ドローンパブコメ19/05/09から06/07募集


無人マルチローターによる農薬の空中散布に係る安全ガイドライン(案)についての意見・情報の募集について
受付番号 201906060000531218/531219/531220/531221
提出日時 2019年06月06日16時17分/16時18分/16時22分/16時25分
提出意見 その1
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【総括意見1】本件パブコメに先立ち、2月10日~3月11日に実施された「ドローンの農業利用の拡大に向けた規制改革に係る関係通知の整備に関する」パブコメ結果が公表されないまま、新たに ドローンのガイドライン案についての意見を募集し、7月1日から実施予定としているのは、拙速すぎる。無人航空機全般にわたる通知やガイドラインを同時に示されないと、まっとうな議論ができない。



【総括意見2】ガイドラインの施行を7月1日にすることに反対する。2020年度からにすべきで、その間、使用者や関係者だけでなく、環境保護団体を含めた農薬空中散布の影響を受ける住民に対し、十分な説明や研修などを実施すべきである。

 [理由]
  1、提案の概要にあるように、ガイドラインは、現行の「空中散布における無人航空機利用技術指導指針」(以下、指導指針という)にある事項の一部についてしか記載されていない。
  農薬の散布は、単なるドローンの飛行でなく、航空法での禁止事項(夜間飛行/目視外飛行/人又は物件から 30m以上の距離が確保できない飛行/危険物の輸送/物件投下)に該当するケースである。にも拘らず、本件のように、一部を切り取った不完全なかたちのでの提案は、農薬空中散布の危険性を無視したものである。
  特に、機体やオペレーターの認定等について触れていないのは、国による機体の認定や操縦者の認定を求めているわたしたちには、看過できない。
  指導指針については、これを遵守しない実施団体、防除業者やオペレーターには、飛行の許可や承認を規制又は禁止すべきと主張していることも付け加えておく。
 
  2、ドローンによる農薬散布面積は無人航空機全体の2%程度であり、大部分を占める無人ヘリコプター散布にについての指導が除外されている。

  3、本年の農薬空中散布はもう、はじまっており、その途中から、指導指針が別の内容に切り替わるのは、混乱のもとである。特に、無人航空機の空中散布の大部分を占める無人ヘリコプターが。指導指針を廃止し、新ガイドラインが施行された後、どのように指導されるかあきらかでない。

  4、農薬取締法第二十七条(農薬の使用に関する理解等)、第二十八条(農林水産大臣、環境大臣及び都道府県知事の援助)に基づき、農薬使用者への指導と使用者の理解に万全を期すべきである。



【総括意見3】わたしたちは、2月のパブコメで、意見を述べたが、その概要の主たる項目は、以下であることに留意されたい。。
 (1) 登録認定機関による農薬空中散布の代行申請は増やすべきでない
 (2) 散布計画の提出と散布の事前周知の徹底
 (3) 都道府県協議会に,農薬被害者や環境保護者をいれ、役割を明確に
 (4) 目視飛行・補助員ありを堅持し、広い緩衝地帯設置を
 (5) 無人ヘリコプターもドローンも危害防止の規制義務の強化を
 (6) 無人航空機事故報告は一元化すべき
 (7) 無人航空機による農薬散布業者の認定制度~国による機体の認定と操縦者の免許制度
 (8) ドローン機に採用されている自動操縦技術、農薬飛散防止の自動制御技術等の無人ヘリコプターへの導入



【総括意見4】ドローンを含む無人航空機の農薬散布においては、「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」(以下、遵守省令という)の下記条文が関係する。
 第二条(表示事項の遵守)/第四条(航空機を用いた農薬の使用)/第五条(ゴルフ場における農薬の使用)/第六条(住宅地等における農薬の使用)/第七条(水田における農薬の使用)/第九条(帳簿の記載)

 各条項にある努力規定は、遵守すべき義務規定として、違反すれば、農薬取締法の罰則を科するべきである。

 新ガイドライン案にそって、以下のような順で、意見を述べる

【1】<第2 空中散布の実施>について
【2】<第3 事故発生時の対応>について
【3】<第4 関係機関の役割>について
【4】<第5 情報管理>について

その2 【1】につづく

その2 受付番号 201906060000531218 からのつづき

【1】<第2 空中散布の実施>について
【意見1-1】遵守省令では、第四条で、航空機による空中散布計画の農林大臣への提出が義務付けられ、『対象地域において、風速及び風向を観測し、対象区域外に農薬が飛散することを防止するために必要な措置を講じるよう努めなければならない。』となっているが、ドローンを含む無人航空機についても適用すべきである。

  [理由]
   1、貴省は、2018年10月提案の遵守省令改定案で、『ドローンを含む無人航空機を用いて農薬を使用しようとする場合には、農薬使用計画書を提出しなければならないこととする。』としたが、その後、省令第四条は改定されず、ドローンを含む無人航空機には、この条項は適用されずに、地上散布と同列に扱われたままになっている。

   2、わたしたちは、遵守省令を遵守しない実施団体、防除業者やオペレーターには、飛行の許可や承認を規制又は禁止すべきと主張している。



【意見1-2】指導指針では、実施主体・散布者が、都道府県協議会や地域協議会に計画書を提出し、その指導を受けることになっていたが、ガイドラインには、協議会への届出の記載がない。
 この役割を担うため、農薬被害を受ける住民や環境保護団体を含む協議会をあらたに設置し、ここで、散布計画を検討すべきである。

 [理由]
   1、地散よりも、高い濃度の散布液を短時間で広い範囲に散布する空中散布では、住民や環境・生態系への農薬の影響が拡大するのに、地散のように、実施主体・散布者が、勝手に計画を立て、勝手に散布をしてよいということになってはならない。

   2、自からの個人圃場での計画しか眼中にない散布者に対し、空中散布の危被害を受ける住民、農業者、環境保護者等を含めて、地域での散布計画の内容を検討すべきであり、散布状況を総括的にみて、その可否を検討する場が必要である。

  3、いままで、都道府県や地域協議会が担ってきた役割をどこが行うか明確ではなく、地域での一斉散布で、個人の地上散布よりも、広い範囲の生活環境や自然環境への農薬汚染拡大が危惧される。

  4、散布関係者で構成された「ドローン普及のための官民協議会」の活動内容に『運行の安全に係る情報や事故情報の収集・会員内外への提供』とあるが、これが、実施計画の評価し、空中散布事故や農薬による危被害防止にどの程度役立つが明らかでない。


【意見1-3】実施計画の周知については、実施主体・散布者に計画の公表を義務付けるだけでなく、提供された情報を集約して、国民が、いつ、だれが、どこで、どんな農薬を散布するかわかるようなシステムをインターネット上につくるべきである。計画を公表・提供しない場合は、空中散布を実施させてはならない。

 [理由]
  1、実施主体が、散布地域周辺の施設の利用者、居住者等に対し、散布情報を知らせて、散布者と近隣で受動被曝を受ける人が、情報を共有すればいい考えでは、不十分である。
  2、実施に関する情報提供が、実施主体・散布者に任された場合、地域でのドローン散布状況を知りたい人は個々の散布者に尋ねることになりかねず、散布現場で、立て札や標識だけでは、他所から往来する人や通行車両には、散布情報が周知できない。


【意見1-4】実施主体・散布者には、非散布地域に、農薬が飛散したり、大気汚染で、健康被害が発生しないよう万全を期するこが義務づけられており、人や農作物、自然環境に被害を与えた場合はもちろん、散布情報の周知を怠った場合にも、ペナルティーを科し、以後、当該者の空中散布を禁止する必要がある。


【意見1-5】ドローンの飛行及び空中散布による農薬の飛散のトラブルや危被害防止のためには、目視飛行、補助員の配置が不可欠である。
 夜間や傾斜地・高所など目視出来ない個所での散布を規制すべきなのに、この点の記載がない。
 また、散布地内外のの安全性確保には、目視で架線や障害物を避けるだけでなく、飛行及び散布自体にプログラム制御の導入をはかるべきである。


その3 【意見1-6】につづく

その3 受付番号 201906060000531219   からのつづき

【意見1-6】いままでのような補助者がいなくなると、散布者がひとりでどこまで、散布中及び散布後に空中散布地域への人の侵入を防止できるか疑問である。
 散布時には、補助員による監視が必要であり、自動操縦による補助員なしの散布はやめるべきである。
 また、散布後の立入り禁止期間を明示した看板や囲みテープなどを現場に配置すべきである。

  [理由]自動操縦をひとりでする場合、操縦者から離れた地点の侵入認知が完全にはできない。また、散布後の立入禁止は現在でも防ぎ得ない。これらをどうするか、夜間散布の場合の認知はどうするかなど、具体的対応が示されていない。



【意見1-7】散布域に隣接して、非散布の緩衝域の設置を義務付けるべきである。これは、ドローンの墜落被害だけでなく、農薬飛散や大気汚染被害を防止する観点からも必要で、農薬気体分子や微粒子が漂わない広い幅が求められる。

  [理由]
   1、航空法では、無人航空機と人や物件との距離は30m以上となっている。

   2、内閣府資料によると、『飛行区域(農薬散布区域+反転飛行区域)の外側に人や車両の立入管理のための「緩衝区域」を設定する。』『緩衝区域は、接近する際の注意等を求めるもので、必ずしも立入りを禁止するものではない』『農地等の外側でも可』などとされており、ドローンの墜落やヒトとの衝突による被害防止対策の観点から考慮されたのは、散布高度5m以下の場合、額縁状の緩衝帯としては圃場周辺約4~11m程度になっている。水田のような平地での散布高度2m以下だが、樹木への散布では、10mを超える高さからも散布されるため、より広い緩衝帯幅が必要になる。



【意見1-8】ドローンの飛行速度、飛行幅などと気象条件や地形との関連から、農薬散布量をプログラムで自動制御する散布装置が開発されているが、この技術を無人ヘリコプターにも搭載するよう義務付けるべきである。
  たとえば、2m以上の高度を飛んだり、風速が強かったり、あるいは、学校、病院等の公共施設、家屋等あるいは有機圃場や対象外作物圃場が風下になる場合、散布装置から農薬が噴出できないようプログラムによる自動制御散布装置を義務付けるべきである。

  [理由]上記のような農薬散布量制御は、ドローンについて、すでに開発されている技術であり、無人ヘリコプターにも適用すればよい。



【意見1-9】空中散布による人畜の被害防止のため、散布しない旨の要請があった個所周辺では、散布を止めることを、実施主体・散布者に義務付けるべきである。

  [理由]無人航空機空中散布では、圃場に印をつけて、非散布個所を目視で、判別しているが、無人航空機搭載の散布装置に指示をあたえるプログラムを組み込んで、該当個所に散布しないよう制御することは、技術的に可能である。



【意見1-10】万一、ドローン飛行や農薬散布による危被害が発生した場合も対応する医療機関の明示を実施主体・散布者に義務付けるべきである。
  [理由]ドローン等で空中散布する実施主体・散布者は、散布農薬毒性についての知識をもち、健康被害が発生した場合の医療機関を熟知しておくことが重要である。



【意見1-11】ミツバチや人の散布地域からの退避が必要な場合は、実施主体・散布者の責任で、実施すべきである。

  [理由]ミツバチの被害や人の健康被害は、散布情報の共有化ができていれば。防止可能とされているが、被害を受ける人が、避難を余儀なくされたり、自から巣箱を移動せざるを得ないケースがみられる。

その4 【2】につづく

その4 受付番号 201906060000531220 からのつづき
【2】<第3 事故発生時の対応>について

【意見2-1】整備不良、異音、不時着、架線や障害物への軽微な接触も、事故と認識すべきであり、不適切な散布によるひとや作物、建物や物品への農薬飛散や環境・生態系の危被害(たとえば、住宅地・公共施設、有機農作物;非対象作物への飛散、通行者・車両の被曝、ミツバチなどの有用生物。水産生物や土壌生物、生活環境動植物、生物多様性・生態系への影響など。)も事故として報告を義務付けるべきである。


【意見2-2】上記事故や危被害は、専門家を含む第三者機関で、発生原因を科学的に調査し、結果を国民に公表すべきである。


【意見2-3】事故原因者である実施主体・散布者は、空中散布を禁止させ、認定証の剥奪、操縦禁止などペナルティーを科すべきです。また、ペナルティー該当者は、散布禁止後、再教育を義務付けることが、必要である。
 さらに、事故機体の製造メーカーの責任(自動制御の場合は、プログラム製作者も)を明確にすべきである。


【意見2-4】事故や危被害を報告しなかった実施主体・散布者には、散布は禁止を含むペナルティーを科すべきである。



【3】<第4 関係機関の役割>について
【意見3-1】新たに設置された「ドローン普及のための官民協議会」についての記載がない。同会は、農薬使用を推進する団体で構成されているが、農薬を食品や水から摂取したり、受動被曝を受ける一般国民、有機農業団体、環境保護団体らの声が届くようにすべきである。


【意見3-2】都道府県や市町村で、散布現場の状況を知るもの、地元の農薬被曝者や環境保護団体などを含めて、散布計画の内容を検討すべきである。


【意見3-3】機体等メーカーには、農薬散布に関する試験結果の公表を義務付けるべきである。また、機体や飛行・散布のプログラムを点検する第三者機関も必要である。



【4】<第5 情報管理>について
【意見4-1】農薬空中散布による事故や危被害防止のために、散布に関する情報開示が重要であり、 散布周知情報を個人情報保護の対象にしてはならない。【意見1-3】で述べたようなオープンなシステムにより、HPなどに地図入りで、公開することを義務付ける必要がある。


【意見4-2】事故については、再発防止のため、現状より詳細に事実関係や原因の報告を出来るだけ詳細に開示すべきである。現在、農水省と国土交通省が報告している事故報告を一元化することはもちろん、個人情報保護の名目で、事故状況の詳細報告内容の開示を規制してはならない。
  [理由]
   1、農水省は。毎年、事故情報をHPで公表しているが、開示内容は、1件わずか1行で、年月日/散布作物/事故概要/主な被害状況/主な事故原因の一覧表が示されるだけである。事故発生場所、散布内容もなく、事故発生時の状況も知らされないため、事故防止のため、具体的に役立つ情報とはいえない。
   ちなみに、国土交通省の事故報告は、農水省の報告にない事例が掲載されており、その一覧表は、下記のようであり、事故の概要も農水省より詳しく記載されている。
  発生日/飛行させた者又は所属団体等/飛行場所/機体(種類、特徴等)/ 事案の概要 航空法上の許可・承認の要否/許可・承認の有無/当局の対応 /報告された原因分析及び是正措置

   2、農水省の通知「無人ヘリコプターによる空中散布等に伴う事故情報の報告依頼について」(H23年1月28日発出の22消安第7704号)では、以下の記述があるが、第二項は不要と考える。
 『1 情報の利用 報告された事故情報は、農林水産省消費・安全局植物防疫課で管理し、事故発生を早期に把握し、事故情報の提供による注意喚起を行うとともに、収集された事故情報の分析を行い、事故防止のポイントを整理、公表し、事故防止へ反映するために利用する。
  2 情報の管理 報告された事故情報は、1の目的以外には使用しない。個人情報や特定の地域の情報等については、関係法令に基づき慎重を期して取り扱うものとし、提出された個票をそのまま公表することはしないこととする。』

以上