2019/07/14 ■ 住宅地等における農薬使用についての再要望と質問 ■ 広島県知事  湯崎 英彦  様 農林水産局農業技術課 御中 6月9日に、湯崎知事と農林水産局農業技術課 宛に「住宅地等における農薬使用につい ての要望」を提出した反農薬東京グループです。6月27日に広島県総務局広報課を通じて 農業技術課等からの回答をいただきました。ありがとうございます。  湯崎知事は読んでいただけたでしょうか。  回答を拝見して、私たちの要望の意図が全く理解されておらず、内容が通り一遍の行 政側の弁明にすぎないことがわかり、非常に残念です。以下、回答を踏まえて再質問を させていただきますので、7月31日までにご回答くださいますようお願いいたします。  まず、回答全体を通じてですが、私たちは「住宅地等における農薬使用について」と いう農水省・環境省の局長通知(前回の前文に詳述)に関する質問と要望をしているの に、貴県は、農業者の農薬散布に矮小化しています。広島県内では農業者の農薬散布に ついても指導が行き届いておらず、散布時の事前通知が守られておらず、近隣住民に健 康被害が生じている状況ですが、私たちが特に問題にしたのは公共施設の植栽に対する 安易な農薬散布で、これに対する回答は一切ありませんでした。  他県では、県、市町村での農薬散布を詳しく調査し、植栽管理に農薬をできるだけ使 用しないよう啓発しているところがあります。特に名古屋市は毎年詳細な調査をして ホームページ等で公表しています。  名古屋市のHPにある 名古屋市の施設等における農薬・殺虫剤等薬剤の使用状況調査のまとめや      http://www.city.nagoya.jp/kurashi/category/7-22-2-0-0-0-0-0-0-0.html  施設別使用状況 屋外 http://www5e.biglobe.ne.jp/~ladymine/kiji/nago_h29soto.pdf          屋内 http://www5e.biglobe.ne.jp/~ladymine/kiji/nago_h29uti.pdf  沖縄県浦添市では無通知で公園に除草剤が散布された事が新聞記事にもなり、公園に 除草剤を散布した行為は不適切であったとして市長が謝罪もし、今後、公共施設全般に わたり、除草作業における薬剤を使用する場合は、その取り扱いについて研修を実施し、 全庁的に周知徹底するとともに再発防止に向けて取り組むとしました。   浦添市のHP;http://www.city.urasoe.lg.jp/docs/2018111400143/   また、私たちの調査では学校なども含めて植栽管理に農薬を一切使用しない市町村も あります。環境省も優良事例を集めた冊子を発行しています。  さらに、昨年の農薬取締法改定や「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」  改定にともない、住宅地等での農薬使用についても、下記のように、条文が強化されています。    http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/n01405.htm#kyoka  農薬は農家だけが使用するものという固定観念を打破し、直接生産に関係のない、しかも、  人々の暮らしにより近い住宅地等の農薬散布(学校、公園、街路樹、駅、公共施設、店舗、  民家の庭など)に目を向け、不必要な農薬散布をやめるよう、指導の強化をお願いいたします。  以下、要望ごとに再質問をさせていただきます。要望については省略した部分もあります。 <要望1> 農薬危害防止月間に住宅地通知をわかりやすくしたパンフレットを作ってホームページ、 チラシなどで広く周知してください。 <貴県回答>  1、広島県では,6/1〜8/31まで広島県農薬危害防止運動を実施しており,県内5か所 (対象:農薬販売者,農薬使用者,JA関係者,市町)で,農薬危害防止講習会を開催 し,その中で,環境省等が作成したリーフレットを活用して,広く周知をしております。 国が作成したリーフレットは,記載事項や図がわかりやすく記載されているため,国の リーフレットを活用しております。 <再質問と要望>  @国はこの件に関して複数のリーフレットを出しています。県が活用しているという リーフレットとは具体的にどれですか。見本をお示しください。 前回要望で紹介した 岐阜県パンフをごらんになりましたか。周知や健康被害が強調されています。参考にし てください。 https://www.pref.gifu.lg.jp/sangyo/nogyo/gifu-clean/11423/jyutakuchi-tuchi.data/190415_jutakutituuri_leaflet.pdf  また、活用しているとのことですが、どのように活用しているのですか。国から出さ れたリーフレットを増す刷りして配布しているのですか。その場合、何部印刷してどこ へ何部配布したのですか。広く周知したという内容を明らかにしてください。ホーム ページに掲載したというだけでは、全く不十分です。  A農薬危害防止講習会への参加者はどのように選定されたのでしょうか? 具体的に 示してください。農家にチラシを配っただけですか。  また、講習参加者に関して広島県内で植栽管理に係る役務についている地方公務員は 強制的に参加しなければならないというような制度にはなっていないのでしょうか?  さらに、過去5年間の参加者数を 年度ごとに、行政関係者、防除業者、農業者、一般住民、  に分けて、教えてください。 <要望2> 貴県内の市町村長、担当部署にたいして住宅地通知を遵守しているか否かを調査し、そ の結果を公表して下さい。遵守していない市町村を強く指導して下さい。(略)  なお、本メール全文を市町村あてに、転送されることを希望します。 <貴県回答>  上記の1農薬危害防止講習会や,市町の担当者を対象とした研修会において「住宅地 等における農薬使用について(25消安第175号)」の遵守や除草剤の取扱いについて,周 知徹底を行っています。なお,現在,住宅地通知の遵守を行っているか否かの調査の実 施予定はありませんが,引続き周知徹底を行います。 <再質問と要望>  周知徹底の中身をお知らせください。今年度は何月何日にどこへ、どのような方法で 知らせたのですか。周知徹底するためには実態を明らかにしないと効果がありません。  今回は公共施設での農薬使用が問題になっているわけですから、県として、きちんと 調査すべきと思います。最低、県有施設での農薬散布状況を調査すべきと思います。幼稚園、  学校での農薬散布状況も調査してください。  引き続き周知徹底を行いますとありますが、広島県の中枢都市の広島市の植栽管理を行う  公務員ですら「住宅地等における農薬使用について」の文書を知らなかった事実があります。  周知徹底の努力を行っているとはとても思えません。 <要望3>  無農薬で植栽管理をしているところを調べ、優良事例として紹介してください。 <回答> 3、広島県では,無農薬で植栽管理している農業者等は把握しておりませんが,  「安心!広島ブランド」認証制度(特別栽培農産物)とエコファーマー認定制度に認定した,  農業者の優良事例を県HPで紹介しております。 ⇒広島県HP   https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/84/1278890500342.html <再質問と要望> 農薬使用者というと農業者しか頭に浮かばないという姿勢が問題です。公共施設等への 農薬散布は防除業者が行っています。防除業者への指導について具体的にお知らせください。  事例を一つ記します。東広島市の団地で農薬散布作業中の散布業者(3人)の内、2人に  「 〜周囲を気にせず農薬を散布していませんか?」を渡して「これを見たことがありますか?」と  聞いたとろ、2人は「知らない」と答えました。1人は口頭で「住宅地等における農薬使用について」  という農水省・環境省の通知を知っているか?と聞きましたが、「知らない」ということでした。  上記2人は散布現場の「作業責任者」で、もう一人もそうだと思います。これら3人は  「通知」そのものを「知らない」と言ったのだろうと思います。  講習会等で配布した資料をお示しください。その際、農薬メーカーの宣伝チラシなども配布したか どうかもお示しください。  また、県の施設で、植栽管理を行う際の防除業者への仕様書の事例をお示しください。 <要望4>  化学物質過敏症に関する情報を、市町村レベルでも、広く知らせてください。 <回答>  4、化学物質過敏症に関する情報は,必要に応じて,市町に情報提供を行い,広く周知  を図ることとしています。≪広島県健康福祉局薬務課≫ <再質問と要望>  薬務課からの回答ですが、住宅地通知が発出された一番の理由は、化学物質過敏症患者の  訴えからです。農水省がその被害を認識し、それを防ぐためにこの通知が出されました。  広島県農業技術課が保健福祉局薬務課に回答を丸投げしたことは、無責任と言わざるを得ません。  農薬使用を管轄する部署としては化学物質過敏症について学習し、他部署にできるだけ  農薬使用を抑えるよう指導すべきです。  広島県在住の化学物質過敏症患者からの訴えを添付します。その苦しみをご理解いただき、  早急に対策をとってください。  また、実際に広く周知がなされているとは思えません。尾道市の相談者が先日尾道市農林水産課の  職員に言われた言葉ですが、「使える農薬と使えない農薬を分けるために農薬を皮膚に貼って  パッチテストをするように」指示されたそうです。農薬の添付文書には「皮膚に付着しないように  注意すること。皮膚に付着した場合には水でよく洗い医療機関を受診すること」等の記載が  通常されています。農薬には皮膚刺激性があるものが殆どで経皮吸収やパッチからの 揮発物を吸入することでの中毒症状が健常者でも起こり得る危険な行為です。それを、 極度に薬剤代謝能力の低い化学物質過敏症患者に行えと言うのは「死ね」というのと同 じことです。もし化学物質過敏症に関する情報が広く周知されていれば、農薬を扱うプ ロである 農業技術課の職員がこのような発言をするはずがありません。このような人権を無視した 発言を自治体公務員がすることがないように、情報を周知徹底する努力をお願いします。 <要望5>  貴県内では、土壌くん蒸剤のクロルピクリンが使用され、被害者がでています。クロルピクリンは  農水省が毎年公表する農薬事故、被害例の中で唯一原因農薬として名前が挙げられている農薬であり、  第一次世界大戦で毒ガス兵器として使用されたものです。  (現在、化学兵器禁止法では第二種指定物質)。詳しくは、添付資料を参照してください。  このような毒性の強い農薬を住宅地周辺で使用しないよう県の条例で禁止してください。 <回答> 5、農薬危害防止講習会や,市町の担当者を対象とした研修会において,クロルピクリ ン使用時の  揮散防止について,周知徹底を行っています。今後も,引続き,国が定めた「農薬を使用する者が  遵守すべき基準を定める省令(平成15年度農林水産省・環境省令第5号)」  「住宅地等における農薬使用について(25消安第175号)」に基づき,周知徹底を行います。 <再質問と要望>  広島県では、クロルピクリンを2017年に7,688.67キロリットル使用しています。  どのような作物に、いつ、どこで使用しているのか教えてください。使用者は、周辺住民に  クロルピクリン使用日時、ガス抜きの日時など周知していません。使用方法やガス抜きに  関してどのような指導をしているのか具体的にお示しください。  毒ガス兵器そのものであるクロルピクリンの毒性を考えると使用しないという指導をすべきです。  広島県でクロルピクリンによる被害者がでていることを把握していますか。その苦しみを  理解して早急に対策をとってください。言うまでもないことですが、化学物質過敏症患者が  反応するのはクロルピクリンだけではありません。あらゆる大気中の化学物質に反応します。  患者自身が様々な対策を取って化学物質を遠ざけていますが、家の外で使用される農薬などに  関しては個人で対策がとれません。そのために住宅地通知が発出されたことを肝に銘じてください。 <要望6>  今年、県が発表した「農薬は正しく使いましょう」というチラシの中の「飛散防止の徹底を」  という項目に「基準を超える農薬が残留する食品の販売等は原則禁止されています」とありますが、  残留基準違反の農産物は、食品衛生法により。原則禁止でなく発見されたら即販売禁止です。  訂正して正しい情報を伝えてください。 <回答>  御意見をありがとうございます。  御指摘の箇所の,「食品」とは,農産物だけでなく,畜・水産物やその加工食品など, 食品全般を  指しています。加工食品の場合は,基準値を超える農薬を検出しても,使用している原材料が  それぞれ残留農薬基準に適合していれば,その加工食品も基準に適合するものとされています。  このため,チラシでは「原則禁止」と表記していますが,このチラシは主に農産物の 生産者に  対して使用されることから,誤解を与えない表現を担当部局と検討したいと考えています。  今後とも,本県の食品衛生行政への御理解と御協力をお願いします。 ≪広島県健康福祉局食品生活衛生課≫ <再質問と要望>  早急に訂正してください。 【添付ファイル】防除業者の住宅地通知に関する東広島市の事例.doc 広島県の化学物質過敏症患者からの訴え.docx          以上よろしくお願いいたします。回答は7月31日までにお願いいたします。     =================================================       ★★★反農薬東京グループ★★★ URL http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/      ==================================================