J-14:代行部分

    厚生年金基金の主要な年金資産は代行給付分です、厚生年金基金の資産45兆円のうち27兆円が代行部分の資産であるとみられます。制度当初は予定利率より高い運用利回りが実現でき、公的年金の掛金増額と退職金準備の企業負担を調整する意味で、公的年金の一部を企業が肩代わりして私的年金の一部に充当する事は当時の状況を考えると抵抗が無かったように思う。

    第一に経済的にも高度成長期に入っていて、団塊の世代が社会人になり、年金加入者(被保険者)増加が見込まれる。その後の数字の伸びを見ると昭和45年までは飛躍的に、現役世代が増加している。

    昭和被保険者数(千人)
    3511,978
    4018,670
    4522,522
    5023,893
    5525,445

    一方、運用環境はどうかというと、平成5年まで厚生年金の予定利率である5.5%を割ってはいませんから、年金数理上の積立不足は起きていません。しかし昭和48年から50年までの2桁のインフレに対しては、基金、年金とも積立分に実質価値の減価が起きたはずだが、本体の厚生年金の方で物価スライドを採用して、給付金の水準をあげ、その負担を加入者の掛金をアップする事で吸収した。

    昭和消費者物価前年比
    給与伸び
    預託金利プライムレート厚生年金
    利回り
     
    353.64.96.009.135.88
    406.68.76.508.706.37
    457.716.66.508.506.46
    5011.718.18.009.906.93
    557.75.78.009.507.05
    平成7−0.12.14.654.505.24

    以上の考察から、過去には高金利、であればその他の基礎率で差損が出ない限り、年金数理上は名目価値が保つことができた。インフレ時は実質的には年金資産が目減りすれども、インフレと給与の伸びが均衡しているため、同じ掛金率であっても実際の掛金収入が増加する、一方給付は物価スライドされないので実質的には給付金が目減りする事になるので、基金資産は目減りの問題が表面化しなかった。

    さて、それでは現在何故、積立不足が問題になるのか?

    1.運用利回りが予定利回りを割っている事
    この場合は、「給付=掛金+運用益」という簡単な収支相当の原則より、予定している運用収益が得られないのだから、結果として積立金が不足する。

    2.デフレ経済で給与の伸びが見られない
    基金での給付金は物価スライドが無い、即ち、給付金は物価の影響を受けないのに対して、掛金は物価、ついては賃金上昇率に依存するから、もし、給与が上昇していたなら積立金の運用損は軽減する効果を持つだろう。しかし、デフレ経済では来すべくもない。

    3.労働生産性アップとリストラ
    企業の現場では情報システム投資、機械化や従業員のスキルアップにより一人当たりの生産性が上がり、雇用数を減少せしめる。この場合、衰退産業でもそうでなくても、雇用数を減らす企業では、加入員が減少し掛金収入が減る。その時点で過去勤務債務の未償却残があると、年金基金の資金繰りは一気に悪化する。

    4.過大な年金資産<BR> 代行部分はもし、その分が厚生年金のもち物であったなら、運用差損は国が被る事になる、しかし代行として預かっている以上は当該の企業がその差損をうめなければならない。本来は国の資産なのだから代行部分を返却しようという動きが起きている。

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