A-35:借入れ

     

    401(k)プランは、その加入者自身の口座の資産を担保に借入れをする事が出来ます。これは経済困窮時の資金引出しと同じ目的で加入者が利用できるようにと、401(k)に認められた制度ですただし、これを実施する為にはプランドキュメントに記載する必要があります。

    借入金の場合は、プランドキュメントにしたがって返済される限りは、プランからの引出しとみなされないので、ペナルティー税が掛からない分、経済的困窮時の引出しより加入者にとっては有利な制度といえます。

    借入金の使用目的は自由ですが、老後準備資金を担保にしますので、利用する際には以下のような借入れ条件が決まっています。

     

     

    借入れの意味:

    加入者にすれば自分の資産を一旦引出して流用しているようにも見えますが、プラン側から見ると、加入者の年金資産という個人財産を担保に“貸付運用”しているわけですから、借入れをしている間も、加入者の資産は休まず運用を継続しているのです。つまり、利息をつけて返済する事は、プランから見ると利息収入がある事に他なりません。

    ただし、ここで注意すべきことは、それまで、運用していた資産、それが株やミューチャルファンドなど現金以外のものであれば、プランはそれを一旦売却して、現金化した上で貸し付ける事になりますから、借り入れをしている間、加入者は担保分について資産運用の選択権が無くなります。

    また、担保に供される年金資産が、加入者の個人資産という考え方から、企業拠出分は受給権の発生したもの、即ち、会社資産から従業員個人資産に転化した分が担保の対象になります。

     

    借入金額:

    最低借入額は1000ドルです、あまり小額だとプラン側の事務負担が増え運営コストがかさばるからです。

    最高借入金額は5万ドルか受給権が付与された年金資産の50%のどちらか低い金額、但し細かな規則がありまして、下記の@とAのどちらか低い金額

    1. 5万ドルから{(過去1年間で最も借入金が脹らんだときの残高)−(借入れ時現在の借入残高)}を差し引いた金額
    2. 受給権が付与された年金資産残高の50%か1万ドルのうち大きな金額から借入れ残高を差し引いた金額

     

    利息:

    適切な水準とは、市中金利に近いという意味です、実際にはプライムレートに1%上乗せした水準が一般的です。

    返済期間:

    原則5年、但し、主たる住居の購入を目的とした借入れの場合は、10年から30年までの期間設定が可能となります。また退職時はまとめて返済する必要があります、もし返済できない場合は、プランからの引出しとみなされ、所得税が課せられ、さらに59.5歳未満の場合は10%ペナルティーがかかります。

     


    容易に借入れが出来る事についての警鐘:

    1996年10月29日の日経にオハイオ州の地銀バンクワンが運用機関との提携で積み立て残高の40%または1万ドルを超えない範囲で手軽に401(k)からローンを組めるクレジットカードを考案したのに対し、米議員が借入れは住宅購入資金や緊急医療費などに限定するという規制法案を提出して阻止を図ろうとした、との記事がのっていました。

    銀行などからの借入れと違って、401(k)の借入れはあまりにも自由に出来る為、特に低所得者層にとっては、返済が滞り老後資金を失う事態も起こり得ます、従って個人の年金資産を守る為にも規制しようという動きがあります。

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