J-15:年金債務と企業会計

    2001年3月より、年金債務を企業会計上の負債に計上する会計の新基準を適用する事になりますが、具体的にはどのような考え方で企業会計に反映させるのか見て行く。

    労働債務とは一言で言うと従業員の労働の対価として企業が支払う従業員給付の内、未払いになっているものを指す。

    ところでこの従業員給付だが、我国の新会計基準の前提となる国際会計基準(IAS)では従業員給付について幅広く考えられている。給与はもちろん、従来、退職給付といわれる、年金、退職一時金のみならず、有給休暇・疾病休暇・ボーナス・ストックオプションなども含まれている。

    国際会計基準では、少なくとも退職一時金も年金も退職給付として差がなくなってくる、また退職金の性格も日本で一般的な功労報償説では説明がつかなくなり、明確に賃金後払い説にならざるを得ない。

    退職一時金も年金も企業が債務とするためにはその前提に従業員に対して支払いの約束がある、退職金の場合は退職金規定であり、年金の場合は確定給付型年金(法律、その他規則により給付金を定めている)である。

    【年金財政上の負債】
    年金財政上ある特定の時点での 年金給付を支払うために必要な 資金額を、責任準備金と呼んでい ます。
    現物の年金資産が責任準備金を 割り込んでいる時にその差額を 積立不足金とよんでいます。
    この積立不足金は企業会計上の 年金債務とは若干相違があります。 というのは、同じ給付水準であっても財政方式によって、責任準備金のレベルが違ってくるからです。企業会計場の年金債務は財政方式の違いによらず、同じになるように計算されます。

    因みに、責任準備金とは@将来給付額の現在価値からA将来掛金の現在価値を差引いたものです。 図では、運用利回りを0%で見ていますので、将来価値=現在価値となっています。
    @ 将来給付額は1000万円、現価も同じ、A将来掛金は300万円拠出しますから、現在価値は300万円、
    @1000万円−A300万円=700万円となります。

    上記の計算方法は将来法による責任準備金の算出という方法でしたが、結果として、過去に支払った掛金700万円の現在価値と一致しました。

    【会計上の負債】
    原則は「従業員が将来支払われる従業員給付と引き換えに役務を提供した場合は債務と認識する」、でありますから、将来給付を拠出期間に振り分けて、その給付の現在価値が労働債務となる。例では、@将来給付額1000万円を拠出期間である10年に振り分ける、A10等分の給付を各々拠出時点ごとの現在価値で割り振る。

    分かり易く、運用利回り0%とすると、 どの拠出時点でも100万円の現在価値だから 7年め拠出時点では700万円の 労働債務になる、この時点での年金資産 が労働債務より少ない場合は 積立不足という事になって、 本体企業で負債計上される。

    さて、仮に資産運用の予定利回りが5%と すると、第一年めの掛金は613,913円に なりますが、これは、この金額を元本に10年間 運用すると1,000,000円になる事を意味します。

    先ほどと同様に7年目での 労働債務を計算すると、 6,046,863円になります。 計算方法は各々の掛金を第7回の 掛金を拠出して一年後まで複利で 運用するものとする。

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