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生薬名・・・・細辛 さいしん

 

生薬名 細辛(さいしん)
基 原 ウマノハグサ科 Aristolochiaceae 遼細辛 Asarum heterotropoides Fr. Schm. var. mandshuricum (Maxim.) Kitag. (ケイリンサイシン)の根をつけた全草を乾燥したもの。
性 味 味は辛、性は温。(帰経:心・肺・肝・腎経)
主成分 methyl-eugenol ・ l -asarinin などからなる精油を含む。ほかに、一種の phenol性物質 C10H10O4 ・ eucarvone C10H14O 、中性結晶性物質 C10H9O3 を含む。
薬理作用 発散風寒・去風止痛・温肺化飲
解熱作用・抗菌作用・鎮痛作用・鎮静作用
臨床応用
  1. 痰飲による咳嗽(慢性気管支炎・気管支拡張などで大量の稀薄な痰がでる咳嗽)に、細辛には鎮咳作用があるので、乾姜・五味子を配合して用いる。古人は経験的に“乾姜・細辛・五味子は痰飲による咳嗽の良薬なり”といっている。ただし、肺結核の咳嗽やその他の乾咳には用いるべきではない。
  2. 外感風寒に使用する。とくに鼻づまり・鼻汁が多い・咽に痰がからむ(分泌物質が多い)などの症状があるときに適している。
    細辛は散寒の効力・発汗力が比較的弱いので、一般の解表剤中では主薬ではない。
  3. 風湿やインフルエンザによる頭痛・関節痛に使用する。
    このほか伝統的な経験によると、熱薬の細辛を寒薬に配合して熱証に使用すると、互いに助けあって非常に効果がある。たとえば、石膏を配合して胃熱による歯痛(歯周炎)に、黄連を配合して口内炎(口舌生瘡)に使用するなどである。
    外用の面では、細辛を臍部に貼りつけるとアフタ性口内炎に効果があるとの報告がある。方法は、細辛9〜15gの細辛を水でねって糊剤とし、少量のグリセリンか蜂蜜を加えて布にぬり臍部に貼りつける。3日間で疼痛は軽減し、潰瘍面も癒合する。
用量 1〜3g。細辛の性味は辛烈であるから、用量はやや少なめで、一般には1〜3gを用いる。気血両虚のときは0.5〜1gで効果があり、多くても1.2〜1.5g位でよい。多量に使用しない方がよい。
使用上の注意 黎芦と一緒に用いてはならない。
生薬画像