線路除草剤による農作物の被害について                  2018年10月11日  九州旅客鉄道株式会社社長 青柳俊彦 様           広報部 御中  私たち「反農薬東京グループ」は農薬をはじめとする化学物質による環境汚染・健康 被害をできるだけ減らそうと運動している市民団体です。(活動内容についてはホーム ページを参照してください)。  九州地方では、地震や台風、豪雨などの自然災害が多く、貴社の鉄道路線の安全確保 や被害の復旧へのご努力に感謝しております。  ところで、今夏、福岡県内の貴社営業路線で、散布した線路除草剤が周辺に飛散し、 大豆圃場や水稲栽培に影響がでたことが、報じられました。  同県では、6月から8月にかけて、農薬安全使用運動が実施されており、同実施要領に 『 散布時における近隣作物や住宅地等周辺への飛散防止の徹底』を掲げて、指導をされ ていることからも、貴社の責任は重いと思います。同類事故の再発防止のため、事故の 経緯を明確にしておくことが重要と考え、以下のお尋ねと要望をしますので、10月22日 までに、下記へご回答ください。 なお、貴社のお問合せ、ご要望等のフォームは、500文字の字数制限があるため、 広報部のアドレスに送付します。本メールを担当部署に転送ください。     =================================================       ★★★反農薬東京グループ★★★ URL http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/      ================================================== ****お尋ねと要望 【1】線路除草について  わたしたちは、2012年10月に、JR各社など鉄道会社に「駅等における無農薬植栽管 理及び線路除草について」お尋ねしたことがありますが、貴社からは、具体的な使用状 況について、お返事がいただけませんでした。そこで、線路除草について、あらためて、 以下のお尋ねをします。  (1-1)貴社は、九州内の路線での線路除草をどのような方法で実施しておられますか。  (1-2)そのなかで、除草剤を散布する路線は、どこで、全路線での比率はどの程度で すか。総営業キロ数及び除草剤散布線路のキロ数をお示しください。  (1-3)使用する除草剤の種類とそれぞれの年間使用量を教えてください。    2013-2018年の6年間の使用実績でお願いします。    農薬登録のある除草剤については、成分と登録番号ごとに、    登録のない除草剤については、成分と商品名ごとに一覧表で示して    くだされば、幸いです。  (1-4)除草剤を散布される場合は、除草剤は単製剤ですが、複数製剤の混合ですか。  (1-5)除草剤は地上散布と思いますが、どのようにして散布されますか。   (a)散布は貴社社員で実施されていますか。散布業者に依頼する場合はどの程度あり ますか。   (b)散布する場合、農薬使用履歴を記帳されていますか。   (c)散布地周辺の農家や一般居住者、通行者や生活者などへの散布周知はどのように されていますか。   (d)人力による線路上からの散布の実施は、どの程度ありますか。   (e)散布専用車両による線路上からの散布はどの程度ありますか。     この場合、車両タンクの容量は何リットルですか。   (f)踏切や沿線道路から作業車による散布の実施はどの程度ありますか。     この場合、作業車は何トンですか。   (g)夜間に散布されることはありますか。されるとすれば、どの程度の頻度ですか。   (h)降雨時、強風時の散布はどのようにされていますか。  (1-6)周辺への飛散防止のため、とのような対策をとられていますか。  (1-7)散布地域周辺の水田や畑、その他栽培植物に除草剤が浮遊・飛散し、薬害を生 ずることは充分予測されますが、除草剤散布にあたり、周辺農家等にどのような周知を されていますか。配布文書があればお示しください。  (1-8)散布地域周辺の民家や道路へも、除草剤が浮遊・飛散し、人の健康に影響を与 える恐れがあり、農水省・環境省は通知「住宅地等における農薬散布について」で、で きるだけ農薬を散布しないよう、万一散布する場合は、周辺に周知するよう指導してい ます。貴社は。散布地域周辺の住民や通行人・通行車輌にどのような周知と立入規制を されていますか。配布文書があればお示しください。  (1-9)いままで、線路除草剤散布による、農作物被害や周辺住民からのクレームやヒ トや環境・生体系への影響の報告がありましたか。あれば、教えてください。   年月と場所、被害状況を一覧でお願いします。 【2】今夏の線路除草剤散布による農作物等の被害について  (2-1)本年の線路除草剤散布で、福岡県において、農作物被害が発生したのは、いつ頃で、 現在にいたるまで、何件の報告がありましたか。  その経緯を除草剤散布月日と時刻、散布実施者、散布時の気象条件、被害連絡を受け た月日、被害場所(最寄駅名と路線距離、地名)、被害内容(作物名、被害状況、被害 面積などの被害規模)の一覧で教えてください。  (2-2)被害発生した線路周辺地域を地図でお示しください。また、被害があった路線 の総キロ数、及び被害発生した個所の総キロ数はとの程度でしたか。  (2-3)被害発生個所ごとに、散布された除草剤について、製剤別に、希釈倍率、散布 濃度、散布量、散布液量、散布方法はどのようなものか教えてください。  (2-4)散布に際し、農薬の使用方法や散布量は、ラベル記載どおりでしたか。  (2-5)散布には、どのようなノズル製品を使用されましたか。  (2-6)除草剤被害を受けた農作物中の残留値が判明している場合、  作物の種類/採取月日/採取場所/検体数/分析対象農薬/検出数/検出範囲/検出 限界を一覧でお示しください。  (2-7)除草剤散布地域やその周辺の土壌・水など環境が判明している場合、試料の 種類/採取月日/採取場所/検体数/分析対象農薬/検出数/検出範囲/検出限界を一 覧でお示しください。  (2-8)前年までの除草剤散布で、今回のような被害報道はありませんでしたか。今年 の散布で、前年と異なる点を列挙してください。  (2-9)貴社は今年発生した除草剤事故原因について、どのようにお考えですか。  以下のようなケースについて教えてください。また、その他に原因として検討されて いる点がありましたらお聞かせください。   (a)葉に付着することにより植物枯死したか。   (b)散布後の降雨により、水田に成分が流人し枯死にいたったか。   (c)濃度等の調合や散布量に誤りがあったか。   (d)散布圧が高すぎたり、飛散防止用のノズルを使用しなかったか。   (e)その他の原因があれば、追加ください。  (2-10)貴社は農作物被害を受けた農家や農協にたいしてどのような場合に補償を考 えておられますか。    非対象農作物、エコ農作物、有機農作物に飛散した場合の保証はどうされますか。  (2-11)福岡県以外での農作物被害はあれば、教えてくだざい。 【3】農薬安全使用と危害防止運動と再発防止について  線路除草剤散布による農作物被害については、平成16年9月13日、国土交通省鉄道局 から「鉄道施設内における除草剤散布による被害防止の徹底について」(国鉄施第59 号)の通知発出があり、「農薬危害防止運動の実施について」や「住宅地等における農薬 使用について」の通知を守ることも求められています。  また、本年についても、農水省・環境省・厚労省から、4月25日にプレスリリース 「平成30年度 農薬危害防止運動」についてが、福岡県から「平成30年度 福岡県農薬 安全使用運動実施要領」が発出されています。  (3-1)貴社には、農水省、環境省、厚労省、国土交通省、福岡県らの担当部署から、 本年の「農薬危害防止又は安全使用運動」についてとのような指導がありましたか。   貴社のどの部署にどこから、どのような指導が何時あったか教えてください。文書 があれば、お示しください。  (3-2)今回の事故発生に関して、関係農協や農水省や福岡県からどのような問合せ、 調査、指導がありましたか。日時を追って、その内容をお示しください。  (3-3)福岡県は、農薬安全使用を目的に、農薬指導士認定やその更新研修事業をおこ なっていますが、貴社及び農薬散布にかかる貴社の関連又は請負会社には、県認定の農 薬指導士は何名おられ、研修を受講されている方は何人いますか。  (3-4)再発防止のための対策等をお聞かせください。  (3-5)線路除草において、出来る限り除草剤にたよらない方法をとられることを望み ますが、 いかがお考えですか。  以上