開放基金方式は厚生年金基金で主に採用されている財政方式です。
はじめに開放基金方式の前提となる開放型総合保険料方式を説明後、開放基金方式を説明したく思います。
企業年金の財政方式とは、前提となる給付金額にたいして、掛金をどのように設定するかということです。財政方式の違いとは同じ給付に対してどのように積立てるかという事であり、給付そのものは異なる財政方式の間で違いが起こりえません。
積立方式の場合、運用利回りをゼロに仮定した場合、制度へ新たに加入する人数と制度を脱退する人数が等しくなり、全加入員が制度にいる期間が等しい状態(定常状態)では、加入員個人個人では自分の負担した掛金総額を受取る事になります。
【ケースA】
この定常状態をイメージする上で下の図を参照してください、例として五年で退職する企業があって制度創設時は加入者がなく、一年毎に一人づつ加入して、五年加入した後で初めて一人目の

の受給者が出現する、この時に年金原資500万円を給付するとしたなら、運用利回りを0%とするならば、一年間の掛金は100万円となり、将来とも、毎年同じ人数が加入し、5年経過した人が脱退するならば、何の問題も無く、総掛金掛金500万円、総給付500万円とバランス良く循環していきます。
【ケースB】
しかしながら、現実には上記のような制度開始はありえないわけでして、次のように、制度設立時には既に勤務している人がいます。即ち過去勤務債務が発生しております。

制度創設時既に5人の加入者がいて、一年後に一人脱退して給付金500万円を受けます、二年後にもまた受給者へ500万円給付します。しかしながら、上の図より分かるとおり、黄色で記された加入者は制度創設後五年未満で受給者になっていますので、これら拠出期間の短い加入者は自分たちが支払った掛金よりも多く受取っている事になります。それにより、この場合年金制度全体の積立分がケースAより少なくなってしまします。
ケースAとBの積立の推移を見てみましょう。
【ケースA】
| 創設年 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | |
| 拠出 | 0 | 100 | 200 | 300 | 400 | 500 | 500 |
| 給付 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ▲500 |
| 積立 | 0 | 100 | 300 | 600 | 1000 | 1500 | 1500 |
【ケースB】
| 創設年 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | |
| 拠出 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 |
| 給付 | 0 | ▲500 | ▲500 | ▲500 | ▲500 | ▲500 | ▲500 |
| 積立 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 |
さて、開放型総保険料方式とは、制度創設時に過去に勤務期間を持っている加入員の過去勤務債務を現在の加入員で負担せずに将来永久に加入してくる加入員の掛金によって賄う事を前提に掛金を設定する財政方式です。
この場合過去勤務債務を永久償却するといいます、運用利回りが仮に10%とすると、ケースA(過去勤務債務が無い場合)の積立金1500万円にたいして年間150万円の運用益が発生しますが、ケースB(過去勤務債務がある場合)では積立金500万円にたいして50万円しか運用益が発生しません。
そうすると、ケースAもケースBも同じ掛金にすると、ケースBでは毎年100万円ずつ積立金が減りますので、この100万円だけ基金に別途拠出しなければいけません。この100万円は実は過去勤務債務合計の利息部分に相当します。
| 過去期間 | 勤務債務 |
| 4年 | 400万円 |
| 3年 | 300万円 |
| 2年 | 200万円 |
| 1年 | 100万円 |
| 合計 | 1000万円 |
さて、開放基金方式とは、この開放型総合保険料方式を基本として過去勤務債務を20年とかの期間で償却する財政方式であります