こんばんは!パンチョスたんげです!また懲りもせず小説なんざ書こうかと思ってます。
とりあえず予告編です。凸凹コンビのお話です。また思いつきで更新する予定です。
まずは序章をどうぞー!!

  序 章  

「おじさん!起きなよ!もう昼だよ。お客さん、応接室で待ってるから」
うるせえなぁー!このガキは!と思いながら頭がガンガン痛む。
「水をくれ!沙由理!」
「まったく!今日約束があるの解ってるんだったら、深酒なんてしないの!朝方だったよ!帰ってきたの」
うるせー小娘だ!
「いいから水だ!」
窓を開けると街の騒音がよけい頭に響く。熱風が部屋の中にムッーと入ってくる。しかし、この街はゴミ溜めだ!危険な香が充満している。まぁ、それだから俺もこの街で食えるんだから悪いことばかりじゃない。
「水、ここに置いとくね」
「サンキュー!沙由理!お客さんには今すぐ行くって言っておいてくれ」
「OK!頭に櫛ぐらい入れといた方がいいよ」
「解ってるよ」
鏡の前に立つ。くたびれてんなぁー。我ながら四十男の侘びしさが出てる。


沙由理がここに居着くようになって、もう三ヶ月がたつ。
あの晩も2軒目までは覚えている。
あの日、5軒ハシゴしたのは後から送られてきた請求書で判明したが、3軒目以降の記憶がない。
翌日、俺のベットで横にいたのが沙由理だ。
最近年のせいかこのパターンが多い。でも、ある程度まとまった金を渡すと、この街の女はアンッケラカンとして帰っていく。いや帰っていくはずだった。
しかし、沙由理は違った。
沙由理はシクシクと泣きながら
「だって、神野さんが無理矢理・・・・」と。
何?まったく記憶がないぜ!しかし、幼い。いくら俺だってこんな幼い女連れ込むはずがない。
「お前、年いくつだ?」
「16」
「16っていったら高校生か!」
「行ってないよ高校」
「じゃ何やってんだ?」
「プーだよ。プー」
「じゃ、これ持って行きな!遊び疲れたら家に帰るんだぞ!」
とサイフの中から・・・・・。カラだ。
「ちょっと待ってろよ」
ベットから出ると沙由理が「キャ!」と叫んだ。
「お前なぁー!昨日やったんだったら俺の裸で『キャ!』はないだろ?」
ほーら、やっぱり何にもなかったんだ!まぁ、こんなガキと何もないに越したことはない。俺は冷蔵庫のクアーズの缶に隠してある金を取り、
「ほら、金だ!」
数えもしないで無造作に渡した。
沙由理は再び泣き顔になり
「私、体売ったわけじゃないの!」
泣きながら万券を数える。恐ろしいガキだ!こいつは。
「とにかくこの金を持って家に帰るなり友達の所に行くなりしろ。ここは俺の自宅兼仕事場だからな!」
「でも、私帰るところないのよ!」
「親は?」
「いない」
「保護者は?」
「いない」
「じゃ、友達は?」
「いない」
「お前なぁー。表の看板見なかったのか?お前の事なんか調べるのは朝飯前だぜ」
「見たわよ!探偵でしょ!浮気調査とかやってるアレでしょ?」
「俺はなぁ、そんなみみっちい仕事やらないの」
「じゃ、おじさん。このお金は前金と言うことで、ここで仕事するわ」
「バカ言うなよ。第一お前に何が出来るんだよ!」
「仕事教えてよ!こう見えても頭いいし、体力も自信あるんだから」
「だめだ!いいか、おじさんの仕事はとっても危険なの!子供の手伝いなんて足手まといになるだけだ」
「一生懸命働くからさー!お・ね・が・い!」
「だめだ!」
「じゃ警察行こうかなぁー。昨日のこと全部話そうっと。未成年とソウイウコトして、このお金証拠に見せたら。ほら、何とかって罪になるんじゃない。ねぇ?」
このガキ万券広げて笑ってやがる。しかし、参ったなぁー。昨日の夜の記憶なんてないからなぁー。
「解った。解った。働くのはいいけど邪魔するなよ!あと住むところはこれで確保しとけ!」
クワーズの缶ごと渡した。多分80万位入ってるはずだ。これでトンズラでもしてくれれば、まぁ良しとしよう。
沙由理は5万だけ取って、クワーズの缶を俺に渡す。
「これでベット買ってくるよ」
「なに?何言ってんだお前は!」
「それで決まりね!一部屋空いてるみたいだし」
確かに一部屋空いている。だからってこんな小娘のために空けてた訳じゃない。
「あーっ!女の人いるんだ。おじさん年の割にはモテそうだから」
「お前なぁー。いい加減にしろよ!大人をからかうもんじゃない」
ほんとは一ヶ月ほど前に他の男と出来ちまって女に逃げられたなんて、言えないよなぁー。もしかしたら帰ってくるかも知れないなんて・・・・口が裂けても。しかし、デリカシーのないガキだ!
「警察どこだっけー?一番近いところ!新聞なんか載ったりするかもよ!顔写真付きで!」と不敵な笑みを浮かべる。
たちの悪い恐喝だぜこれじゃ!俺が警察に訴えたいよ!
「勝手にしろ!」
「勝手にするわよ!神野雄一探偵事務所かー!ベタな名前ねー」
「大きなお世話だ!それにしても何で俺の名刺を持ってる!」
「昨日くれたじゃない」
俺が?街で逢った小娘に!名刺を・・・・。やるはずないじゃん。
「これに秘書って肩書きで名刺作ろうっと!」
「勝手な真似・・・」
「勝手にしろ!って言ったのはおじさんの方よ!」
沙由理がクスっと笑う。
早いとこ親でも見つけて引き取りに来させよう。まぁ、それまでの辛抱だ。


あの日から、飲んだくれの四十男と野良猫小娘(自称16才)の物語りは始まった。



 

 

 

  

 

       

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