薬管理指導士、農薬適正使用アドバイザー、緑の安全管理士、技術士(農業部 門・植物保護)等)を有していることを規定する」との記載があります。  貴市の委託業者は上記の条件を満たしていますか。業者ごとに、認定資格の名称とそ の人数を教えてください。  条件を満たしていない業者に委託している場合、その理由を明記するとともに、当該 業者との契約を破棄すべきだと思いますが、いかがお考えですか。  [回答]   資格要件とはなっておりません。 (3-5)住宅通知においては、自治体が指導すべき対象は、「農薬使用者、農薬使用委託者、 殺虫、殺菌、除草等の病害虫・雑草管理の責任者、農薬の散布を行う土地・施設等の管 理者(市民農園の開設者を含む。)」となっていますが、貴市は、これら農薬使用者等 に対し、どのような方法で、どのような指導をされていますか。公共施設関係者、農業 団体及び農業者、植栽管理業者や防除業者、自治会や一般家庭に、わけて、教えてくだ さい。  [回答]    市としては、公共施設管理委託業者に対して口頭指導を行い、また、農業者及び    農業団体に対しては、チラシや文書での周知により、また一般市民等に対しては、 市の広報誌への掲載や、ポスター掲示等により、農薬の取扱いに対する遵守の徹底 に取り組むよう周知を行っております。 (3-6)住宅地通知に関連する環境庁のリーフレット「農薬飛散による被害の発生を防ぐために」  ( https://www.env.go.jp/water/noyaku/hisan_risk/leaflet1/full.pdf )を市民に 提供していますか 。HPで知らせるだけでなく、農薬使用者(農業団体を含む)、防除業 者(造園・植木業者を含む)、一般市民(地域自治会を含む)など、各人に印刷物を配 布してください。  また、「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」や「同優良事例集」等をHPだ けでなく、関連団体や市民が眼のとどく公共施設等において、ください。  リーフレットには、『学校 保育所 公園 病院 街路樹このような所で、周囲を気 にせず農薬を散布していませんか?』『農薬のスケジュール散布はやめよう』『栽培前 に、病害虫に強い作物や樹木、品種について検討しよう』『連作を避け、適切な土作り や施肥の実施を行おう』『農薬以外の物理的防除を優先して行おう』などの記載があり ます。  [回答] リーフレットについては、講習会等で使用させていただいたこともあります。 今後、公共施設等への掲示等により、より多くの方々にご理解いただけるよう、努 めてまいります。 (3-7)周辺住民等が農薬による体調不良等を相談できる市内の医療機関は、どこか教えてください。 [回答]   農薬の専門病院はありませんが、総合病院等へ相談していただければと考えており   ます。 【4】農薬に関する講習会と化学物質過敏症について    (4-1)広島県では、農薬危害防止運動の一環として、2019年にも、農薬危害防止のための 講習会が実施されていますが、貴市の職員は、当該講習会に参加されていますか。  また、貴市は、市内の農薬使用者や防除業者、その他一般市民に対し、講習会に参加 するよう呼びかけていますか。参加要請は。どこに、どのようにしてなされましたか。 文書があればお示しください。  [回答]   市職員は参加しておりません。呼びかけについては、農薬販売者の全店舗に対し、   また、農薬使用者については市内の農事組合法人に対し、文書により通知しており   ます。   行政文書の提示が必要な場合につきましては、尾道市情報公開制度の「公文書公   開請求」をご活用ください。 (4-2)開催された県の講習会には、貴市職員、市民、農薬使用者、防除業者等は、それぞ れ何名参加されたか人数をお示しください。  [回答] 市としては、把握しておりません。 (4-3)県の講習会開催と同時に、広島県植物防疫協会により、「農薬適正使用アドバイ ザー認定試験」が実施されていますが、いままでにアドバイザー認定を受けた貴市の職 員や農薬使用者、防除業者、市民の数は、どの程度ですか。  [回答]    アドバイザー認定を受けた市職員はおりません。その他につきましては、把握して    おりません。 (4-4)直近に開催された県の講習会で、クロルピクリンの使用について、どのような説 明・指導があったかを教えてください。  また、講習会の内容・説明や配布資料をお示しください。  [回答]   令和元年度農薬取締法担当者研修会において、住宅地通知の中で、「土壌くん蒸剤   の 使用に当たっての安全確保」について、また、「農薬を使用する者が遵守すべき   基準を定める省令」第8条について、説明がありました。  資料につきましては、県にご確認ください。 (4-5)貴市では、2017年から2020年に、独自に、農薬使用に関する講習会を開催されてい ますか。開催されておられましたら、開催時期はいつで、その内容はどういうものであ ったか、教えてください。当該講習会は誰を対象にし、募集はどのようになされました か。参加者数及び会での説明資料や配布資料をお示しください。  [回答]   @ 平成29年度開催    開催日:平成29年9月5日    出席者:8人    対象者:当該地区の耕作者    参集方法:文書で通知    内容:住宅地等周辺の農地での農薬の適正使用について(市職員が説明) 農薬の飛散防止対策について(国が説明)    資料は、市のものにつきましては、「公文書公開請求」をご活用ください。国の     ものについては、国にご確認ください。    A 令和元年度開催     開催日:令和元年10月7日     出席者:24人     対象者:地主・耕作者・地元農業団体等     参集方法:文書で通知     内容:農薬取締法の概要、国通知及び農薬飛散防止、農薬の適正使用について      (県が説明)     資料につきましては、県にご確認ください。 (4-6)県や貴市の講習会では、化学物質過敏症について、医療の専門家からの話がありま したか。なければ、貴市職員や農薬使用者ほかが参加する講習会等で過敏症の専門家の 話を聞くようにしてください。  [回答] ありません (4-7)化学物質過敏症患者はクロルピクリンのみに反応するのではなく、他の日常的に使 用されている殺虫剤や除草剤などからも受動被害を受けます。事前通知の実施は当然の ことですが、できるだけ、農薬を使用しない農業や植栽管理を進めることが大事だと思 いますが、いかがお考えですか。  [回答]    農薬の使用の有無は、農家が判断することと考えております。 (4-8)「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」では、障害のある方への「合 理的配慮」がもとめられています。  化学物質過敏症の場合、たとえ障害者手帳はなくても、行政は、求められたら対応す る義務を負っています。農薬の受動被曝をうけている過敏症患者にも同法を適用するこ とを求めたいと思いますが、貴市はいかがお考えですか。  [回答]   国や県と連携を図りながら、法令順守の徹底に努めてまいります 以上  別添資料として、本要望とお尋ねのもとになる理由書(riyu.txtを添付します。 *** 要望のもとになった理由について (反農薬東京グループ 2020/04/23作成) *** 【理由1】市民からは、以下のような声があります。 ・新尾道駅南口では毎年定期で年2回も薬剤散布をしなければ植栽を維持できないようだが、一方で北口では薬剤を使用しない管理をしている。 ・尾道駅から浄土寺下まで続く市内のメインストリートにも年2回の定期薬剤散布を行っており、環境省の「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」が守られていない。  メインストリートでの病害虫の発生がどの程度で、どのような農薬が使用されたかを教えてほしい。 ・クロピク使用計画や農薬散布の事前通知が、みんなに伝わらない。 ・小中学校内や通学路等で、無通知で、農薬(除草剤含む)が使われており、子供たちを健康被害から守る姿勢がない。 ・農薬中毒の症状に詳しい病院がわからない、市で把握し紹介できる体制をとるべきである。医療関係者にも、農薬の健康被害や化学物質過敏症について、もっと知らせてほしい。 ・2月初旬以降、呼吸器疾患を抱える市民が毎年2月と3月に無通知使用されているクロルピクリンについて、命に関わるのでせめて既に尾道市が連絡先を把握している農家に対して尾道市が電話連絡をし使用日程とガス抜き日程をきいてほしいと連絡したが、返事がない。 【理由2】農薬取締法と農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令 、2018年の農薬取締法改定を踏まえ、下記のような条文で、農薬使用者への地方自治体による情報提供や指導監督が強化されています。  <参照>反農薬東京グループのHPの記事n01405   http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/n01405.htm#kyoka  1)農薬取締法    昨年6月の国会で改定法を議決する際。衆議院及び参議院で付帯決議がなされ、   以下のような記述がある。   衆議院『六 安全な農産物の生産及び農薬使用者の安全を確保し、農薬による事故  を防止するために、登録に係る適用病害虫の範囲及び使用方法、 貯蔵上又は使用上の  注意事項等を農薬使用者にわかりやすい手法で表示及び情報提供が行われるよう措置  し、農薬の安全かつ適正な使用及び保管管理の徹底を図ること。また、農薬使用の際  に、農薬使用者及び農薬散布地の近隣住民に被害が出ないようにするため、 農林水産  大臣及び都道府県知事は農薬使用者に対して十分な指導及び助言を行うこと。』   参議院『八 安全な農産物の生産及び農薬使用者の安全を確保し、農薬による事故  を防止するために、登録に係る適用病害虫の範囲及び使用方法、貯蔵上又は使用上の  注意事項等を農薬使用者にわかりやすい手法で表示及び情報提供が行われるよう措置  し、農薬の安全かつ適正な使用及び保管管理の徹底を図ること。また、農薬使用の際  に、農薬使用者及び農薬散布地の近隣住民に被害が出ないようにするため、農林水産  大臣及び都道府県知事は防除業者を含む農薬使用者に対して十分な指導及び助言  を行うこと』  *第二十七条(農薬の使用に関する理解等)   この条文は、旧法第十二条の三(農薬の使用の指導)の改定で、【】が変更個所  農薬使用者は、農薬の使用に当たっては、【農薬の安全かつ適正な使用に関する知識  と理解を深めるように努めるとともに、】農業改良助長法(昭和二十三年法律第百六十  五号)第八条第一項に規定する普及指導員若しくは植物防疫法(昭和二十五年法律  第百五十一号) 第三十三条第一項に規定する病害虫防除員又はこれらに準ずるもの  として都道府県知事が 指定する者の指導を受けるように努めるものとする。  *第二十八条(農林水産大臣、【環境大臣】及び都道府県知事の援助)   この条文は、旧法第十二条の四(農林水産大臣及び都道府県知事の援助)の改定で、   【】が変更個所   農林水産大臣、【環境大臣】及び都道府県知事は、農薬について、その使用に伴うと  認められる人畜、農作物等若しくは【生活環境動植物の被害】、水質の汚濁又は土壌の  汚染を防止するため必要な知識の普及、その生産、使用等に関する情報の提供その他  その安全かつ適正な使用【及びその安全性その他の品質の確保】に関する  助言、指導その他の援助を行うように努めるものとする。  2)遵守省令:省令条文   人畜に関する部分のみを下記にあげた。これにより、従来の省令よりも厳しい   対応を指導できる。  *第一条(農薬使用者の責務)    二 人畜に危険を及ぼさないようにすること。→ その後     『人畜に被害が生じないようにすること』と改定された。    五 水産動植物の被害が発生し、かつ、その被害が著しいものとならないように     すること。 にある「水産動植物」を、『生活環境動植物』」とその後変更された。  *第二条(表示事項の遵守)いままでは、食用作物のみが対象となっていたが、   下記の2が追加され、非食用作物でも、ラベルの使用基準の遵守が記載された、   ただし、罰則なしの努力規定   2 農薬使用者は、農薬取締法第十六条第四号、第九号及び第十一号に掲げる事項に  従って農薬を安全かつ適正に使用するよう努めなければならない。 法第十六条(製造者及び輸入者のの表示)      四 登録に係る適用病害虫の範囲及び使用方法       九 農薬の貯蔵上又は使用上の注意事項(第六号に掲げる事項を除く。)      十一 最終有効年月            六 人畜に有毒な農薬については、その旨、使用に際して講ずべき被害防止        方法に、従うことが その後に追加なされた。  *第六条(住宅地等における農薬の使用)で『住宅の用に供する土地及びこれらに   近接する土地』とあった個所が、『住宅、学校、保育所、病院、公園その他の   人が居住し、滞在し、又は頻繁に訪れる施設の敷地及びこれらに近接する土地』   となった。  *第九条(帳簿の記載) →  旧省令のママで、努力規定  注:わたしたちは、パブコメ意見として、下記のような努力規定を義務規定とすることを    求めたが、実現していない。     『第五条(ゴルフ場における農薬の使用)の第二項、第六条(住宅地等におけ    る農薬の使用)、第七条(水田における農薬の使用)、第八条(被覆を要する農    薬の使用)、第九条(帳簿の記載)にある努力規定は、遵守すべき義務規定と    して、違反すれば、農薬取締法の罰則を科するべきである』 【理由3】農水省・環境省局長通知「住宅地等における農薬使用について」   http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tekisei/jutakuti/20130426tuchi.html  添付の別紙で以下のように2つに区分された遵守事項があります。  1)公園、街路樹等における病害虫防除に当たっての遵守事項 (1)植栽の実施及び更新の際には、植栽の設置目的等を踏まえ、当該地域の自然条件に適応し、農薬による防除を必要とする病害虫が発生しにくい植物及び品種を選定するよう努めるとともに、多様な植栽による環境の多様性確保に努めること。 (2)病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することをやめ、日常的な観測によって病害虫被害 や雑草の発生を早期に発見し、被害を受けた部分のせん定や捕殺、機械除草等の物理的防除により対応するよう最大限努めること。 (3)病害虫の発生による植栽への影響や人への被害を防止するためやむを得ず農薬を使用する場合(森林病害虫等防除法(昭和25年法律第53号)に基づき周辺の被害状況から見て松くい虫等の防除のための予防散布を行わざるを得ない場合を含む。)は、誘殺、塗布、樹幹注入等散布以外の方法を活用するとともに、やむを得ず散布する場合であっても、最小限の部位及び区域における農薬散布にとどめること。また、可能な限り、微生物農薬など人の健康への悪影響が小さいと考えられる農薬の使用の選択に努めること。 −中略− (7)農薬の散布に当たっては、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、 使用農薬の種類及び農薬使用者等の連絡先を十分な時間的余裕をもって幅広く周知す ること。その際、過去の相談等により、近辺に化学物質に敏感な人が居住しているこ とを把握している場合には、十分配慮すること。また、農薬散布区域の近隣に学校、 通学路等がある場合には、万が一にも子どもが農薬を浴びることのないよう散布の時 間帯に最大限配慮するとともに、当該学校や子どもの保護者等への周知を図ること。 さらに、立て看板の表示、立入制限範囲の設定等により、散布時や散布直後に、農薬 使用者以外の者が散布区域内に立ち入らないよう措置すること。 (8)農薬を使用した年月日、場所及び対象植物、使用した農薬の種類又は名称並びに使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍数を記録し、一定期間保管すること。病害虫防除を他者に委託している場合にあっては、当該記録の写しを農薬使用委託者が保管すること。 (9)農薬の散布後に、周辺住民等から体調不良等の相談があった場合には、農薬中毒の症状に詳しい病院又は公益財団法人日本中毒情報センターの相談窓口等を紹介すること。  2) 住宅地周辺の農地における病害虫防除に当たっての遵守事項 (1)病害虫に強い作物や品種の栽培、病害虫の発生しにくい適切な土づくりや施肥の実施、人手による害虫の捕殺、防虫網の設置、機械除草等の物理的防除の活用等により、農薬使用の回数及び量を削減すること。 −中略− (5)農薬の散布に当たっては、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類及び農薬使用者等の連絡先を十分な時間的余裕をもって幅広く周知すること。その際、過去の相談等により、近辺に化学物質に敏感な人が居住していることを把握している場合には、十分配慮すること。また、農薬散布区域の近隣に学校、通学路等がある場合には、万が一にも子どもが農薬を浴びることのないよう散布の時間帯に最大限配慮するとともに、当該学校や子どもの保護者等への周知を図ること。 (6)農薬を使用した年月日、場所及び対象農作物、使用した農薬の種類又は名称並びに使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍数を記録し、一定期間保管すること。 (7)農薬の散布後に、周辺住民等から体調不良等の相談があった場合には、農薬中毒の症状に詳しい病院又は公益財団法人日本中毒情報センターの相談窓口等を紹介すること。 【理由4】農水省、環境省、厚労省の3局長連名通知「2019年度農薬危害防止運動の実施について」   https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tekisei/attach/pdf/index-25.pdf  前文に、@土壌くん蒸剤施用後の作業管理が十分でなかった事例、A周辺環境への配 慮が十分でなかった事例、B住宅地周辺や学校等公共施設での農薬使用に際しての周辺 住民や施設利用者への周知や配慮の不徹底等であった事例などが挙げられ、さらに別紙 :実施要綱では、『学校、保育所、病院、公園等の公共施設内の植物、街路樹並びに住 宅地に近接する農地(市民農園や家庭菜園を含む。)及び森林等において農薬を使用す るときは、農薬の飛散を原因とする住民、子供等の健康被害が生じないよう、飛散防止 対策の一層の徹底を図ることが必要である』とあります。さらに、  1)第5 運動のテーマ及び重点指導項目 では、  (1)土壌くん蒸剤を使用した後の適切な管理の徹底(第6の2の(1)のウ)    https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tekisei/attach/pdf/index-25.pdf#page=6  『ウ 土壌くん蒸剤の使用に当たっての安全確保の徹底   土壌くん蒸剤を使用する場合 は、農薬の容器に表示された使用上の注意事項等に   従い、防護マスク等の防護装備の着用、施用直後に適正な材質、厚さの資材を用い   て被覆を完全に行う等の安全確保を徹底すること。また、使用場所、周辺の状況に   十分配慮して防除を行うよう指導を徹底すること。』  (2)住宅地等で農薬を使用する際の周辺への配慮の徹底(第6の2の(1)のエ)    https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tekisei/attach/pdf/index-25.pdf#page=7  『エ 住宅地等における農薬使用に当たっての必要な措置の徹底   ほ場のみならず、学校、保育所、病 院、公園、保健所等の公共施設内の植物、   街路樹及び住宅地に近接する場所において農薬を使用する農薬使用者等に対し、   農薬の飛散が周辺住民や子供等に健康被害を及ぼすことがないよう、以下に掲げる   事項を始めとする対策が示されている「住宅地等における農薬使用について」    (平成 25 年4月 26 日付け 25 消安第 175 号・環水大土発第 1304261 号     農林水産省消費・安全局長、環境省水・大気環境局長通知)   を周知し、その事項の遵守を徹底すること。   @農業生産場面    住宅地等の周辺ほ場(市民農園や家庭 菜園を含む。)において農薬を散布する場    合は、 農薬の飛散を防止するための必要な措置を講じるとともに、事前に農薬を    散布する日時、使用農薬の種類等を記した書面、看板等により周辺住民への周知    を行うこと。   A公園、街路樹等一般場面    学校、保育所、病院、公園、保健所等の公共施設内の植物、街路樹及び住宅地に    近接する 森林等、人が居住し、滞在し、又は頻繁に訪れる土地又は施 設の植栽    における病害虫防除等に当たっては、「公園・街路 樹等病害虫・雑草管理マニュアル」     http://www.env.go.jp/water/dojo/noyaku/hisan_risk/manual1_kanri.html)    も参考としつつ、病害虫の発生や被害 の有無にかかわらず定期的に農薬を散布     することをやめ、日 常的な観測によって病害虫被害や雑草の発生を早期に発見し、    被害を受けた部分のせん定や捕殺、機械除草等の物理的防 除により対応するよう    最大限努めること。やむを得ず農薬を使用する場合にも、誘殺、塗布、樹幹注入    等散布以外の方法を 十分に検討し、散布する場合でも最小限の部位及び区域に    とどめ、飛散防止対策をとる等、農薬の選択及び使用方法を十 分に検討し、    事前に農薬使用の目的、農薬を散布する日時、使用農薬の種類及び農薬使用者    等の連絡先等を記した書面、看板等により周辺住民、施設利用者等への周知を    行うこと。 また、立入制限範囲の設定等により、農薬散布時や散布直後に    農薬使用者以外の者が散布区域内に立ち入らないよう措置を講じること。    平成 29 年度には、公立小学校において児童が授業を受けている時間帯に敷地内    樹木の害虫駆除を目的として農薬が散布され、それにより体調不良を訴えた児童    が病院に搬送される事案が発生した。このような被害を防ぐために、特に、学校    では、万が一にも子供が農薬 を浴びることがないよう、学校の施設管理者及び    作業を受託 する防除業者等に対し、児童・生徒が在学し授業を受けている    日時間帯には農薬散布を実施しないなど、散布日・時間帯に最大限配慮するよう    指導すること。     さらに、農薬使用者等だけでなく、国 及び地方公共団体の施設管理部局、    集合住宅の管理業者等、施設内や住宅地周辺の植栽管理のために病害虫防除を    委託する可能性がある者に対し講習会等への積極的な参加を促すなどして、    本通知に記載されている指導内容の周知を徹底すること。−以下略−』  2)別記1にある「農薬による事故の主な原因等及びその防止のための注意事項」に は、人に対する事故防止について、下記のような対策がしめされている。  『(1)農薬散布前   ウ 農薬を散布するときは、散布前に周辺住民等の関係者に連絡し、必要に応じ    立札を立て注意喚起を行うなど、子供や散布に関係のない者が作業現場に    近づかないよう配慮する。   エ 農薬散布区域の近隣に学校、通学路等がある場合には、当該学校や子供の    保護者等への周知を図り、散布の時間帯に最大限配慮する。  (2)農薬散布中   オ クロルピクリン剤等土壌くん蒸剤の使用に当たっては、揮散した薬剤が周辺に 影響を与えないよう風向き等に十分注意するとともに、直ちに適正な材質、厚さ    の資材を用いて被覆を完全に行う。  (3)農薬散布後   ア 公園、校庭等に農薬を散布した後は、少なくとも当日は散布区域に縄囲いや 立札を立てる等により、関係者以外の者の立入りを防ぐ。   イ 土壌くん蒸中は、適正な厚さの資材による被覆状態を維持するとともに、 ほ場に立て札を立てる等により、関係者以外の者の立入りを防ぐ。』 【理由5】広島県の条例「 広島県の事務を市町が処理する特例を定める条例」   http://www10.e-reikinet.jp/opensearch/SrJbF01/init?jctcd=8A8B97723A&houcd=H411901010034  第二条の表(四の二)にある農薬取締法関連の事務8項目は、尾道市にも適用されています。  (あ) 法第十七条第一項の規定による販売者の届出及び販売者に係る届出事項の変更 の届出の受付  (い) 法第二十九条第一項の規定による販売者若しくは法第四十三条の規定により知 事が行う農薬取締りに係る法第二十九条第一項の規定による農薬使用者に対する販売若  しくは使用の報告の徴収又は必要な数量の農薬の集取若しくは必要な場所の立入検査  (う) 法第二十九条第二項の規定による販売者に係る報告又は検査の結果の農林水産 大臣又は環境大臣への報告  (え) 法第二十九条第三項の規定による販売者若しくは水質汚濁性農薬使用者又は法 第四十三条の規定により知事が行う農薬取締りに係る法第二十九条第三項の規定による  農薬使用者に対する販売若しくは使用の報告の徴収又は必要な数量の農薬の集取若し  くは必要な場所の立入検査  (お) 法第四十三条の規定により知事が行う農薬取締に係る法第三十一条第二項の規 定による表示が不適切な場合等の農薬の販売の制限又は禁止  (か) 法第三十一条第四項の規定による農薬の販売の制限又は禁止  (き) 政令第四条第五項の規定による農薬使用者に係る報告又は集取若しくは検査の 結果の農林水産大臣又は環境大臣への報告  (く) 政令第四条第六項の規定による販売の制限又は禁止を行った旨の農林水産大臣 への報告 以上