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 URUTRAMAN   2004年 日本

航空自衛隊のパイロットである主人公・真木舜一が、ウルトラマンとして活躍するまでの“原点”を描いている。
小中和哉監督。別所哲也、草刈正雄、遠山景織子、裕木奈江、大澄賢也らが出演する。

これは、大人のウルトラマン映画だ。
主人公は根っからの飛行機好きで、妻子がいて、家庭を愛する良きパパだ。
大澄賢也は、いわば被害者。
シリーズ中の古い作品で言えば、元は宇宙飛行士だった怪獣“ジャミラ”に近い。
劇中、別所哲也と同じく自衛隊員だった大澄賢也が、ある理由で怪物に変身して行く。
“もしかして、小柳ルミ子になるのでは?”という私の淡い期待を、映画は大きく裏切ってくれた。

彼が変身した怪獣は、アーサー・C・クラークの小説「幼年期の終わり」に出て来る“オーバー・ロード”、つまり、西洋でいう所の“悪魔”に似ている。
私は、全てのモンスター映画は、「エイリアン」以前と以降に分類出来ると思っている。
あれ以降、世界の作り手は本当に苦心しているのではないか?
この作品にも、それがうかがえるが、なかなか見せてくれる。

ストーリーや出て来るキャラクターを、何かのメタファだと思って観るのも一興だ。
ここに出て来る“悪の権化”である怪獣を、ビンラディンやザルカウイ、あるいは金正日、いや見る方向を少し変えれば、ブッシュだとすれば、我らがウルトラマンは一体、誰なのか?
以前から思っているのだが、小泉総理の顔は、何処となくウルトラマンに似ていないか?
あの、少し弱々しそうな雰囲気が。
特に胸のランプの点滅が、小泉さんの、あと2年弱に迫った“限られた時間”とオーバー・ラップしてしまう。
こんなに大人向けのウルトラマンをこれまで、一度も観た事がない。

ちなみに私も、別所さんを診断する自衛隊基地内の医師の役で出演しています。 
シュワッチ!!

2004.11.20)