農薬危害防止運動に関する質問と要望 ********************************** :       2020年6月22日 広島県知事  湯崎 英彦  様 農林水産局農業技術課    御中 土木建築局道路整備課・都市環境整課  御中 環境県民局環境保全課     御中  新型コロナウイルスの感染対策でのご努力ありがとうございます。全国知事会等にも 働きかけ、PCR検査など検査を増やす対策を提案され、多くの広島県民は誇りに思ってい ることと思います。知事がその気になれば難しい事態も改善できることがわかりました。 どうか、農薬問題にも関心を寄せ、広島県から農薬被害をなくすようお力添えください。  さて、私たち反農薬東京グループは、昨年6月から、農水省、環境省、厚労省が呼び かけて実施される農薬危害防止運動に関連して4回に渡って貴県へ質問と要望をしてき ました。毎回、担当課からご回答はいただいておりますが、内容は誠意あるものとは受 け取れませんでした。  今年も6月1日から8月31日まで、農薬危害防止のための運動が実施されています。 この運動で県が果たすべき仕事について、農水省などの通知やお知らせを元にどのよう な対策を取られるかなどを中心に質問と要望をしたいと思います。6月30日までにご回答 ください。 【1】<広島県の今年度の重点目標について> 質問1-1  国は、令和2年度の運動のテーマを「農薬は周りに配慮し、正しく使用」と設定し、 周辺の環境への農薬の飛散防止の徹底を重点的に指導するとしています。これは昨年何 度もおたずねした通知「住宅地等における農薬使用について」を徹底させることと思い ますが、具体的にどのような対策を考えていますか。 質問1-2  広島県独自の今年度の運動の重点目標があればお示しください。 【2】<県の危害防止運動のチラシについて>  貴県は、今年の運動について「農薬は正しく使いましょう!」と題するチラシを発表 していますが、農水省等国が出しているチラシと比べて、あまりにもお粗末です。こん な通り一遍でインパクトのないチラシで何を訴えようとしているのですか。国のチラシ には表面に「土壌くん蒸は必ず被覆」「事前周知」と具体的に目立つように書かれ、裏 面にも大きく「農薬は周りに配慮し、正しく使用」とあります。広島県のチラシにはこ ういう具体的なことは一切書かれていません。  そこで、以下の質問を致します。 質問2-1  県のチラシは何部印刷して、どこへ配布しましたか。費用はどのくらいでしたか。 質問2-2  このチラシはどこが作成しましたか。作成者はこの運動の目的や農薬による人への被 害を知っているのですか。 質問2-3  県のチラシには「新型コロナウイルス感染症による農薬危害防止講習会中止のお知ら せ」が書かれています。講習会の資料はホームページに掲載するとありますが、忙しい 農家がわざわざホームページを見に行くとは思われませんし、高齢の農家ではパソコン やスマートフォンを扱えない方も多いとおもわれます。国のチラシを増刷りして、個別 農家に配布すべきと考えますが、県の考えをお聞かせ下さい。 【3】<土壌くん蒸剤クロルピクリンについて>  土壌くん蒸剤クロルピクリン(以下クロピク)に関して、昨年、何度も質問しました。 私たちは、まず、広島県でどういう作物にどのくらい使用されているか質問しました。 それに対する回答は「広島県では把握していません」(2回目)というものでした。そ こで4回目の質問で何故調査をしないのかという質問をしました。これに対しては「関 係法令を守って民間の経済活動において流通,使用されているものであり, 行政権限に よって,使用地域・作物を調査することとなっていないためです。」≪広島県農林水産 局農業技術課≫ というご回答でした。  ご存じのことと思いますが、令和2年3月11日に「 被覆を要する土壌くん蒸剤の適 正な取扱いの徹底について」という農水省消費・安全局長の通知が出ています。それに は「また、クロルピクリン剤の使用実態や、現場での指導方法について、(貴局管下都 道府県)※2に対し別添様式により調査を行うこととするので、管下の各地域の実態を 総点検して、結果を基に改めて指導を徹底するとともに、調査結果の報告を依頼するよ うお願いする。」という一文があります。もはやクロピクによる被害を放置できないと の認識だろうと思います。 そこで以下の質問します。 質問3-1  クロピク実態調査の要請が中国農政局からありましたか。 あったとすればいつですか。 質問3-2  広島県は、県内のクロピク使用実態等の調査を始めましたか。まだだとしたら、いつ から、どのような方法で調査する予定ですか。 質問3-3  広島県のクロピク使用実態をわかった範囲で教えてください。 質問3-4  広島県独自のクロピクの規制をする予定がありますか。あるとすれば、いつから、ど のような方法で実施する予定ですか。 質問3-5  農薬危害防止運動の講習会や配布資料で、クロルピクリンを使わない、なおかつ安全 性の高い土壌消毒方法(温熱消毒、発酵消毒、低濃度アルコール消毒など)について紹 介してください 質問3-6  農水省は、2018年度の農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況についてを公表しま したが、人の中毒事故で一番多かったのは、クロルピクリンで、4件12人★→14人の処理地周辺住 民が被害を受けています。同省が3月に実施したクロルピクリンについての使用実態及 び指導方法についての全国調査結果は、まだ、報告されていません。早急に公表するよ う貴県から、農水省に求めてください。 【4】<住宅地通知の遵守を>  今年度の農薬危害防止運動のテーマとして、国は「農薬は周りに配慮し、正しく使 用」としています。これは、周辺住民や環境に被害を与えないようにということです。 昨年、何度も要望しましたが、農水省、環境省から出されている「住宅地等における農 薬使用について」という局長通知を遵守するようにということです。これに基づいて、 広島県内では広島市が一部の部署で、担当する公園や街路樹などの農薬散布を中止して います。 質問4-1  広島市のような例があるのですから、県全体にこの通知を守り、とりあえず、公共施 設での農薬散布をやめるよう指導するべきだと思いますが、どうお考えですか。 質問4-2  「住宅地等における農薬使用について」に記載のある事前通知をしていない市町村が 県内にはあります。また、したとしても現地に数日前に看板を出すだけでは毎日そこを 通らない人、たまにしか訪れない人、他市や他都道府県から観光やビジネスで訪れる人 には情報が伝わりません。また、同じ市内であっても市の管理、県の管理、国の管理と 植栽管理がバラバラであり市民が散布予定を問い合わせる際にどこに問い合わせたら良 いかもわからず非常に大変です。そこで、広島県が県内の行政が行う農薬散布情報につ いて取りまとめ、広島県農薬散布情報として年間散布予定、当月と来月の詳細な散布日 程、過去3か月の散布履歴、を広島県のHPから閲覧できるようにしてください。 質問4-3  「住宅地等における農薬使用について」に記載のある事前通知をしていない農家が広 島県では大半を占めています。呼吸器に持病があったりアレルギー疾患を抱えている住 民はいつ農薬が散布されるかもわからない中で不安な生活を強いられ、突然の無通知散 布によって大きな健康被害やそれにより休業を余儀なくされるなどの経済的被害も受け ています。広島県として、農家に対して事前通知の徹底と、周辺住民から健康被害の訴 えや事前通知の依頼を受けていながら無通知散布を続ける農家に対しては立ち入り検査 による指導や農薬販売の停止などの対応をとってください。 質問4-4  「住宅地等における農薬使用について」に記載のある事前通知をしていない農家が広 島県では大半を占めています。農家が自発的に事前通知をすることは期待できないため、 各市町村が事前通知を希望する住民が居住している地域だけでも農家に電話で散布日程 を確認しそれは市町村のHPで農薬散布情報として確認できるようにすべきと思います。 この方法について県から各市町村に指導してもらえませんか。 質問4-5  住宅地通知について、JR,ネクスコ西日本、本州四国連絡高速道路株式会社などの電車 や高速道路を管理する団体についても、農薬を多用しており住民や環境への影響が看過 できません。各市町村をまたぐ組織ですので、県が主体となって事前通知を徹底と物理 的防除を前提とした除草に切り替えるように指導すべきだと思います。これらの団体がH P上で防除の年間予定と当月と来月の詳細な予定、過去3か月の薬剤使用履歴を公表する ように指導して頂けませんか。 【5】<権限委譲について>  昨年、県は農薬取締法の権限委譲を17市町にしていると回答しましたが、権限委譲 の内容は農薬販売店に関するものが主で、使用者に対する規制についてはありません。 質問5  農薬危害防止運動にある使用者への注意などについては、権限委譲市町ではどのよう な対応をしていますか。この点に関して権限委譲市町は県へ報告する義務がありますか。 以上