企業拠出分の受給権について、若干の例外的取り扱いを述べてみます。
例えば、61歳の従業員が入社して65歳で退職するとします、その会社で5年Cliff型受給権スケジュールを採用している場合は、退職時にはまだ受給権が与えられていません。このように、老齢の従業員の入社・退職にあたっては、これら受給権スケジュールは不利に作用しますので、ある程度高齢な従業員の退職時には受給権スケジュールを満たさなくても、100%受給権を付与する規則が必要です、この規則をノーマルリタイアメントによる受給権付与といいます。
言い換えると、ノーマルリタイアメント年齢とは、退職時に、勤続年数が受給権スケジュールを満たしていなくても100%受給権を付与することができる年齢という事になります。一般的には65歳であり、プラン・ドキュメントではより若い年齢を指定することも可能です。
ところで、なぜノーマルリタイアメントなどと、回りくどい表現になっているかというと、米国では、従業員の採用時に年齢の差別をしてはいけないという法律(年齢差別禁止法)ができ、高齢という理由で採用を断ってはいけないし、入社後も高齢だから退職しなさい(日本での定年退職はこの様な表現になります)ということも違法になりました。そこで常識的に見て、引退するのが妥当な(ノーマルな)年齢をノーマルリタイアメント年齢と定め、この時点で受給権を100%認め、希望すれば給付金を受取れるようにしました。このように、従業員側から自主的に退職を申し出る方法ではあっても、実質的には定年退職であるような規則をノーマルリタイアメントと表現するようになりました。
企業拠出分の受給権を100%付与するもうひとつの例外的取り扱いは、アーリーリタイアメントの規則です。例えば、「55歳以上かつ勤続5年以上」と規定されている場合は、65歳のノーマルリタイアメントの年齢になる前に受給権が100%付与される事になります。
このアーリーリタイアメントの効果を考えてみますと。かりに7年段階型受給権スケジュールを採用しているところで、上記のノーマルリタイアメント、アーリーリタイアメントの規定があるとすると、入社年齢が55歳から60歳までの従業員については、5年勤続する事で受給権が100%付与され、61歳以上の入社従業員にとっては、65歳になった時点で受給権100%が付与されます。この事からかかる規則は企業にとっては高齢な従業員ほど退職する条件が整い、若年ほど勤続を促進させる効果があります。
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