厚生年金基金は厚生年金法に規定されている、何故、企業年金である厚生年金基金が公的年金の規定法に定められているのか?何故、厚生年金基金が調整年金と呼ばれるのか見ていきたい。
日本の公的年金制度は当初は軍人、官吏の恩給制度から始まり、数々の恩給、共済がありましたが旧国家公務員共済組合法(昭和23年)、地方公務員共済組合法(昭和37年)、国家公務員共済組合法(昭和59年)として統合され、現在に至っている。
一方、民間の年金制度は船員組合法(昭和15年創設、昭和61年職務外年金部門を厚生年金へ統合)が先に創設されたが、労働者年金保険法(昭和17年)が厚生年金の前身として、男性労働者を対象に発足された、この時点での財政方式は平準保険料方式が採用された。これは完全積立方式であり、現在のような世代間扶養型ではなかった。昭和19年には旧厚生年金保険法に改称、女性労働者も対象になった、この時点での掛金率は給与に対して11.0%(平準保険料方式)であった、
昭和23年、戦後のインフレに対処するため、積立水準を必要額の1/3まで抑えられた。
昭和29年、給付体系を大きく変えた、加入者のすそ野を広げるべく保険料を平準保険料方式で算出された4.1%より低い3.0%を採用した。一時的に賦課方式に傾斜し将来は積立方式に戻す考えがあった。従って将来、完全積立方式へ保険料を戻すために、この時より段階保険料方式と呼ばれている。
昭和30年代にはいると、厚生年金基金の問題が浮上してくる、厚生年金の給付水準が公務員の年金である共済年金に比べ低い水準であるので、給付と掛金を厚くする動きが出たが、企業側の対応としては、「掛金増額については、従来積立ててある退職金との調整をしないのは非現実的(日経連 昭和34年)」とし退職一時金準備資金を厚生年金に利用する事をほのめかした、労働者側では調整は絶対反対と表明。 日経連の試案によると、「厚生年金の報酬比例部分以上の充実した内容の企業年金を持つ企業での厚生年金は保険料を一部免除する」というもの。
昭和40年厚生年金基金制度の法案可決、厚生年金の保険料の一部を免除し、その分(免除保険料)を厚生年金基金へ拠出し本体の報酬比例部分の代行部分とする。基金はさらに代行部分の3割以上の上乗せ支給部分(付加部分)を持たなくてはいけないので、その分は企業が独自の掛金を拠出する。
昭和40年、標準保険料を採用した、厚生年金基金の代行部分は企業年金として平準保険料
方式を採用せねばならず、本体の財政方式は昭和29年より賦課方式を交えた段階保険料方式であり、このままだと整合性が取れない。そこであみ出したのが標準保険料方式であり、考え方は厚生年金内部には賦課方式と事前積立方式があり報酬比例部分は厚生年金基金と同じ財政方式をとっているため整合性が取れているとされているものです。(筆者はこの一点については論理的に理解できない)
この場合も採用保険料率は5.5%と平準保険料方式で計算した料率6.9%より低くなっている。
昭和48年、報酬比例部分の給付金額の算出に標準報酬の再評価(過去に支払った報酬を現在の物価水準で再評価して給付金額を個別に調整するもの)と物価スライド制を取り入れた。しかし、この考え方は賦課方式によらねば解決しない給付法であり、完全積立制を原則とする厚生年金基金にはなじまないため、標準報酬の再評価、物価スライドは厚生年金本体で行う事になった。
(消費者物価指数:昭和48年11.7%、49年 23.2%、50年 11.7%)
ところで、この時点では段階保険料方式の最終保険料率はで19.6%(平成22年)となっている、採用料率7.6%(10.5%平準保険料方式)
昭和60年は厚生年金の大きな転換期で、国民年金を全国民共通の基礎年金と位置づけ、厚生年金、共済年金などの定額基礎部分とした。
現在も段階的保険料方式は変わらず、ピーク時2025年に34.5%まで上昇するという、因みにこれらの保険料計算の予定利率は5.5%を前提にしており、予定利率の悪化が掛金をあげているのではない。