98年度10月年金審議会
| 〈積立金の保有〉現行の財政運営においては、年金受給者の急速な増加に伴い将来の年金給付費が増大することが見込まれる中で将来世代の負担を過重なものとしないことや、世代間の負担の不公平の是正のために保険料を段階的に引き上げていくこととしており、その結果一定の積立金を保有している。今後とも基本的にはこのような財政運営が適切であると考えるが、巨額の積立金を保有することについては、インフレによる目減りや運用の困難性を考えると必要ないという意見や積立金の規模は給付費の支払準備に必要な程度にとどめるのが適当であるとの意見があり、今後とも検討を行うべきであるという意見があった。 |
公的年金の財政方式は、修正積立方式といいまして、積立方式と賦課方式の両方の特徴を持っています。私的年金においては、積立方式であり、基本的には自分の拠出した分を自分で受給するという、負担と受益の間に公平感があります。
一方、賦課方式は世代間扶養の考え方ですから、自分が老齢の親に多額の負担をしたからといって、自分が老齢時になったとき、子どもから多く期待できるわけではない、そんな局面があります。今後は少子化・老齢化(平均寿命の伸び)が進む事がはっきりしているので、世代間扶養の考え方では、世代間の不公平感が表面化してしまいます。
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現在40代後半から50代の人の兄弟は5人、 30代後半から40代の人の兄弟は3人 20代後半から30代後半の兄弟は2人 最近の子どもは一人っ子が多い |
という事をこの出生率は表しています。
(出生率実績:厚生省)
| 年次 | 出生率 |
| 1947 | 4.54 |
| 1950 | 3.65 |
| 1955 | 2.37 |
| 1960 | 2.00 |
| 1965 | 2.14 |
| 1970 | 2.13 |
| 1975 | 1.91 |
| 1980 | 1.75 |
| 1985 | 1.76 |
| 1990 | 1.54 |
| 1995 | 1.42 |
| 1996 | 1.43 |
| 1997 | 1.39 |
(出生率予想:厚生省)
| 年 次 | 中 位 | 高 位 | 低 位 |
| 1999 | 1.38 | 1.47 | 1.33 |
| 2000 | 1.38 | 1.50 | 1.31 |
| 2005 | 1.43 | 1.66 | 1.28 |
| 2010 | 1.50 | 1.76 | 1.30 |
| 2015 | 1.56 | 1.82 | 1.34 |
| 2020 | 1.59 | 1.84 | 1.37 |
| 2025 | 1.61 | 1.85 | 1.38 |
| 年 次 | 男性 | 女性 | 性差 |
| 1995 | 76.36 | 82.84 | 6.48 |
| 1996 | 77.02 | 83.59 | 6.57 |
| 1997 | 77.12 | 83.73 | 6.61 |
| 1998 | 77.22 | 83.87 | 6.65 |
| 1999 | 77.31 | 83.99 | 6.68 |
| 2000 | 77.40 | 84.12 | 6.71 |
| 2005 | 77.80 | 84.64 | 6.84 |
| 2010 | 78.12 | 85.05 | 6.93 |
厚生省の見解としては、世代間の不公平感を軽減化する為に、積立分をもっている、という事です。具体的には年金の報酬比例部分などは、掛金を高く支払った人に給付を厚くするという点で、考え方には公平感がありますが、制度そのものが積立方式部分と賦課方式部分が明瞭に分離されていない為に、あまり世代間の公平感は感じられません。
また現時点で受取る年金給付に対して保険料が割高になる事が公表されていることも、世代間での不公平感を増長する結果となります。
98年度の年金審議会でも積立に関しては、世代間の公平化という一定の効用は認めつつ
@ インフレによる目減りの懸念。
A 運用の困難性(現在の積立分は5.5%で運用する事を前提として、財政計算していて、実質的な運用が逆鞘になっている)
等の点から積立金は不要ではないかと指摘されています。
年金の積立については、1996年度で142兆円で給付額の5.7年分あります、ちなみに米国は1.1年分、ドイツは0.4年分(91年度統計)ですから、日本は突出して多い事がわかります。積立金が必要ないという意見の背景にはこのような他国の現状も反映されています。