401(k)プランの加入者がプランから給付を受ける権利の事を受給権といいます、そしてこの受給権が問題になるのは事業主の拠出分だけです。もとより、従業員拠出分はそれが課税前拠出であろうと、課税後拠出であろうと従業員の所有財産を拠出しているのですから、給付を受ける権利は拠出した従業員に100%付与されることは当然です。
ちょっと横道にそれますが、確定拠出型プランの場合この受給権に関連して自己の給付した年金資産に対する所有権の存在がプランの管理・運営に対して大変大きく影響しております。従業員拠出に関する限り、プラン側は従業員の私的財産を預かる、まさに受託しているのですから、私的財産に損害を与えないように、慎重に保管する責任が発生します、それを実行するルールがプルーデントマン・ルールにほかなりません。 次に、プラン内に従業員の個人別の口座を設けて、拠出分と現在残高が記録されている事も、個人の財産を預かる以上当然のことといえます。そして、年金資産の運用選択を個人が自由裁量で行えるのも、自分の財産を自分で管理するという立場からこれも当然な事といえます。
ただし、運用については、投資そのものに関心の無い人や、苦手な人もいるのですから、そのような人が運用の専門家に全部任せてしまいたいという事も考えられます。この場合、年金資産に損失が発生した時に、任せた従業員個人がその受託者を訴える事ができるかどうかという事が非常に問題になりますが、その判断は、受託者がプルーデントマン・ルールに基づいて、最善の手続きを取ったかどうかにかかってきます。
従って、受託者が最善を尽くしている場合、従業員としては「専門家に任せたのだから、私には損について責任がありません、受託者、あなたのせいです」という事はいえず、リスクのある資産を運用対象として選択した場合は、投資知識の有無に関わらず自己の財産についての管理責任は負わねばいけないというのが所有権者の権利に付随する責任であり、確定拠出プランの基本的な考え方だと思います。
さて、企業拠出分の受給権ですが、以上の見方をすると、受給権が100%付与された資産とは、企業拠出の資産が100%従業員の所有財産になったという事に他なりません。ちなみにこの受給権という言葉は英語ではVestingという語を用いますが、この語の意味はまさに「(所有の)権利を与える」という意味でありまして、日本語の「受給権」から連想されるような、プランから年金資産を引出す権利という意味とはニュアンスが違ってきおります。
この受給権付与については一般に二種類の方法がありプランスポンサーが選択できます。
どちらの方法も、従業員に長く勤続をしてもらう為の施策になります。
| 勤続年数 | 受給権 |
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| 1年未満 |
0% |
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| 2年未満 |
0% |
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| 3年未満 |
0% |
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| 4年未満 |
20% |
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| 5年未満 |
40% |
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| 6年未満 |
60% |
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| 7年未満 |
80% |
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| 7年以上 |
100% |
| 勤続年数 | 受給権 |
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| 1年未満 |
0% |
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| 2年未満 |
0% |
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| 3年未満 |
0% |
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| 4年未満 |
0% |
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| 5年未満 |
0% |
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| 5年以上 |
100% |
以上は加入者にとって、一番厳しい受給権の付与の方法であって、これより厳しく、例えば6年 “Cliff型”受給権スケジュールや10年段階的受給権スケジュールを採用した場合は、税制適格が否認される。またここでの年数とはあくまでも、勤続年数であって、プランに加入した年数では有りません。
企業拠出分のうち、受給権が付与されず、退職従業員の所有にならなかった部分の資産はどのように扱われるのでしょうか? もとより、企業拠出分は拠出した時点で企業の所有権から離れます、この事を原因として税制上企業拠出分は損金に参入されるのですから、従業員の所有財産にならなかったからといって企業の所有財産に戻る事は有りません。ですから、この資産はプランが一旦、没収(forfeitures)して、残りの加入者へ報酬額に応じて割り当てるか、企業拠出金の財源に当てるかの方法で処理されます。