J-07:退職給与引当金

    退職給与引当金は退職一時金を実現する直接的手段です。

    退職一時金は退職時に発生する費用で企業にとっては馬鹿にならない大きさの費用ですから一時に発生しては企業損益を悪化させてしまいます。また、実際に支払う場合でも、一時に多額の金額を支払う事は企業の資金繰りに悪影響を与えます。

    以上の理由から、一時的な費用を長期に亙って均等に費用化する手段が退職給与引当金です。
    しかしながら、この退職給与引当金は支払手段にはなりません、社内準備型というのは現金が社外に流出することなく会計上損出(引当金繰り入れ損)を計上し、引当金という負債を計上するだけです。引当金という負債勘定の相手方は在庫資産であったり、工場設備であったりします、この様な問題があるため、支払手段のためには、預金や生命保険等、流動性の高い金融資産で別途準備しなければなりません。

    ところで退職金制度を利用している企業の割合は全国で88.9%、うち退職一時金のみは47.5%

    企業規模

    平成9年
    退職金
    制度が
    ある企業
    (全企業中)

    退職一
    時金制
    度のみ
    の企業

    退職年
    金制度
    がある
    企業

     

    退職年
    金制度
    のみ

    退職一
    時金制
    度との
    併用

    全社

    ( 88.9)

    100.0

    47.5

    52.5

    20.3

    32.2

    1,000人
    以上

    ( 99.5)

    100.0

    9.6

    90.4

    22.7

    67.7

    300〜
    999人

    ( 97.7)

    100.0

    17.6

    82.4

    31.2

    51.3

    100〜
    999人

    ( 95.9)

    100.0

    35.2

    64.8

    23.1

    41.7

    30〜
    99人

    ( 85.7)

    100.0

    56.1

    43.9

    18.2

    25.8

    (平成9年労働省調べ)

    国税庁の平成7年の調査によると、退職給与引当金の利用企業は111、660社で引当金の期末残高は13兆6176億円(97年度の企業年金の基金残高は適格退職年金の19兆1556億円、厚生年金基金は48兆6951億円)

    退職給与引当金の制定方法
    この引当金は企業が勝手に行うわけにはいきません、第一条件に「退職給与規定」があって退職金の算定が可能でなければいけません。
    次に以下の三つの計算をして最小の金額を選択できます。(労働協約による退職金の場合は@とAが対象)

    @ 要支給額基準
    従業員が一斉に退職したと仮定して支払わなければいけない退職金を退職金の要支給額といいます。これを昨年と今年の要支給額を比べ今期増額した分が当期の引当金積み増せる金額です。 ところで、要支給額を計算する時は昨年と今年で在籍人数が違ってはいけません、昨年末いて今期退職した従業員については、前期の引当金から控除しておきます。

    A 累積限度基準
    当期末の要支給額の40%までしか引当金は積み増しできません、そこで当期の要支給額の40%が前期の引当金より多ければその差額が引当金として積み増せる金額です。

    B 給与総額基準
    これは、退職金が賃金の後払いであるという考え方に立脚しています。即ち今期従業員の給与の6%は退職金のために拠出したものという考えで、給与の6%を引当金の積み増し金とします。

    退職給与引当金は昭和27年の税制改正で創設された、当初は一斉退職時に必要となる退職金総額の100%まで無税で引き当てることができたが、昭和31年度改正で50%、昭和55年度は40%まで損金算入枠が押さえられ、98年度は20%まで暫時圧縮していかなければならなくなった。

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