広島県知事  湯崎 英彦  様 農林水産局農業技術課 御中  私たちは、農薬をはじめとする化学物質による環境汚染・健康被害を出来るだけ減ら  そうと運動している市民団体「反農薬東京グループ」です(下記ホームページ参照)。  知事は農薬による健康被害で苦しんでいる人がいることをご存じでしょうか。  特に、化学物質過敏症という病気の人たちは、ほんの僅かな農薬でも吸入すると、非 常に激しい症状を呈し、農薬散布の場所から避難せざるを得ません。しかも、実際はそ のような避難準備もできないまま突如散布がなされるため、命に危険が及ぶ症状が出現 し、入院したり過敏度が悪化し著しく生活が困難になったりしています。さらに、乳幼 児等農薬弱者への悪影響も懸念されています。  貴県のHPには、「化学物質過敏症とは」の頁があり、    https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/householdsgood/kabinshou.html  化学物質過敏症に関するパンフが紹介され、    https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/14313.pdf  さらに香料使用に配慮するためのポスターや化学物質全般に配慮するためのポスター    https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/14580.pdf    https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/14583.pdf  も掲載されています。    貴県の平成31年度広島県病害虫・雑草防除基準の頁     https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/198/boujo-kijun.html  では、農薬の使用に当たってとして、 通知「住宅地等における農薬使用について」  (以下、住宅地通知という)を遵守するよう注意喚起がなされています。   https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/165115.pdf  しかし、これらの情報はほとんど知られていません。  住宅地通知は、最初、2003年9月に農水省から発出され、その後、2度の改定をかさね、 2013年から農水省、環境省両局長通知となり、現在にいたっています。化学物質過敏症 を初めとする農薬弱者・一般市民(住民)に危害を与えないようしっかり書かれています。  さらに、昨年改定された農薬取締法の国会採決時の付帯決議では、都道府県知事の役 割が明確になり、関連する「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」も、そ れまでの、食用作物に加え、非食用作物の栽培にも適用されることになりました。  衆議院付帯決議では「農薬使用の際に、農薬使用者及び農薬散布地の近隣住民に被害 が出ないようにするため、農林水産大臣及び都道府県知事は農薬使用者(参議院は防除 業者追加)に対して十分な指導及び助言を行うこと。」となっています。    国は、毎年6月から「農薬危害防止月間」を定め、農薬による危害を防ぐよう注意を 喚起しており、貴県でも、6月1日から8月31日まで「広島県農薬危害防止運動」を 実施するとのお知らせがありました。  しかし、貴県HP上の、農薬は正しく使いましょうとのポスター   https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/351567.pdf  では 農家向けが主な内容で(もちろん、それも重要ですが)、農家以外で農薬を使用 する防除業者や一般人の農薬使用については、ふれられていません。市町村は住宅地通 知を遵守すれば街路樹等に農薬の一斉大量散布は出来ないはずです。  広島県の化学物質過敏症患者は、主に住宅地周辺で散布される農薬の被害が大きいと 訴えています。住宅地周辺、人通りの多い地域、団地・マンション、学校、鉄道の駅周 辺などですが、一番大きな問題は、市町村が住宅地通知を遵守せず、街路樹、公園の樹 木、街路等に平気で一斉農薬散布(なお、農薬には除草剤も含まれます)が行われている ことです。  率先して通知などを守らなければならない行政が住宅地通知を知らないということは 大きな問題だと思います。  知事は「農薬使用者に対して十分な指導および助言を行うこと」という農薬取締法に ある使命を是非強力に実施してください。  そこで、下記の要望をしますので、お忙しいところ、誠に恐縮ですが、知事のお考え を6月20日までに下記メールあて、ご回答ください。     =================================================       ★★★反農薬東京グループ★★★       URL http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/      ================================================== ■要望■ [回答]≪1〜3,5は 広島県農林水産局農業技術課≫         ≪6は、広島県健康福祉局食品生活衛生課≫  1、農薬危害防止月間に住宅地通知をわかりやすくしたパンフレットを作ってホーム ページ、チラシなどで広く周知してください。たとえば、岐阜県では、環境省のリーフ レットの岐阜県版をHPにアップしています。  https://www.pref.gifu.lg.jp/sangyo/nogyo/gifu-clean/11423/jyutakuchi-tuchi.data/190415_jutakutituuri_leaflet.pdf  [回答]広島県では,6/1〜8/31まで広島県農薬危害防止運動を実施しており,県内5か所 (対象:農薬販売者,農薬使用者,JA関係者,市町)で,農薬危害防止講習会を開催 し,  その中で,環境省等が作成したリーフレットを活用して,広く周知をしております。 国が  作成したリーフレットは,記載事項や図がわかりやすく記載されているため,国のリーフレットを活用しております。 2、貴県内の市町村長、担当部署にたいして住宅地通知を遵守しているか否かを調査し、 その結果を公表して下さい。遵守していない市町村を強く指導して下さい。その際、除 草剤も農薬であることを明示し、登録のない除草剤を植栽管理に使用しないよう指導を 強化してください。また、樹木への殺虫剤散布を「消毒」「予防」などと呼び、農薬だ と思っていない人もいます。このような誤解をなくすよう正確な情報を伝えてください。  なお、本メール全文を市町村あてに、転送されることを希望します。  [回答]上記の1農薬危害防止講習会や,市町の担当者を対象とした研修会において「住宅地  等における農薬使用について(25消安第175号)」の遵守や除草剤の取扱いについて,周知  徹底を行っています。なお,現在,住宅地通知の遵守を行っているか否かの調査の実 施  予定はありませんが,引続き周知徹底を行います。 3、無農薬で植栽管理をしているところを調べ、優良事例として紹介してください。  [回答]広島県では,無農薬で植栽管理している農業者等は把握しておりませんが,「安心!  広島ブランド」認証制度(特別栽培農産物)とエコファーマー認定制度に認定した, 農業者の  優良事例を県HPで紹介しております。   ⇒広島県HP   https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/84/1278890500342.html 4、化学物質過敏症に関する情報を、市町村レベルでも、広く知らせてください。  [回答] なし 5、貴県内では、土壌くん蒸剤のクロルピクリンが使用され、被害者がでています。ク ロルピクリンは農水省が毎年公表する農薬事故、被害例の中で唯一原因農薬として名前 が挙げられている農薬であり、第一次世界大戦で毒ガス兵器として使用されたものです。 (現在、化学兵器禁止法では第二種指定物質)。詳しくは、添付資料*を参照してくださ い。  このような毒性の強い農薬を住宅地周辺で使用しないよう県の条例で禁止してくださ い。     * 当グループのHPにも同文が掲載しています。     http://www5e.biglobe.ne.jp/~ladymine/kiji/chlo180214.doc  [回答]農薬危害防止講習会や,市町の担当者を対象とした研修会において,クロルピクリン  使用時の揮散防止について,周知徹底を行っています。今後も,引続き,国が定めた  「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成15年度農林水産省・環境省令第5号)」  「住宅地等における農薬使用について(25消安第175号)」に基づき,周知徹底を行います。 6、今年、県が発表した「農薬は正しく使いましょう」というチラシの中の「飛散防止 の徹底を」という項目に「基準を超える農薬が残留する食品の販売等は原則禁止されま す」とありますが、残留基準違反の農産物は、食品衛生法により。原則禁止でなく発見 されたら即販売禁止です。訂正して正しい情報を伝えてください。  [回答]御意見をありがとうございます。  御指摘の箇所の,「食品」とは,農産物だけでなく,畜・水産物やその加工食品など, 食品全般を指しています。加工食品の場合は,基準値を超える農薬を検出しても,使用 している原材料がそれぞれ残留農薬基準に適合していれば,その加工食品も基準に適合 するものとされています。  このため,チラシでは「原則禁止」と表記していますが,このチラシは主に農産物の 生産者に対して使用されることから,誤解を与えない表現を担当部局と検討したいと考 えています。  今後とも,本県の食品衛生行政への御理解と御協力をお願いします。 以上