シネマ大全 さ行・セ

 戦国自衛隊1549  2005年 日本

戦国時代へタイムスリップした陸上自衛隊が、大軍勢を率いる戦国武将と激闘を繰り広げるスペクタクル・アクション。
’79年に大ヒットした半村良原作の「戦国自衛隊」を基に人気作家・福井晴敏が新たに書き下ろしたストーリーを、陸上自衛隊の全面協力の下で実写化した。
この日、陸上自衛隊の東富士駐屯地では対プラズマ用人工磁場シールドの展開実験を行なっていた。ところが、その最中に想定外の暴走事故が発生、実験に参加していた的場一佐ら第3特別実験中隊が、460年前の戦国時代へタイムスリップしてしまう。
ほどなくして、過去への干渉が原因とみられる虚数空間ホールが日本各地に出現、現代を侵食し始める。やがて事態収拾のための組織“ロメオ隊”が結成され、的場の元部下・鹿島勇祐、事故を引き起こした神崎怜二尉らが参加する。
事故と同じ状況を作り出し、二度目のタイムスリップを敢行し1549年へと向かうロメオ隊。だが、彼らに残された時間は74時間26分。それを過ぎると現代には戻れなくなってしまう。そして、そんな彼らを思いもよらぬ事態が待ち受けていた…。


てっきり、前作のリメイクだと思っていたが、違っていた。発想は最高に面白いが、語り口が所々どうにもぎこちない。と、同時に、この26年の間に、日本という国が途方もなく変わってしまったんだなぁ、と実感してしまう一本でもあった。
平成の世が、戦国時代と比べて、いかに生ぬるく芯がないか(当たり前だが)、世界に冠たる強い国になるには…という様な“今日的な”命題がズンズン突きつけられる。

でも、もう一歩進んだ映画を私は観たい。今のジパングの若者は、“国を守る”とか“強い国を作る”という概念が稀薄なのではないか?
私も同じ考えだ。この国の為に、戦争という名の人殺しをして死んで行くなんてマッピラ御免だ。
“国”って、何?そんなに重要なものなのか?
“子供同士の路上のケンカ”の延長線上にしか思えない最近の外交。

何千回も殺し合いを繰り返しても空しいだけ。映画「ウォーゲーム」の様に、“その先”を見せて欲しい。
世界の現実は今、それを渇望している。


2005.5.27)