J-06:退職後収入としての手段

    退職後収入の手段はいわゆる退職金、厚生年金基金、税制適格年金などがあるが、大別すると社内で準備する、社内準備型と社外に積立てる社外準備型があります、社内準備型の代表的なものは退職給与引当金です、社外準備型はいわゆる、企業年金で、厚生年金基金、税制適格企業年金が代表です。

    退職一時金制度
    退職一時金制度は日本独特の制度であり、退職給与引当金はその直接的準備手段となる制度でありますし、後述するように適格年金、厚生年金基金も、元来、企業の退職一時金の準備手段として発展したものでありますから、この退職一時金について考察する必要があります。

    退職一時金の性格
    退職一時金はいかなる性格を持つものか? 通常以下の4つの説があります。

    @ 功労報償説
    A 賃金後払い説
    B 生活保障説
    C 労務管理機能説

    @功労報償説日本の退職金の発生が「暖簾分け」から始まったという経緯から帰結される考え方で、「退職金は、労働者の在職年限や在職中の職責の軽重、企業への貢献度に応じて、主として職種、職能の別や勤続年数を指標に多分に恩恵的な給付として支給すべきである」というものである。
    実際退職金の算定に当っても、長期勤続優遇、功労加算、定年・自己都合の退職事由格差、懲戒解雇時の不支給など、上記の考え方が強く表れている。
    A賃金後払い説これは「退職金は本来労働の対価として支払われるべき部分の一部が留保され、これが退職時に追加的に支払われるものである。」という考え方
    B生活保障説退職金はあくまでも退職後の生活を保障するものである、という考え方。
    C労務管理機能説退職金は、労働力不足、流動化傾向に対する労働力の確保、定着対策のひとつとして機能する一方、最近では早期退職優遇制導入も試みられており、雇用面を中心に労務管理機能も併せ持っている。」という考え方

    以上の4っつの考え方のうち、実際の運用面は@の功労報償説を中心にBとCの考え方を取り入れて運営されているように見受けられる。

    ところで功労報償説での退職金の多くは「最終報酬月額×在職年数×調整係数」で算出されるため、最近の雇用環境ではいくつかの問題が起きています。

    実際は「最終報酬月額×支給率×調整係数」で計算されるが支給率はほぼ在職年数に比例していると考えられる。

    1. 新卒から定年まで勤めた人の退職金と転職した人との生涯退職金では転職者の生涯退職金の方が少なくなります。理由は在職年数が分断される事で不利になることと、中途退職は自己都合ですから調整係数で差がつきます。

    2. 能力給を採用した場合若い時の中途退職金より定年退職金の方が少なくなる事になる。これも理由としては、能力給というのは40代から先給与が伸びないかまたは下がってしまうというもので、最終報酬を基礎に定年退職金を算定した場合、定年時より若い時の報酬の方が高い事も起こりうる。

    3. 来るべき新国際会計基準では、明確に退職金を賃金の後払いと捉え、企業が後に従業員へ支払うべき労働給付債務として毎年次会計認識する必要があり、退職時に初めて発生する功労金という債務では会計上、正しい負債認識ができない。

    以上、雇用の流動性、年功給から能力給へ、会計基準の国際化により、退職金は次第にA賃金の後払い説が退職一時金の根拠になってゆかざるをえない。

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