農薬危害防止運動についての要望と質問 ************************************ 広島市長 松井一實  様 常日頃から核兵器禁止運動等、ご活動ありがとうございます。 私たちは、農薬をはじめとする化学物質による環境汚染・健康被害を出来るだけ減ら  そうと運動している市民団体「反農薬東京グループ」です(下記ホームページ参照)。 *** 要望と質問及び回答  ご存じのことと思いますが、今年も6月1日から8月31日まで「農薬危害防止運動」が全 国的に展開されます。5月15日に農水省から、5月13日には広島県から「農薬販売者及び 農薬使用者に対する関係法令などの周知や農薬の適正販売,適正使用及び保管管理のさ らなる周知・徹底を図ることとしています。」と発表がありました。  私たちは昨年、県の担当課と何度もやりとりして、広島県における農薬使用状況の改善を 求めてきました。その中で、特に、住宅地周辺での農薬使用と土壌くん蒸剤クロルピクンに ついてやりとりをしてきました。クロルピクリンは化学兵器として使用されてきましたが、 日本では未だに住宅地周辺で、周囲への周知なしに使用されています。   また、令和2年3月11日に出された農林水産省消費・安全局長名の「被覆を要する土 壌くん蒸剤の適正な取扱いの徹底について 」(元消安第5645号)という文章では、ク ロルピクリンに関して 「3 使用場所や周辺の状況に十分配慮して防除を行うこと。特に、住宅地等に近接する 場所においては、クロルピクリン剤の使用以外の防除方法を検討すること。やむを得ず、 クロルピクリン剤を使用する場合は、農薬の揮散によって周辺住民等に健康被害が生じ ないよう、適正な材質及び厚さの資材を用いて被覆を完全に行うなど最大限注意すると ともに、事前に周辺住民に対して十分な時間的余裕をもって幅広く周知すること。」と あります。 住宅地周辺での農薬使用については農水省が「住宅地周辺での農薬使用について」通知 を出し、今回の農薬危害防止運動でも、特に注意するよう求めています。 広島市については、住宅地周辺での農薬使用で被害を受ける人が南区へ、農水省の通知 と共に、市内の街路樹などの農薬使用の中止を求めたところ、「平成31年5月以降は、 薬剤散布による予防措置を取りやめ、毛虫が発生した時点でせん定や伐採による物理的 な対応を行っています」との回答をいただきました。 法令遵守の姿勢とその対応の早さに感謝しています。広島市南区の対応を全広島市内に 広げるよう以下の質問と要望を行います。様々な事案で大変お忙しいことと思いますが、 ご回答を6月15日までにお願いいたします。 質問と要望 1,広島市における今年の農薬危害防止月間の主要な取り組みは何ですか。 【 回答(経済観光局農政課)】 本市の農業技術指導員が農家に栽培技術勉強会等で農薬危害防止運動のチラシを配    布し、農薬の適正使用について指導することにしています。 また、JAや農薬販売店にも農薬危害防止運動のチラシを配布し、農薬使用者に適切 な使用について周知を図ることにしています。 2,広島市が管轄する施設での樹木、雑草管理を農薬を使用しないで実施している場所 はどこですか。平和公園ではどうなっていますか。万一、農薬散布が行われている場合、 来場者に知らせていますか。   3,広島市のHPに市内の街路樹、公園、公共施設等への薬剤散布履歴(過去3か月分) と今後の散布予定が一括して確認できるように掲載してください。 化学物質に特に弱い人、呼吸器に疾患のある人たちが広島県内にも多数います。そうい う方々が医療機関などへやむをえず出かけなければならない場合、農薬散布地区を避け るために、大変な苦労があります。国、県、市、区がそれぞれ農薬散布をしてある場所 が市内に混在し、なおかつ同じ省庁内でも管轄の課が細かく分かれており、個々に全て 連絡をとって確認することは大変困難であるため、それらの情報を一括して掲載してく ださい。 4、市が所有する施設の樹木等に対する農薬散布をやめて、病害虫対策を南区が実施し ている農薬散布以外の方法をとるよう指導して下さい。   【 回答(経済観光局農政課)】    市が所有する施設の樹木等の農薬散布は、施設を管理する所管課の判断により行 っておりますが、国の「住宅地等における農薬使用について」の通知を所管課へ 周知してまいります。 5、市有施設以外での樹木、雑草対策についても住宅地通知にそって実施するよう指導 して下さい。   【 回答(経済観光局農政課)】「住宅地等における農薬使用について」の通知に基 づき、本市の農業技術指導員が農業者へ指導を行っております。   また、農業者以外の農薬使用者へは、農薬販売店を通じて周知が図られるようにし   てまいります。 6,農水省が示しているように、クロルピクリンの使用をやめて、他の方法にするよう 指導して下さい。   【 回答(経済観光局農政課)】    国の「被覆を要する土壌くん蒸剤の適正な取扱いの徹底について」の通知に基づき、    使用場所や周辺の状況に十分配慮するよう指導してまいります。 7、上述の農水省局長通知「元消安第5645号」では、3月末を期限として、中国四国 農政局へ下記のような調査が依頼されています。  『都道府県ごとに、クロルピクリン剤の使用実態や、現場での指導方法について、別 添様式により調査を行うこととする』  『管下の各地域の実態を総点検して、結果を基に改めて指導を徹底するとともに、調 査結果の報告を依頼する』  この件で、貴市から直接、又は広島県を通じ、当該農政部局へ、貴市でのクロルピク リン使用に関するどのような情報を。いつ、連絡・報告されたかを教えてください。  また、結果をまとめた農水省から、その後、指示があったら、その内容も教えてくだ さい。   【 回答(経済観光局農政課)】   県から本市には調査を求められていないことから、報告しておりません。   また、農林水産省からの指示もございません。 以上 ----------------------------------------------- 参考までに、貴市南区の対応をお知らせします。この対応は農水省・環境省の通知・公 園マニュアルに基づいています。 南区役所維持管理課の所管する南区内の「街路樹」と「公園」につきましては 「住宅地等における農薬使用について(平成25年4月26日付、農林水産省消費・安 全局長通知)」により ・薬剤散布は極力しないこととされており、早朝から深夜まで不特定多数が利用する広 島駅前での散布は適切でない。 ・植栽の実施及び更新の際には薬剤散布による防除が必要となる病害虫が発生しにくい 植物及び品種を選定するよう努めるものとされている。 上記のことを踏まえ、平成31年5月以降は、薬剤散布による予防措置を取りやめ、毛 虫が発生した時点でせん定や伐採による物理的な対応を行っています。