「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直し案について」に対する意見 ***************************************************************************** 募集期間 2020/04/20-05/04  受付番号   202005040000988130/202005040000988131? 2020年5月4日 環境省水・大気環境局水環境課環境基準係 御中 【意見1】わたしたちは、2020/02/23〜03/08に、厚労省が実施したパブコメ「水道水 の水質管理目標設定項目の改正案」で、PFOS及びPFOAについて、下記の意見を だしている。ここに再掲しておく。なお、50ng/Lは4/01より適用されているが、水質汚 濁に係る人の健康の保護に関する環境基準を50ng/Lより、もっと低値にすることが望ま れる。   ***厚労省の水質管理目標設定項のパブコメ意見***    PFOS及びPFOAは、「水質管理目標設定項目」として、新たに追加され、  目標値は、両者の和として、0.00005mg/L=0.05μg/L =50ng/L以下(暫定)」と  されたが 規制は遅すぎる。  本来、環境中に検出されてはならない、このような有害かつ難分解性の化学物質は、  使わなければ、環境汚染が減り、水道水にも混入してこない。  水道原水や浄水の分析法を定め、検査数を増やして、汚染実態を詳細に調査して、   「水質管理目標設定項目」の目標値を定めることが望まれる。  [理由]   1、水道水質に関しては、PFOS及びPFOAが要検討項目に位置付けたのは    2009年4月である。その後、2013-2018年に、年間88-165地点で、原水及び    浄水の分析(定量限界値は0.07〜10ng/L)が行われた。     年度ごとのNDを超えた地点の比率と最大検出値を下表−省略−にまとめたが、    定量限界=NDに幅がある、採水時期が不明など、科学的に不正確なデータであり、    絶対的な比率や検出値の比較はできないまま、目標値の設定がなされた   2、国際的なPOPs条約では、PFOS及びその塩は2009年5月に、製造、使用、輸出入を    制限すべき物質 として、追加掲載された。   3.日本の化審法では、PFOS 又はその塩が第一種特定化学物質とされ、2010年4月    から施行で、 製造・輸入が禁止された。PFOAもまもなく、同様の措置がとられる    ことになっているが、まだ、施行されていない。    4.TDIは、カニクイ猿の甲状腺ホルモンレベルの低下を基に、NOAEL0.03mg/kg    体重/日としたが、不確実係数は、国によって異なり、アメリカのEPAで390、    EUのEFSAで200であり、それぞれ、TDIは0.08、0.15μg/kg体重/日である。   5、オランダでは、PFOS の魚介類の摂食を考慮した環境基準値は、0.00065μg/Lで    ある。日本でも魚介類での生物濃縮を考慮した環境調査を行い、環境基準の設定    が必要である。   6、PFOAについては、2019年開催のPOPs条約の第9回締約国会議で。附属書    A(製造・使用、輸出入の原則禁止)への追加が決定され。日本でも、条約に従って、    早急な化審法による規制が望まれている。    以上、 【意見2】第5次報告案に、日本における検出状況についての記述として、以下を追加する。  (2-1)日本での用途の推移について、製造及び使用メーカーの対応用途ごとに記載する。  (2-2)日本にあるアメリカ軍基地における消火システムでPFOSやPFASが使用   されており、基地からの漏洩で、周辺地の環境汚染が見出されているが、その実態を   まず、解明すべきであるとして、事例を記載する。   (事例1)東京都多摩地区の府中武蔵台浄水所、東恋ケ窪浄水所の出口の水質検査で、     PFOS、PFOAが検出され、近隣のアメリカ軍横田基地からの地下水汚染     がうたがわれている       https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/topic/20191115-03.html    (事例2)沖縄県宜野湾市のアメリカ軍嘉手納基地からのPFOSら漏洩実態が報告     されている。報道では、約22万7100L、基地外に流れた量が約14万3830Lとある。    ・沖縄県:令和元年度有機フッ素化合物環境中実態調査の夏季結果報告について             https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/kankyo/hozen/mizu_tsuchi/water/pfos-pfoa-r01-summer-result.html         普天間飛行場周辺:https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/kankyo/hozen/mizu_tsuchi/water/documents/r01s_pfos_pfoa_pfhxs_result_table_futenma.pdf          ほかに、比謝川周辺、天願川周辺 あり    ・宜野湾市議会:2020年4月17日 「普天間飛行場からPFOSを含む泡消火剤が漏出した事故に対する抗議決議」       http://www.city.ginowan.okinawa.jp/cms/sisei/parliament/04/ketugibun.pdf    ・環境省:2020年4月21日 「日本政府及び地元自治体関係者による普天間飛行場     への環境補足協定に基づく立入りについて」       http://www.env.go.jp/press/108003.html  (2-3)自衛隊でのPFOS系消火剤のについて    ・2018年4月に御殿場市の東富士演習場で実施した消火訓練で、PFOS系消化剤を     使用したとの報道があり、この時、使用土壌の汚染除去が実施され無かった疑いがある。    ・2020年2月6日、防衛省は、「防衛省におけるPFOS処理実行計画について(通達)」    を発出し、39万4千リットルのPFOS含有消火薬剤等を保有ているとある。       https://www.mod.go.jp/j/approach/chouwa/kankyo_taisaku/pdf/pfos.pdf 【意見3】ドイツの研究論文「健康な101人の1歳児のパーフルオロアルキル物質(PFASs) への内部暴露と生物学的指標:パーフルオロオクタン酸(PFOA)の濃度とワクチン反応の 関連性」で、血漿のPFOA濃度とある種のワクチン抗体濃度の間の負の関連が立証された、 と報告されており、免疫系へのPFOSらの影響に注意を払うべきである。    https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s00204-020-02715-4.pdf  以上