Subject: 沖縄県における公園や道路での除草剤等の使用について -------- 2018年11月19日 沖縄県知事 玉城デニー 様  沖縄県 営農支援課、道路管理課 御中  私たちは、農薬をはじめとする化学物質による環境汚染・健康被害を出来るだけ減ら  そうと運動している市民団体「反農薬東京グループ」です(下記ホームページ参照)。  いままで、公園や学校、公共施設、道路、鉄道などでの農薬等の散布について、農水 省の「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」(以下、遵守省令という)や農 水・環境両省通知「住宅地等における農薬散布について」(以下、住宅地通知という) 等の記載事項を守るよう運動してきました。  先月来の報道によりますと、貴県浦添市や豊見城市で公園等の公共施設で、除草剤等 の農薬を、事前通知なしで、散布していたことが判明し、問題となっています。  そこで、以下のお尋ねをしますので、11月30日までに、下記にご回答お願いします。  なお、当メールは、環境関係の担当部署にも転送してください。      =================================================       ★★★反農薬東京グループ★★★      ================================================== ***お尋ねとお願い [回答]は11月30日付け 【1】農薬危害防止運動と「住宅地通知」について  毎年、農水省、環境省、厚労省は、農薬危害防止運動をおこない、実施要綱を都道府 県や業界等にあて発信しています。  わたしたちも、危害防止運動やその要綱にある住宅地通知について、都道府県あてに 実施状況などの問い合わせをおこなっていますが、2015年に実施したアンケート調査で は、貴県からは回答をいただけませんでした。、  <参考>   t28601#都道府県への農薬危害防止運動アンケート結果〜実施要綱の実践が重要#15-06    http://www5e.biglobe.ne.jp/~ladymine/kiji/t28601.htm  そこで、本年の危害防止運動について、あらためてお尋ねします。 (1) 貴県では、本年の農水省らの農薬危害防止運動についての通知、実施要綱を、いつ、 どの部署で受け取られましたか。  [回答]沖縄県農林水産部営農支援課において、平成30年4月27日に収受しております。 (2)貴県は独自の実施要綱を作成されましたか。されておれば、文書をお示しください。  [回答]国の農薬危害防止運動実施要綱を基に平成30年度沖縄県農薬危害防止運動実施 要綱を策定しております。(別添1−掲載略) (3)その中で、住宅地通知の遵守については、どのような文案でしたか。  [回答]国の実施要綱と同様の文面となっています。別添1を参照ください。 (4)貴県が受け取られた当該通知や実施要綱又は県実施要綱を、県内のどこに、いつ伝え ましたか。各自治体や関連団体ごとに、一覧表で教えてください。  [回答]平成30年5月28日付け文書により、市町村、農業協同組合関連、農薬販売業者、 マスコミ等、および県関係機関に周知しております。(別添2−掲載略) (5)国の実施要綱には、2-エ-まる番号2に公園、街路樹等一般場面で実施すべき内容が 挙げられ、住宅地通知を守り、環境省マニュアルを参考とするようとの記載があります。  また、住宅地通知には、周辺住民への事前周知、散布後も立入らないよう措置をとる などの記載があります。  貴県内の学校、保育所、病院、公園等の公共施設等の長や指定管理者を対象に、これ ら記載項目が、自治体レベルで遵守されているかどうかを調査されていますか。  [回答]ご質問の内容の調査は実施しておりません。 (6)住宅地通知には、『地方公共団体の施設管理部局の担当者が、本通知の周知・徹底を 目的とした研修に定期的に参加する。』とあります。  貴県では、農薬の危被害防止のため。農薬適正使用講習会や農薬管理指導士養成研 修会を開催していますが、講習会へ参加者は年間何人くらいいますか。また、管理指導 士の資格を有する者は何人いますか。本年の要請研修会に出席した者は何人いますか  [回答]農薬危害防止講習会への参加は例年約130名で本年度は125名でした。現在の 農 薬管理指導士の認定は907名となっています。 本年度の農薬管理指導士養成研修会に出席した者は33名となっております。 (7)住宅地通知では、病害虫防除を業者に委託する場合、入札の資格要件として、『当該 業務の実施上の責任者が、当該地方公共団体が指定する研修を受けていること又は当該 地方公共団体が指定する資格(農薬管理指導士、農薬適正使用アドバイザー、緑の安全 管理士、技術士(農業部門・植物保護)等)を有していることを規定する。』とありま す。  貴県及び県内の自治体の指定管理者及び農薬使用者の中に、貴県の講習や研修を受け た人、農薬管理指導士の資格を有する人は、何人いますか。  [回答]沖縄県では各自治体の指定管理者および農薬使用者の内何名が農薬管理指導士 の認定を受けているか把握しておりません。 【2】除草剤使用について  いわゆる除草剤は、同じ組成の製剤であっても、  (a)農薬取締法で登録されたもので、植栽管理(食用農作物だけでなく、樹木、芝、花 卉など非食用植物も対象となる)に使用できる製品  (b)栽培している植物がない、空き地、駐車場、道路、鉄道、運動場その他(以下、非 植栽地という)で、草やかん木が繁茂する場所に使用する製品がありますが、    (b)は、農薬取締法では、製剤容器に、植物栽培に利用出来ない旨を表示する。販売個所には登録農薬と区分けして配置し、植物栽培に利用出来ない旨を表示することになっています。  (1)貴県では、製剤容器や販売店が違反のないことを立入検査で確認されていますか。   直近の 年間検査数と違反数を教えてください、。  [回答]上記については立入検査で確認を行っています。    平成29年度は102件調査を行い、(b)の除草剤の陳列について、2件の違反があり、 指導を行っています。  (2)製品(b)を所持する使用者が、登録農薬と区別して保管し、かつ、植栽管理に使用 しないよう、どのような注意喚起をしていますか。  [回答]各種講習会において、事例を紹介しながら適正な保管および使用方法について 周知しております。  (3)豊見城市の公園で、使用された除草剤に「スーバーグリホ」(農薬登録なし)があっ たと報道されていますが、これは、事実ですか。   また、貴県では、製品(b)がどの程度販売されていますか。  [回答]実際に使用されております。また、販売量等については把握しておりません。  (4)登録農薬を道路や鉄道線路の除草に使用したケースで、周辺の水田や畑に飛散し、 農作物に被害を与えた事例がありました。   貴県において、除草剤の周辺の農耕地や住宅地への飛散による作物やヒト、一般環 境・環境生物等への被害があれば、製品(b)の使用も含め、教えてください。  また、飛散被害防止のため、どのような対策をとっていますか。  [回答]平成29年度に道路管理に使用した除草剤が道路より低い水田に影響を与えたこ とがあります。道路管理については「除草剤安全使用マニュアル」や「沿道景観向 上技術ガイドライン」を作成・周知し、危害防止に努めているところです。 また、農薬危害防止 講習会等では事例を紹介し、同様の事故が起こらないように 注意喚起を行っています。  <参考>  ★沖縄県造園建設業協会のHP http://okizokyo.org/  にある   ガイドライン :http://okizokyo.org/images/okizoukyou/20171213-2half.pdf   除草剤マニュアル: http://okizokyo.org/images/okizoukyou/20171213-1.pdf  ★農水省等の通知 非農耕地専用と称する除草剤の販売等について    http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_press/pdf/20030228.pdf  (注)「農作物等」とは栽培の目的や肥培管理の程度の如何を問わず、人が栽培して   いる植物を総称するものである。その植物の全部又は一部を収穫して利用する目   的で栽培している稲、麦、かんしょ、ばれいしょ、豆類、果樹やそ菜類はもちろ   ん、観賞用の目的で栽培している庭園樹、盆栽、花卉、街路樹やゴルフ場の芝の   ほか、山林樹木も含まれる。 ★当グループ機関誌のHP提供記事より   ・青森県の事例   t19204#青森県つがる市で、道路除草剤ラウンドアップによる農作物被害#07-08   http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/t19204.htm   ・線路除草剤による事例   t25401#線路用地にまくのは、農薬取締法対象外〜滋賀県 近江鉄道沿線で、除草 剤による農作物被害#12-10   http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/t25401.htm  (5)貴県の「沿道景観向上技術ガイドライン」の第8章 除草剤使用について及び別冊 の「除草剤安全使用マニュアル」には、農薬登録のある除草剤についての記述がありま すが、製品(b)には触れられていません。沿道景観向上のため、製品(b)の使用を是とさ れますか。  [回答]是としません。  (6)私たちは、製品(b)でも。登録農薬と同じく、遵守省令や住宅地通知に準拠して、 その内容(代替方法、事前周知や立入注意ほか)を遵守すべきと思います。貴県はどうお 考えですか。  [回答]当県でも登録農薬と同様に使用にあたって各種省令や、通知に準拠すべきと 考えております。 【3】今後について  散布された除草剤ラウンドアップの成分であるグリホサートは、IARCが発がん性 ランクを2A(ヒトに対して恐らく発がん性が有る)としています。アメリカでは、ラウン ドアップでガンになった人が訴訟をおこし、賠償命令の判決がでています。  これと同類の農薬や除草剤、他の登録農薬類の不特定多数の人が立ち入る公園や公共 施設等での使用はやめるべきと考えます。住宅地通知にあるように、出来るだけ、農薬 にたよらない方法で、植栽管理をしてください。 以上