6月


ルーク・スカイウォーカーと喧嘩して負けたので
G線上のアリアが目の前を通り過ぎて行った

不世出の芸術家は部屋代の事で悩んでいるし
才能はまだ片目をつむったまま

ふと、あるメロディが浮かび、ギターを手にしたが
でもそれは、ボルタの電池の様に長続きしない

“こんな事ではダメだ、何かしなくては”と思い、街へ出たが
でも、それは、病人の性欲の様にあてがない

残酷極まる4月を過ぎて
5月の緑に気付かぬまま
ウジウジと6月を漂っています

でも、いつまでたっても片想い
それに、梅雨は全く嫌だよ
したがって、サヨナラだ


(’77年 夏)
 
※純粋詩