J-04:賦課型

    【賦課方式】
    個人年金や企業年金のような、私的な年金は上述のように、積立方式を使いますが、公的年金の基本的な仕組みは、賦課方式です。積立方式や賦課方式などという、給付金額と掛金額の算出を行う計算の考え方を財政方式と言います。

    賦課方式とはある特定の一年間に年金受給者へ支払う原資を全額その年の掛金でまかなう方式の年金制度をいいます。
    年金制度の加入者は掛金を払う層(在職者層)と年金を受取る層(退職者層)に大別できます、賦課方式とはこの退職者層が受取る年金総額が在職者層の掛金総額でまかなわれる事を意味しますので、公的年金では「世代間扶養」という言い方をします。


    公的年金を前提にこの賦課方式の特徴をあげると。

    特徴

    1. 掛金総額と給付総額が毎年一致している前提から、賦課方式の場合には積立部分が発生しない。
    2. 積立部分がないという事は運用利回りの影響を受けない。
    3. 積立が無く、拠出と給付が毎年清算されるので、在職者層が過去に拠出した掛金は、自分たちが給付を受けるお金と何ら数理的に関係ない。
    4. 給付額から掛金を計算する重要な数字は在職者層の人数と退職者層の人数の比率となる。
    5. 各層の人数に影響を与えるのは出生率と死亡率になる。

    賦課方式を採用した場合、年金制度がどのような性格になるかもう少し考えてみます。賦課方式の計算上問題になるのは、出生率と死亡率ですが、今回は次の前提を置きます。死亡率は生まれてから76歳までは死亡率0%で、76歳で死亡率100%となるように仮定します。出生率は毎年親と同じ人数の子が生まれる出生率とします、最後にどの年齢層でも人口は同じとします。即ちゼロ歳児から76歳までどの年齢も同じ人数で、76歳で全員亡くなるという仮定です。

    [簡略化の注意]
    実際に賦課方式の掛金を算出する事は、本書の範囲を超えるので、いくつかの前提を簡略化して 定性的に理解していただければと思います。
    @下図は生命保険会社が現在使っている、男性の生存率で平均寿命は約76歳です、当然76歳以下で亡くなる方や、それ以上存命される方がいます。簡略の為76歳まで100%の生存率、76歳を過ぎると一気に0%となるようにしましたがこの場合も平均寿命は76歳になります。


    A出生率も大胆な仮定を置いています、出生率2と置いて、親世代と子世代の人口が変わらないように、また毎年同じ人数が出生するように仮定しました。この二つの仮定により、各世代の人口比率が出せる事になります。


    ちなみに現実の年齢別の人口分布はかなりでこぼこが有ります、2000年には紡錘型になり、若年層と老年層の人口が相対的に少なくなるというものです。下記に国立社会保障人口問題研究所のデータを提示します。


    更に、在職者層は20歳から59歳までとします。
    退職者層は60歳から76歳までとします
    運用利回りは0%

    このような仮定では在職者層と退職者層の人口比率は期間の比率になりますから40対17 となり、2.35人の在職者層で1人の退職者層を支えている事になります。

    これを前述した厚生年金の月額保険料で考えてみますと、拠出額一人55,520円なので退職層は2.35人分の130、472円を給付することとなります。参考までに上記2000年度の推計での人口分布をもとに同様の計算をすると在職者層2.79人に受給者一人の割合になります。

    賦課方式の掛金変更要因を考えてみますと。
    (1) 平均寿命が長くなるほど、退職者層が多くなり、掛金が高くなる。
    (2) 少子化になるほど在職者層の人口が減り、掛金が高くなる。
    (3) インフレに対しては、積立金を持っていないので年金資産の目減りがおきない。
    (4) 経済の成長過程では、在職者層の所得が増大するので、掛金負担力がつく。

    以上の特徴があります。

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