第四部 アステカの幻影 あらすじ

@ 希理子より一足先にロスアンゼルスから帰国した稔は、羽田まで出迎えもならず毎日気にしている。帰国したと聞いて五夜目、コレクティブヘの電話が通じた。希理子の拒絶。ロスでの最後の一夜の回想。翌朝、村ちゃん親子と共に空港へ。    

A「メキシコ征服者コルテスの現地妻マリンチェの悩み。夫への愛と母国に挾まれて。彼女はコルテスに捧げられた女奴隷だった」メヒコの国立宮殿、メキシコの歴史を画くリベラの壁画の前に立つ稔と希理子。    

B「マリンチェは貴賓もあり、コルテスの通訳として来たよき助言者でもあった」すっかりスペイン語のうまくなった希理子に案内されソカロから国立芸術院。アラメダ公園。    

C「チョルーラの大虐殺」翌日も谷山圭子も交えてメヒコを廻る。    

D「マリンチェの憂いはつきない」希理子の稔に対する気持の変化。稔にも一万余キロの空間をへだてていた時よりも二枚の皮膚か接触し得る今の方が、異質な何かが介在する様に思えた。    

E ロスからメヒコヘ機内。ロスでの一泊の不安。稔は国内で一人旅の場合、宿泊を拒否された経験がある。    

F 醜い日本人。メヒコの空港、出迎えの田井女史と希理子。田井のマンションヘ。      

G 希理子のオトコとしての稔。田井の愛人ダニエル。メヒコのリブの女たち。    

H 「マリンチェの愛。アステカの生にえ」希理子の自分のオトコとしての稔への絶交宣言、旧華族で気位いの高い山本女史。    

I 出国のあいさつに行く希理子について稔も山本宅へ。ロッキード事件とシーメンス事件。    

J マンションに帰ってタマリで軽食の後二人は夜のガルバルディ広場へ。稔はマリアッチと写真を撮るが、希理子は加わらない。    

K 午前に希理子とトウーラの遺跡を見てメヒコヘ戻り、再び今度は一人テォティワカンヘ向った。翼ある蛇、ケッアルコアトルの伝説。    

L テォティワカンの遺跡、稔一人テォティワカンヘ向った。翼ある蛇、ケッアルコアトルの伝説。    

M 雨期に入ったメヒコでは必ず一日一回ふる罧雨。雷鳴の中、歯痛に苦しみながらメヒコのリブの女館に孤囚を感じる稔。遺跡から帰った稔と米国行の旅程を調べに行った希理子とのいさかい。    

N 翌日、二人のいさかいは本物となる。混乱する稔。結局、谷山を交えた三人でバスにより米国行を決意した。    

O 三人、バスにてメヒコを出発。    

P 砂礫とシャボテンの世界を行くバスの旅。バスの中、神経をすりへらす稔。    

Q 昼夜の別なく48時間のバスの旅、国境の町ティハナヘ向う。    

R 国境を越えロス、ようやくホテルヘ。    

S ホテルでの三人、女達がやっかい者になっている稔。中華街で夕食。谷山はシスコヘ。    

21 翌朝の二人。ようやく二人だけになれて和解の糸口を見出だそうとする稔に、希理子は昨夜到着の村中母子を呼び寄せる。    

22 村中母子と二人はハリウツドの街へ。夕方から山本女史に紹介された日本女性トミーの案内で、ミセス藤岡の家を訪ねる。    

23 一続いてミスター堀口の家で開かれた日系人のパーティーに出席。    

24 翌朝、希理子と全て事が終ったと思った時、もう十一時前になっていた。ただちに二人はリトル東京の教会。そこで日系老人の為の昼食サービス。リトル東京の日本人ホテルヘ引越。午後はトミーの案内でアジア人のための障害者福祉工場。    

25 それより日系人三世たちの映画プロダクション。その夜の稔は久しぶりに一人ぐっすり眠った。翌日は二世兵藤氏の案内で広大な障害者病院を見学、更に日系人の養老院。    

26-27 前日の希理子とり最後の性愛。空しさを知る稔。