2019年12月15日 広島県知事  湯崎 英彦  様  農林水産局農業技術課 御中  他 担当課 御中 2019年6月から3回、農薬問題、主に住宅地通知や化学物質過敏症に関する質問と要望を してきた反農薬東京グループです。毎回、回答をいただきありがとうございます。 今回は4回目になりますが、よろしくお願い致します。 年末でそちらもお忙しいでしょうから、2020年1月15日までに回答お願い致します。   まず、10月2日にいただいた3回目の回答に対する質問です。 1,農薬販売店について <質問1-1> 劇毒法による農業用毒劇物の販売者に関して  回答では 農薬販売店舗 広島県内で1742店   農業用毒劇物販売者   16 とありましたが「農薬取締法権限委譲市町(12市5町)を除き」とあります。どのような 条件があれば権限委譲になるのですか。 <質問1-1回答>   広島県の事務を市町が処理する特例を定める条例(平成11年12月21日条例第34号)により移譲しております。 ≪広島県農林水産局農業技術課≫  <質問1-2> 権限を委譲した12市5町名をお知らせ下さい。 <質問1-2回答>  広島市,呉市,三原市,尾道市,福山市,府中市,三次市,大竹市,東広島市,廿日市市,安芸高田市, 江田島市,安芸太田町,北広島町,大崎上島町,世羅町及び神石高原町です。 ≪広島県農林水産局農業技術課≫  <質問1-3>  農薬販売店舗の所在地は公表していないとのことですが、その理由は何ですか。 <質問1-3回答>  農薬取締法において,農薬販売店舗の所在地を公表する規定はないためです。 ≪広島県農林水産局農業技術課≫  <質問1-4>  農薬取締法では、農薬販売店に適正に実施されているか指導をすることになっていま すが、広島県の場合は、年間、何件調査に入っていますか。どの部署が担当しており、 その方法はどういうものですか。 直近の調査結果をお知らせ下さい。 <質問1-4回答>  農薬取締法に基づく立入検査の権限は,17市町には移譲されており,県が検査する地域は,2市4町となっています。平成30年度の広島県の立入検査実績は,販売者21件,使用者11件です。   立入検査は,農林水産局農業技術課が担当し各販売者,使用者の所在地を訪問して,帳簿,保管状況等の現地検査を実施しております。 ≪広島県農林水産局農業技術課≫  2,クロルピクリンについて クロルピクリンの使用状況についての質問には、以下の回答でした。  「2017年における,クロルピクリンの使用状況(どのような作物に,いつ,どこで) について 大変申し訳ありませんが,広島県では,把握していません。」 <質問2-1> 国立環境研究所のDB(Webkis-Plus)によると広島県では2017年度に7,688.67kgの出 荷が確認されています。クロルピクリンは毒性が強く、事故も多く、農水省が原因農薬 名を公表している唯一の農薬です。現に、県内で被害を訴える人がいるのに、広島県は、 どの地域で、どんな作物にクロルピクリンが適用されているかを、なぜ調査しないのか、 その理由をお知らせ下さい。 <質問2-1回答>  関係法令を守って民間の経済活動において流通,使用されているものであり, 行政権限によって, 使用地域・作物を調査することとなっていないためです。 ≪広島県農林水産局農業技術課≫  <質問2-2> 前回の質問でも指摘しましたが、都道府県は劇物販売業者を指導する立場にあり、立ち 入り検査もできます。適正な使用をしない購入者へ販売させないよう指導することもで きます。 このような権限を有している県が、使用状況について知ろうともせず、「広島県では把 握していません」としている理由がわかりません。 何故、把握しないのですか。把握するのにどのような障害があるのですか。 今後、把握するつもりはないのですか。 <質問2-2回答>   クロルピクリンを含む農薬等の販売については,「爆発性を有する劇物,シアン化合物等の適正な取扱いについて (昭和61年12月22日薬発第1081号厚生省薬務局長通知)」により,使用場所,使用目的を聞き取り, 安全な取扱いに不安もしくは使用目的に不審な点がある場合には交付しないこととされています。   このため,取扱いのある販売業者に対して,使用目的の確認等について徹底するよう指導しているところです。  なお,毒物劇物の使用状況については,クロルピクリンに限らず,法律上,使用者から都道府県への報告義務はなく, 県内の使用状況を把握することは困難な状況です。   引き続き,毒物劇物の適正な取扱いが図られるよう取扱者に対する監視指導及び周知の徹底を行ってまいります。 ≪広島県健康福祉局薬務課≫ 3,化学物質過敏症への対応について 前回の回答では 「尾道市の化学物質過敏症患者様への対応につきましては,尾道市の農薬取締法担当課 に対し,耕作者への講習会開催,講習会を活用しての農薬使用事前周知の徹底,市・J Aの広報誌を活用しての注意喚起を働きかけております。また,事前周知方法につきま しても,立て看板の設置や回覧板などを提案しております。」 <質問3-1>  尾道市の講習会は開催されたようですが、誰に参加を呼びかけ、何人参加しましたか。 <質問3-1回答>  講習会の主催者である尾道市農林水産課にお尋ねいただきたいと考えます。 ≪広島県農林水産局農業技術課≫  <質問3-2>尾道市のクロルピクリンの使用者2戸に事前通知を求めているとのことです が、その方法はどういうものですか。また、平成29年の尾道市農林水産課のアンケー トでは尾道市の因北小学校と因北中学校に囲まれる畑地帯の油屋新開地域だけでも4軒 クロルピクリンを使用している農家があることが判明しています。クロルピクリンを使 用している農家が2戸だけというのは、どういう方法で調査したのですか。なぜ、既に判 明している他の2軒に事前通知を求めないのでしょうか? <質問3-2回答>   尾道市農林水産課にお尋ねいただきたいと考えます。 ≪広島県農林水産局農業技術課≫  <質問3-3> 化学物質過敏症患者はクロルピクリンのみに反応するのではありません。他の日常的に 使用されている殺虫剤や除草剤などからも被害を受けます。事前通知は当然のことです が、できるだけ、農薬を使用しない農業を進めることが大事です。どのような方策を考 えていますか。 <質問3-3回答>   農作物を生産する経済活動において,農薬使用は生産者にとっても,経済的にも,農薬被ばくリスクからも, なるべく避けたい生産活動であると考えます。効率的,効果的な農作物の栽培指導を実施していく必要があると 考えております。 ≪広島県農林水産局農業技術課≫  4,住宅地通知の徹底について 何度も要望していますが、住宅地通知の徹底をお願いします。広島県で、この通知を知 っている人は本当に少ないです。まず、県内各市町にしつこいくらいに住宅地通知の内 容を知らせ、通知を遵守するよう指導して下さい。 <質問4-1> 街路樹、公園など行政が管轄する樹木などに殺虫剤や除草剤など農薬散布をしている ケースがあります。広島県内の市町や公共団体の実態調査をしたことがありますか。 <質問4-1回答>  広島県では,道路や公園の植栽管理における薬剤の散布につきまして,各市町や公共団体に対して実態調査を 行った実績はありません。 ≪広島県土木建築局道路整備課・都市環境整課≫ <質問4-2> 農薬の定期的散布をしている自治体がありますか。 <質問4-2回答>   定期散布をしている自治体についても,実態調査を行っていないため把握しておりません。 ≪広島県土木建築局道路整備課・都市環境整課≫ <質問4-3>  バラなどの農薬の多用をせざるを得ない植栽はできる限りやめて、害虫がつかない植 栽にするべきと思いますが、どう考えますか。たとえば、西東京市はチャドクガがつき やすい椿やサザンカをやめ、金木犀にしました。こうした対応をどう考えますか。 <質問4-3回答>  道路の植栽については「道路緑化技術基準・同解説」((社)日本道路協会)に基づき,場所や気候の特性に 応じて個別に選定しております。  なお,「道路緑化技術基準・同解説」では,草花の選定の際は,病害虫に弱いなどの欠点の少ないものを 選定することとされています。  また,公園の植栽については,場所や気候の特性や,維持管理コスト等から総合的に判断して,それぞれの 施設管理者が選定しております ≪広島県土木建築局道路整備課・都市環境整課≫ 5,広島県植栽管理業務委託共通仕様書(平成28年版)」について 8月9日の二回目の回答に添付された「広島県植栽管理業務委託共通仕様書(平成28年 版)」(以後、表記は県共通仕様書)についての質問と要望 住宅地通知・公園マニュアルは農薬散布が人畜・環境に大変有害であるからこそ、農薬 散布による飛散、大気汚染による人畜に対する被害の発生をなくすために作成されたも のです。 その観点から以下の質問を致します。 <質問5-1> 第2節 材料に「2-3 薬剤」と書かれ「薬剤は農薬取締法」に基づくものでなければな らない」とされています。農薬取締法に基づくものであれば、農薬ではありませんか。 何故、「薬剤」とするのか、理由を教えて下さい。 <質問5-1>回答  今後,共通仕様書の改定を行う際に,参考とさせていただきます。 ≪広島県総務局財産管理課≫ <質問5-2> 「病害虫駆除、防除」では、(5)で「定期的に農薬を散布することはせず」とあり、そ れ以降は、すべて「農薬」となっています。薬剤と農薬が同じ文書に両方書かれており ます。なぜ、このような書き方になったのか、教えて下さい。 <質問5-2>回答   今後,共通仕様書の改定を行う際に,参考とさせていただきます。 ≪広島県総務局財産管理課≫ <質問5-3> 「薬剤」を「農薬」に書き換えるべきと思いますが、どうお考えですか。 <質問5-3>回答  今後,共通仕様書の改定を行う際に,参考とさせていただきます。 ≪広島県総務局財産管理課≫ <質問5-4> 「5 病害虫駆除、防除」の記述において(1)〜(3)でまず「薬剤の使用に関して ・・・」とあります。これは病害虫駆除、防除を「農薬を使用しておこなう」ことを前 提にしていることを表しています。 住宅地通知・公園マニュアルの根幹は農薬散布飛散による人に対する被害を防除するた めに「農薬を使用しない管理」(「学校 保育所 公園 病院 街路樹このような所で、 周囲を気にせず農薬を散布していませんか?」環境省・農水省発行リーフレット ペー ジ1)次に「農薬以外の物理的防除の優先」(前掲のリーフレット ページ2)して実施す るとなっています。 なぜ、国の通知と異なることを書いたのですか。 <質問5-4>回答  (1)〜(3)に関しては,薬剤を使用する際のことについて記載しておりますが,実際には(5)に記載のとおり, 樹木の状況等を踏まえ,監督員と協議し,極力せん定や捕殺を行うように努めています。 ≪広島県総務局財産管理課≫ <質問5-5> 県共通仕様書「5−1 液状薬剤の散布」の「(2)散布は、噴霧器等を十分圧力をかけ て用い〜」と記述しています。これは前掲リーフレットのページ3の「動力噴霧器の圧 力を上げ過ぎない」記述と明らかに相反しています。 なぜ、このような書き方をしたのですか。 <質問5-5>回答  記載の噴霧器は手動噴霧器を想定しており,必要な圧力を確保することを意図して記載しております。 ≪広島県総務局財産管理課≫ <質問5-6>  これらは単に表記語句の問題ではなく、真に農薬散布被害から県民の健康を守る立場 に立ち、住宅地通知・公園マニュアルを遵守したものに改定する予定はありますか。 <質問5-6>回答  今後,共通仕様書の改定を行う際に,参考とさせていただきます。 ≪広島県総務局財産管理課≫ <質問5-7> この共通仕様書に違反した場合、罰則がありますか。あったら教えて下さい。罰則がな い場合、どのように対処するのですか。 <質問5-7>回答  作業責任者に指導を行い,違反が続くようであれば,業務委託契約約款第35条に基づき,契約を解除する場合 もあります。 ≪広島県総務局財産管理課≫ <質問5-8>植栽管理には使用できない無登録の除草剤が市販されており、沖縄県では、 公園などの植栽管理に使用された例がありました。貴県では、このようなことのないよ う、植栽管理業務委託者に対して、どのようなチェックをされていますか。  参照:てんとう(ロゴ印)情報n008号   n00803#沖縄県浦添市で、運動公園に周知なしで除草剤散布〜住宅地通知はどこふく風 #18-11   http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/n00803.htm <質問5-8>回答  植栽管理業者には業務着手前に作業計画書を提出させており,作業計画書の中で使用する薬剤について 管理を行っております。 ≪広島県総務局財産管理課≫ <質問6> <質問6-1> 湯崎知事はこれらの問題についてどのようにお考えですか。担当課はきちんと知事に報 告されていますか。 <質問6-1回答>  報告が必要な事項について,適切に対応してまいります。 ≪広島県農林水産局農業技術課≫  <質問6-2> 県が計画している「ひろしまはなのわ2020」ではどのように農薬削減を表現する予定で すか。 <質問6-2回答>  「ひろしま はなのわ 2020」では,花や緑の大切さを分かち合い,より一層の豊かな地域づくりの 実現につなげていくよう,取り組んでまいります。 ≪広島県土木建築局道路整備課・都市環境整課≫ 以上よろしくお願い致します。