J-09:適格退職年金(適格年金)

    適格退職年金は厚生年金基金とならんで日本の代表的な確定給付型年金ですが現在様々な問題をかかえ、年金を脱退するケースが増えてきている。

    問題の最大のポイントは運用環境の悪化です、現状では5.5%を運用する前提(予定利率といいます)で掛金を計算していますが、資金の運用機関である生保が5.5%を確保できたのは93年度までで、94年度からは運用の保証利回りは4.5%へ下げ、96年度からは同2.5%、さらに99年度からは同1.5%まで下げられる(一部2.5%、1.75%の生保もある)

    予定利率を一定にして、実績利回りが下回ればその分、積立て不足(後発過去勤務債務)となって、その分を企業が負担する必要がある。その企業負担を軽減するために対策が講じられる。

    96年7月:大蔵省適格年金制度等研究会の報告書 @予定利率5.5%の見直し、A給付額の引き下げ、B積立金に対する特別法人税の撤廃などです。

    ● 通常、適格年金では1%の予定利率を引き下げると20%掛金が上がるといわれる、給付額の引き下げなく予定利率を下げては、企業の負担は変わらないので、給付額も同時に引き下げられる事がうたわれている。因みに現在は財政再計算の時に限り予定利率を弾力的に変更できる

    ● 特別法人税とは年金資産にかかる税金の事で法人税、法人地方税合わせて、1.173%かかっている、実質運用利回りは運用機関の利回りからこれを控除するので、1.5%の例では0.327%しか運用されない事になる。

    ● 特別法人税の本質は従業員の所得税です。といいますのは、企業負担の掛金は本来従業員の給与になるべきところ、そして給与には所得税が課されるべきところを年金受給まで所得税を猶予するので、その猶予の利益に対して年金資産に課税をするという考え方である。しかし、第一年目の掛金は38年後に給付を受けるまで 1.173%×38回=44.574%も掛金と運用利益に課税されるのある。

    ● 特別法人税は適格年金にだけあって、厚生年金基金との間で整合が取れないといわれる、実質的にはそのとおりだが、厳密には厚生年金基金にも特別法人税はある、しかし、代行部分の2.7倍まで非課税。

    96年10月大蔵省内で適格年金は退職金か年金かの議論が起こっている。厚生年金基金は終身年金で受取るのが一般的なのに対し適格年金は有期型年金または全額一時金で受取る事が可能なところから

    @ 退職金であれば企業が体力に応じて損失の穴埋めをすれば良い、
    A 年金であれば最低限の年金を支給できる支払い保証制度を設ける必要がある。

    制度ができた経緯から退職金と年金の両方の性格があり、日本の退職金が功労報償説に固執するかぎり、年金と退職金の矛盾は解決しない。年金には加入者の受給権があり制度はこれを確保または保証する必要がある。しかし、功労報償説では退職時での企業側からの評価で功労が無かったとみなされた場合、受給できないこともある。適格年金の年金受給権は一般に20年となっていますが、これは厚生年金基金に比べて長すぎます。

    98年6月適格年金が減少している、97年度の減少年金数は1933で残年金数は88,310、残加入員は1046万人、原因として超低金利が続く事による年金資産の悪化、年金が存続していれば企業が不足分を補填するが倒産したり、制度を廃止する場合は、この不足分が補填されず、加入者は予定していた年金を受取れなくなる。

    確定給付型年金である、厚生年金基金は監督官庁は厚生省で厚生年金法で制度の運営、責任がある程度決まっている、適格年金については、監督官庁は大蔵省だが税法で保険料の取り扱いを優遇する適格要件が規定されているだけで、制度として加入者の受給権、制度終了の要件が規定されているわけではない。税制適格が否認されてしまえば単なる私的契約の年金になってしまい、公的な安全装置は働かない。

    このような制度間の規定のばらつき、加入者保護の水準のばらつきを統一し、更に、現行の制度の不整備を改善するために、厚生省、労働省、大蔵省が連携して「企業年金基本法(仮称)」の策定に乗り出した(97年度末)、当初、現行年金制度の統一を目指したが今後は2000年度中に導入を決めた確定拠出型年金も含め企業年金全体を対象にする基本法をさくていする予定。

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