シネマ大全 さ行・ス

 スチーム・ボーイ 2003年 日本

1866年、産業革命時代のロンドン。第1回万国博を控え、街は人々の活気であふれていた。発明一家の三代目レイ少年も、毎日を自作の発明品と格闘しながら暮らしている。ある日レイの元に、渡米中の祖父ロイドから風変わりな金属ボールが届く。そこにオハラ財団を名乗る男たちが現れ、ボールの引き渡しを求める。戸惑うレイの前に現れたのは、なんとロイド本人だった。「ボールを渡してはならん」という祖父に促され、わけもわからずボールを抱えて逃げ出すレイ。そのボールこそ、祖父と父の画期的発明“スチームボール”だったのだ…。


“得体の知れない巨大なエネルギーの始動と、それに戸惑い翻弄される人々”というテーマでは、同じ大友克洋監督の映画「AKIRA」と共通する部分も多い。
しかし、時代設定が19世紀で、しかもここに出て来る“スチーム城”なるものは、所詮、その時代の人間が作った発明品に過ぎない、と思うと、やはり何処かに無理がある様に思えてならない。

「AKIRA」の様に、“人智を越えたパワー”だったり、「もののけ姫」の様に“室町時代の深い深い森の中での出来事”だったり、「千と千尋の神隠し」の様に“もしかしたら、少女の夢想の産物”だったりすれば、もっと物語の中にグイグイと引き込まれて行ったかもしれない。

延々と続く“戦い”に、客席で思わず、“現れよ、ミヤコ様!”と叫びそうになった。
この映画を観て、世界のミヤザキや、天空のテヅカは、どう思うのだろうか?
明日は、スチーム・サウナに入ろうっと!

2004.7.30)