Back

Index

 

生薬名・・・・熊胆 ゆうたん

 

生薬名 熊胆(ゆうたん)
基 原 神農本草経の上品に収載。クマ科 Ursidae 黒熊 Selenarctos thibetanus Cuvier (ヒマラヤグマ)、棕熊 Ursus arctos L. (ヒグマ)の胆のうを乾燥したもの。
性 味 味は苦、性は寒。(帰経:心・肝・胆・胃経)
主成分 ursodesoxycholic acid ・ cholesterol ・ bilirubin など
薬理作用 清熱
消炎・鎮痛・鎮静作用がある。
臨床応用
  1. 解熱・鎮痙・鎮静作用に用いる。伝染病による高熱・痙攣、あるいは熱傷・刺傷による発熱・譫語には、熊胆0.6〜1gを内服させる。小児の熱性痙攣には、熊胆150mgで効果がある。
  2. 消炎・解毒に用いる。最近は劇症肝炎・急性黄疸型肝炎・肝性昏睡などに、熊胆0.3〜0.6gを茵ちん蒿の煎湯で沖服している。
    このほか、熊胆を外用すると化膿症・炎症による腫脹に効果がある。セツに散布すると腫脹・疼痛が消退し、急性咽頭炎・口腔潰瘍に外用すると消炎効果がある。
  3. 眼科で消炎剤として用いる。眼の腫脹・疼痛・角膜混濁などをともなう結膜炎に、竜脳を配合した水溶液を点眼すると、疼痛を止め角膜混濁が改善する。新生児の結膜炎で、目やにが出て目が開かないときには、熊胆60〜90mgの煎汁で洗眼するか、少量を湯に溶いて点眼すると、1日数回で効果がある。
  4. 鎮痛に用いる。帯状疱疹に散布すると鎮痛する。胃・十二指腸潰瘍のはげしい痛み、外傷による腫脹・疼痛、胆のうの疝痛には、内服すれば効果がある。
  5. 最近、小児の急性腎炎による高血圧に試験的に用いているが、初歩的な観察では一定の効果がある。
用量 消炎・鎮痛には0.6〜2.5gを内服するか、散か丸として用い、煎剤には使用しない。炎症に外用するときは60〜90mg。
使用上の注意 熊胆には上述の作用があるが、非常に高価なので、どうしても必要なときだけ使用すべきである。一般に消炎や眼疾患には用いる必要がない。