シネマ大全 た行・ト

 トリコロールに燃えて     2004年 アメリカ

シャーリーズ・セロン、ぺネロぺ・クルスが共演する1924から、1945年に至るパリとロンドンを舞台にした三角関係&ミニ大河ドラマ。
奔放に生きる女性ギルダ(シャーリーズ・セロン)と、彼女をめぐる二人の男女その他、30年代のパリ、ナチスの台頭、レジスタンス、大金持ち、第二次世界大戦…。


ふと思った。
この映画をクロード・ルルーシュ監督が観たら、どう思うだろうか?
公開時には、グラビア的という批判もあった映画「愛と哀しみのボレロ」だが、何というか、今思うと、スケールを感じた。

この「トリコロールに燃えて」だって、決して悪くはない。
淡々とはしているが、充分に楽しめる。
でも、大事な柱がいくつか欠けている気がしてならない。
一言でいうと、“キラキラと輝いている生命の輝き”や“その時代だけが持つあるムードや切なさ”みたいなものが希薄なのだ。
物語が観客にとって、切実ではないのだ。

映画を観ていて、“グッと来る”とは、どういう事なのか?
映画の“大きさ”“スケール”“ダイナミズム”とは、一体どういう所からやって来るのか?
そういう、ある意味では根源的な事を思い出させてくれる一本だった。

(2004.9.15)