米国の企業年金を規制する法律に、エリサ法(Employee Retirement Income Security Act of 1974)が有ります、拠出した資産の運用については従業員の自己責任が原則の確定拠出型の企業年金ではあっても、プランを提供する企業にプランの運営・管理の大枠の責任を負わせる仕組みが有り、それがこのエリサ法で規定されています。
基本的に企業が負うべき運営上の責任は受託者責任(Fiduciary Duty)と呼ばれます。では、受託者とは誰なのか?受託者責任とはどのような責任なのか見ていきましょう。
受託者とは401(k)プランではプラン管理者(Plan Administrator)またはトラスティー(Trustee)という立場の人で、いわゆるプランを設定する企業側に属します、エリサ法ではこれら受託者の拠出された年金資産の運用についての基本的な指針が定められており、これに違反して、プランに損害を与えたり、自らを利する事をした場合、受託者が厳しくペナルティーを受ける事になります。
受託者責任としては大きく4つに分かれています
エリサ法の404条(a)(1)で、受託者は、「加入者および給付金受取人の利益のためにだけに行動しなければいけない」と定めて有ります。これは、受託者は自分自身または利害関係者の利益のために行動する事を避ける目的があります。さらに、404条(a)(1)(A)で、受託者は「加入者および給付金受取人へ給付金を提供する事、プラン運営にかかる妥当な費用を支出する事のみが目的」と活動目的を限定的に規定しております。
エリサ法の404条(a)(1)(B)では「受託者は同じ程度の能力があり、同じ程度問題に精通している慎重な人(prudent man)なら発揮したであろう注意、技術、慎重さ、勤勉さをもって責務を果たさねばならない」といういわゆるプルーデントマン・ルールが規定されています。
さらに404条(a)(1)(C)では、「受託者はプラン資産を分散投資しなければならない(ただし分散投資をしない場合が明らかに慎重である場合を除いて)」という分散投資義務が規定されています。
これは、1960年代にポートフォリオ選択理論が発達し、その理論を背景に分散投資が義務づけられ更に、分散投資する事がプルーデントな対応につながるという考え方が背景にあります。
その理論の骨子は「単一では一定のリスクのある投資対象でも、同時には値動きのリスクが幾分でも相殺される(一方が値下がった時に片方が値上がる)投資対象ならそれ等を組み合わせ、投資資産に組込む事で、リスクの軽減と運用成果を同時に実現できる」という内容であります。
さいごに、「受託者は、プランドキュメントに従う事、ただしエリサ法に矛盾する免責条項は無効」という内容が404(a)(1)(D)項に記載されています。
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